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第3章〜人助け〜
第24話
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翌日。
外食隊第2陣がエリーの働く店へ。
何も知らないような顔で注文しながら、カーシャがそっとエリーにメモを手渡した。
父親の情報あり。今夜同じ時刻に同じ場所で。
メモを確認し、エリーは息を飲む。
そして期待と不安を胸に1日を過ごした。
夜になり、山で再会したヴィンたちはサーシェスの話をエリーに伝える。
「そうか…意外と近くに居たんだ」
エリーは島から出たことがない。
てっきり父は遠くまで逃げて暮らしているものと思っていたが、実は隣の島にいるらしいと知り苦笑いを浮かべる。
商人の船にでも頼めば行ける距離だ。
しかし…
「ありがとう…もうひとつお願いがあるんだけど」
少し考え込んでいたエリー。
決意を胸に顔を上げ、ヴィンを真っ直ぐ見つめた。
「あたしを隣の島まで連れて行って欲しい。もちろん、まだ父親がいる保証もないけど…島に置いて行ってくれるだけでいいから!」
「…島の者に頼めばいいだろう」
さすがにそこまで世話を焼く理由はない。
断ろうとするヴィンに、エリーは食い下がる。
「あんたたちに関係ないことなのはわかってる!乗せてもらってる間はなんでもするから!お願い!!」
必死に頭を下げ頼み込むエリー。
ヴィンがミュフィに目をやると、彼女は不安そうな顔でエリーを見つめているだけ。
僅かに心が揺らいだヴィンだったが、ハッキリ断ろうとエリーに向き直った。
その時。
カサッ…
「!!」
微かな物音にヴィンたちは剣に手を伸ばす。
ヴィンは小さく舌打ちし、ミュフィを抱き寄せた。
「離れるなよ」
「え?!」
突然のことに混乱するミュフィ。
すると、木の陰から一斉に松明の炎が見え人影が浮かび上がる。
どうやら囲まれているようだ、いくつもの炎と足音が迫ってくる。
(どうやらこの娘も知らなかったようだな…つけられていたか)
エリーは間違いなく誰にも言わずにヴィンたちと会っていた。
しかし、勤め先の店に住み込ませてもらっているため、夜にコッソリ出かけたことがバレていたのだ。
「…イクス、そいつを守ってやれるか」
ヴィンは一瞬考えたのち、イクスに声をかける。
そしてイクスが頷くのを確認すると、ジェイに目配せした。
ジェイはニヤッと笑い一気に近くの木を駆け上がる。
「な?!」
闇に潜んでいた者たちは慌てて武器を構えるが、時すでに遅し。
外食隊第2陣がエリーの働く店へ。
何も知らないような顔で注文しながら、カーシャがそっとエリーにメモを手渡した。
父親の情報あり。今夜同じ時刻に同じ場所で。
メモを確認し、エリーは息を飲む。
そして期待と不安を胸に1日を過ごした。
夜になり、山で再会したヴィンたちはサーシェスの話をエリーに伝える。
「そうか…意外と近くに居たんだ」
エリーは島から出たことがない。
てっきり父は遠くまで逃げて暮らしているものと思っていたが、実は隣の島にいるらしいと知り苦笑いを浮かべる。
商人の船にでも頼めば行ける距離だ。
しかし…
「ありがとう…もうひとつお願いがあるんだけど」
少し考え込んでいたエリー。
決意を胸に顔を上げ、ヴィンを真っ直ぐ見つめた。
「あたしを隣の島まで連れて行って欲しい。もちろん、まだ父親がいる保証もないけど…島に置いて行ってくれるだけでいいから!」
「…島の者に頼めばいいだろう」
さすがにそこまで世話を焼く理由はない。
断ろうとするヴィンに、エリーは食い下がる。
「あんたたちに関係ないことなのはわかってる!乗せてもらってる間はなんでもするから!お願い!!」
必死に頭を下げ頼み込むエリー。
ヴィンがミュフィに目をやると、彼女は不安そうな顔でエリーを見つめているだけ。
僅かに心が揺らいだヴィンだったが、ハッキリ断ろうとエリーに向き直った。
その時。
カサッ…
「!!」
微かな物音にヴィンたちは剣に手を伸ばす。
ヴィンは小さく舌打ちし、ミュフィを抱き寄せた。
「離れるなよ」
「え?!」
突然のことに混乱するミュフィ。
すると、木の陰から一斉に松明の炎が見え人影が浮かび上がる。
どうやら囲まれているようだ、いくつもの炎と足音が迫ってくる。
(どうやらこの娘も知らなかったようだな…つけられていたか)
エリーは間違いなく誰にも言わずにヴィンたちと会っていた。
しかし、勤め先の店に住み込ませてもらっているため、夜にコッソリ出かけたことがバレていたのだ。
「…イクス、そいつを守ってやれるか」
ヴィンは一瞬考えたのち、イクスに声をかける。
そしてイクスが頷くのを確認すると、ジェイに目配せした。
ジェイはニヤッと笑い一気に近くの木を駆け上がる。
「な?!」
闇に潜んでいた者たちは慌てて武器を構えるが、時すでに遅し。
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