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第4章〜お節介〜

第32話

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翌日、一行はエリーの父がいたという島に到着。

エリーは必ず日が沈む前に一度は戻ると約束し、父の情報を探しに行った。

外食第一部隊は今回ヴィンの代わりにカーシャをメンバーに加えて出かけていく。


「あたしが一番乗りなんていつぶりかねえ、たまには思いっきり食べちゃおうかね」


カーシャは思いの外乗り気で、数人の船員と共に食堂探しへと向かっていった。


「さぁアタシたちも行くわよ~♪可愛いお洋服探し!」


ライアンに引きずられるようにして、ヴィンとミュフィは街中へ繰り出す。

その後ろから、密かにイクスがついていった。


(あれ、イクスのやつ尾行する気?)


ジェイは気づいたが止める理由もないのでそのまま見送ることに。


(全く…気持ちも分からなくはないけど、あんたのそういうところが船長を信じてないって事になるんだよ)


イクスはヴィンに心酔するが故に不信感や不満を抱き、ジェイは盲目的にヴィンを信じているため何も言わない。

ヴィンを絶対的に崇めるという点では同じ二人だが、その根底にあるものは違う。

似て否なる二人はあまり仲が宜しくない。

どちらかというとジェイのほうがイクスを避けていて会話しようとしないのだ。

ジェイは三年ほど前にヴィンに拾われ仲間に加わったのだが、その時すでにヴィンの側にはイクスがいた。

嫉妬心と、自分とのズレが合わさってイクスを好ましくないと思っている。


(…それにしてもライアンのやつ、何考えてるんだろ?)


色恋沙汰に無縁なジェイはライアンの意図が分からず、なぜ急にワガママを言って連れ出したのか理解できなかった。


(後でイクスが暴走しても知らないからねー。ま、船長になんかするようなら僕も黙ってないけど)


ジェイは海賊旗の上まで一気に駆け上がると大きく体を伸ばし、周囲を見渡す。

彼の目には聞き込みをはじめたエリーの姿や、ちょうど食堂を見つけて入っていくカーシャたち、そしてライアンに振り回されてすでにウンザリしている様子のヴィンまで見えている。

もちろんその後ろで隠れながら監視しているイクスのことも。


(ん~…異常なし、っと)


許容範囲と考え、ジェイは飛び降りると昼寝場所を探しに行った。
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