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第5章〜ライアン〜

第41話

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ヴィンたち一行は無事にケルパに到着し、船を港に着ける。


「何用か!」


小さな港と違い警備兵が滞在しており、船の元に集まってきた。


「俺たちはアルメリア海賊団。数日間の滞在を希望する」


ヴィンが姿を見せると警備兵たちは警戒したが、


「…国内での争い事は許されない。この港町以外への滞在も不可だ。禁止事項が守られなかった場合は国内の法律にのっとり処罰される」


そう警告すると入国許可証を置いていった。

争う意思を見せなければ入港自体は許可される事が多い国なのである。

目的の宝石商は内陸まで行かなければ無いが、港町には商人も多い。

何とかなるだろうと考え、ヴィン達は船を降りることにする。


「あ、アタシはお留守番してるから~」


いつもなら必ず下船して探索へ行くのに、今回は降りないと言うライアン。


「じゃあ僕が散歩してこよーっと」


代わりにジェイが降りていく。

最近イクスが必要以上にヴィンのそばにいる事が気に入らず、気晴らしがしたかったのだ。

イクスは常にヴィンと共に行動し、朝から晩までベッタリになっていた。


(ホントあいつウザイなあ、船長も邪魔って言っちゃえばいいのに)


イクスのそれは忠誠心を超え、ただの執着心のように見える。

一人で港を歩いていたジェイは、内陸側の建物からこちらをみている人物がいることに気づいた。


(なんだろう、ただの好奇心…じゃないよね。まだ入国が噂されるには早すぎる)


ジェイの目だから見えるが、一般人ではまず気づきもしない距離。

高い建物の上の方から数人が船に向けて双眼鏡を向けているのだ。


(なーんか嫌な感じ)


船に戻ったら報告しよう、そう思いながらジェイはしばらく散策を続けた。

---イクスは苛立ちを感じていた。

ヴィンとミュフィの仲が進展したわけでは無いが、ジェイがミュフィとエリーを鍛え始めた事が気に入らない。


(ジェイに二人を教えるなんて不可能。まともに育てられるはずがない)


そう思っていたのに、二人が泣き言も言わずに特訓を続けていると聞いたときは驚いた。


(あんな快楽殺人鬼のようなガキに…)


イクスから見たジェイは、ただの我儘な子供。

戦闘に美しさを求めるイクスにとって、ただ敵を倒せばいいというジェイの戦い方も常々気に入らなかった。
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