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第70話:鈍感男
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馬小屋へとサクリスを案内してきたツェーザル。
(侯爵家にも馬車があるんだから馬くらいいるよな、なんでウチの馬まで見たがるんだ?)
そんなに馬が好きなのだろうか。
「小屋の中は臭いますから連れ出して参りますね、少々お待ちください」
「はい」
公爵家の馬達は丈夫さだけでなく美しさも備えているが、全六頭いる中でも特に毛並みの良い二頭を小屋から連れ出す。
馬の世話は全てツェーザルが担当しているため、全ての馬が良く懐いていた。
「黒いほうがジークハルト様がお選びになった馬で、茶色いほうはシズリア様の馬車を引く事が多い子です」
「茶色の子は以前にもお会いしましたわね」
見覚えのある馬だ、サクリスがモジモジしているのを見て触りたいのかと思い、ツェーザルは馬達が落ち着いているのを確認してサクリスに声をかける。
「触ってみますか、どちらも大人しい子ですが茶色の子からの方が宜しいと思います」
「触ってよろしいの?」
「大丈夫ですよ、馬に触れた事は?」
「家の馬達には触れたことがあります、乗馬もしますので」
「では大丈夫でしょう、こちらへ」
サクリスが普通に会話すること自体非常に珍しい事なのだが、やはりそんな事は知らないツェーザル。
特別だとは気付かない。
「この子、お名前は?」
「茶色がエマ、黒はルックです」
二頭ともツェーザルがそばに居るからかサクリスが近づいても興奮する事はなく、大人しく触らせた。
「可愛い…良い子達ですわね」
「貴女に害が無いと分かるからですよ」
「お話ができますの?」
「…ハッキリとは出来ませんよ、でもなんとなく通じ合っているようです」
ツェーザル自身にも謎なのだが、昔から動物に好かれやすく何故か気持ちがよく分かるのだ。
しかしジークハルトの猟犬達からは嫌われており、視界に入ると激しく威嚇される。
(あいつらは俺の事を狩りの敵だと思っているらしい…)
ジークハルトからは「お前をライバルだと思ってるみたいだな」と笑われたが、彼らの獲物を取るつもりなどサラサラ無いのだが。
(なんのライバルだよ…雄としての本能なのか?お前らの雌なんて取らねえよ)
流石に犬にまで手は出さない、動物相手に真剣に話し合いたいと思うツェーザル。
そんな事を考えていたツェーザルは、サクリスがほんのり頬を染めてチラチラと自分を見ていることにも気付かない。
普段は気配りもできて演技上ならばいくらでも女の気持ちがわかるような振る舞いができるのに、素の彼は自分のこととなると鈍感だった。
(侯爵家にも馬車があるんだから馬くらいいるよな、なんでウチの馬まで見たがるんだ?)
そんなに馬が好きなのだろうか。
「小屋の中は臭いますから連れ出して参りますね、少々お待ちください」
「はい」
公爵家の馬達は丈夫さだけでなく美しさも備えているが、全六頭いる中でも特に毛並みの良い二頭を小屋から連れ出す。
馬の世話は全てツェーザルが担当しているため、全ての馬が良く懐いていた。
「黒いほうがジークハルト様がお選びになった馬で、茶色いほうはシズリア様の馬車を引く事が多い子です」
「茶色の子は以前にもお会いしましたわね」
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「触ってよろしいの?」
「大丈夫ですよ、馬に触れた事は?」
「家の馬達には触れたことがあります、乗馬もしますので」
「では大丈夫でしょう、こちらへ」
サクリスが普通に会話すること自体非常に珍しい事なのだが、やはりそんな事は知らないツェーザル。
特別だとは気付かない。
「この子、お名前は?」
「茶色がエマ、黒はルックです」
二頭ともツェーザルがそばに居るからかサクリスが近づいても興奮する事はなく、大人しく触らせた。
「可愛い…良い子達ですわね」
「貴女に害が無いと分かるからですよ」
「お話ができますの?」
「…ハッキリとは出来ませんよ、でもなんとなく通じ合っているようです」
ツェーザル自身にも謎なのだが、昔から動物に好かれやすく何故か気持ちがよく分かるのだ。
しかしジークハルトの猟犬達からは嫌われており、視界に入ると激しく威嚇される。
(あいつらは俺の事を狩りの敵だと思っているらしい…)
ジークハルトからは「お前をライバルだと思ってるみたいだな」と笑われたが、彼らの獲物を取るつもりなどサラサラ無いのだが。
(なんのライバルだよ…雄としての本能なのか?お前らの雌なんて取らねえよ)
流石に犬にまで手は出さない、動物相手に真剣に話し合いたいと思うツェーザル。
そんな事を考えていたツェーザルは、サクリスがほんのり頬を染めてチラチラと自分を見ていることにも気付かない。
普段は気配りもできて演技上ならばいくらでも女の気持ちがわかるような振る舞いができるのに、素の彼は自分のこととなると鈍感だった。
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