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第1章〜出会い〜

第6話

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(一人にしてくれた、のかな…)


まだ泣きたい気持ちもあったが、頭を撫でられた驚きで涙が引っ込んだため辺りを見渡す。

薬品らしき小瓶がたくさん並んだ棚、包帯などの治療器具が置かれた机。

どうやらここは医務室のようだ。


(そういえば、船医さんがいるって言ってたけど…)


小瓶に貼られているラベルの文字は、異国の言葉のようだ。

机や椅子の上に山積みになっている書物も同様で、どれも読めそうにない。

ミュフィが部屋を眺めていると、ガチャリと扉が開いた。


「!!」


「おや?船長がいると聞いていたのですが…」


入ってきたのは、ひょろりとした細身で長身の男性。

彼はミュフィの存在に驚く様子はなく、部屋を軽く見渡して首を捻った。


「あ、えっと、ヴィンさんはさっき出て行きました…!」


ミュフィの言葉に、細身の男性は「そうですか」とだけ言い、持っていた袋から次々と小瓶を取り出し棚に置いていく。

白衣を着ているし、どうやら彼が船医らしい。

ミュフィはそう判断したが、この状況をどう説明しようか迷った。


(挨拶すべき?)


(なんて言おう…はじめまして?よろしくお願いします、なんて言っても驚かれるよね)


ミュフィが考えを巡らせていると、再びドアが開き、ヴィンが姿を見せる。


「アルバ、戻ったのか」


「はい、船長」


アルバと呼ばれた男は、薄い笑みを浮かべた顔を一瞬ヴィンの方へ向ける。

しかしすぐに棚の整理に戻った。


「ミュフィ、水を持ってきたぞ」


ヴィンの手には、冷たい水の入ったコップが。

彼が退室したのはミュフィに飲み物をと思ったかららしい。

ミュフィはありがたく受け取り、口をつけた。

氷の入った冷たい水が体の中心を通っていく…そういえば奴隷商人からは水すら貰えず、かなり乾いていたのだった。

喉と体が乾ききっていたミュフィは、一気に飲み干す。


「一気飲みは体に悪いですよ。それに、冷たい水より常温の方がいいでしょう」


ミュフィの様子をチラリと見たアルバはそう言い、ミュフィからコップを受け取ると部屋から出て行った。


「…すまん…」


良かれと思った行動が間違いだったと指摘され、ヴィンはミュフィに謝罪する。

最強と謳われるヴィンが肩を落とし謝罪する姿など、誰が想像できよう…
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