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第63話:王家の秘密
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別室へと案内されたシズリア達。
室内には国王夫妻とアルベール、アレクシア。
そして黒尽くめの二人組の姿もある。
正面から見ても顔を隠しており性別不明の二人、命の恩人である彼らにシズリアは礼を言う。
「先程は助けていただきありがとう御座いました。おかげさまで私も娘も無事でした」
頭を下げるシズリアに、二人組は無言でペコリとお辞儀した。
喋れないのか、喋ってはいけないのか。
どちらか分からないけれど意思の疎通はできるらしい、不思議がるシズリアの目線に気づいた国王ガルディオンが笑う。
「ははは。此奴らが気になるか、シズリアよ」
「申し訳ございません、じっと見てしまって…」
「構わぬさ。お前達、顔を見せてやりなさい」
王の命令で顔を覆う布を取り外した二人。
現れたのは、シズリアと同じ黒い髪と瞳を持つ若者だった。
「え…?」
「彼らは王家に仕える隠密部隊。見ての通り、恐らくは其方と同郷だ」
同じ特徴を持っていても同郷のはずはない…しかし目の前の二人の顔立ちは、シズリアにとって懐かしくもある日本人のものに近い。
(まさか、そんなはず…)
その時シズリアの脳裏に浮かんだのは、三代前の王妃アヤカ。
笑みを浮かべて何も言わない国王らを前にして、喉の渇きを感じながらシズリアは口を開く。
「…彼らも、異世界から来たのですか。そして、アヤカ様も」
「シズリア?」
何故アヤカの名が出るのか、ジークハルトの戸惑いよりも驚きを見せているのは両親。
「シズリア…貴女は誰なの?」
王達はまだ何を言わずに見守るだけ。
シズリアはジークハルトと頷き合い、真実を告げる。
「ごめんなさい…私はシズリア・ルペスではありません。此処ではない世界から飛ばされてきた異世界人、清川静香と申します」
「い、異世界人??」
「地球という星にある、日本という国で暮らしていました」
日本。
その名を聞き隠密の二人は目を閉じる。
そこでようやくガルディオンが口を開いた。
「やはりな。曾祖母アヤカと似通ったその姿、そして我が隠密二人とも似ている其方を見た時からそうであろうと思っていた」
「何故、陛下は私を庇ってくださったのですか。私の身分が偽りであるとお気づきだったのなら、何故?」
ガルディオンは一枚の姿絵を取り出し、シズリアに見せる。
そこに描かれていたのはアヤカ、その姿はシズリアと瓜二つ。
「私とそっくり…」
「驚くほど似ているであろう?それはアヤカ妃を描いた唯一の絵なのだ。宝物庫の奥深くに保管されていたその絵を見つけたのは、偶然…ちょうどジークハルトが其方を連れてくる前日だった」
運命だと思った、とガルディオンは言う。
「アヤカ妃を娶った曾祖父は、それまではあまり体が丈夫ではなかったらしい。しかしアヤカ妃と共に過ごすうちに健康体になっていき、無事に世継ぎにも恵まれ八十歳を超えるまで国王で有り続けることができたという」
子供を授かったのが遅かったから、ガルディオンが生まれた時既に亡くなっていたけれど。
「アヤカ様に特別な力があったのかどうかは分からない。けれど、王家にとって異世界人は幸福の使者として内密に語り継がれているの」
王妃マリアンヌも優しい笑みをシズリアへと向ける。
民を混乱させないために、その存在は極秘事項。
王家にとって異世界人は特別な存在で、隠密の二人も子供の時に飛ばされてきたところを拾ったのだと話してくれた。
そして、シズリアに贈られた耳飾り。
「それはこの二人に貴女を護らせるためのもの。目印になるようにと思ったの」
ずっとずっと、護られていたのだ。
室内には国王夫妻とアルベール、アレクシア。
そして黒尽くめの二人組の姿もある。
正面から見ても顔を隠しており性別不明の二人、命の恩人である彼らにシズリアは礼を言う。
「先程は助けていただきありがとう御座いました。おかげさまで私も娘も無事でした」
頭を下げるシズリアに、二人組は無言でペコリとお辞儀した。
喋れないのか、喋ってはいけないのか。
どちらか分からないけれど意思の疎通はできるらしい、不思議がるシズリアの目線に気づいた国王ガルディオンが笑う。
「ははは。此奴らが気になるか、シズリアよ」
「申し訳ございません、じっと見てしまって…」
「構わぬさ。お前達、顔を見せてやりなさい」
王の命令で顔を覆う布を取り外した二人。
現れたのは、シズリアと同じ黒い髪と瞳を持つ若者だった。
「え…?」
「彼らは王家に仕える隠密部隊。見ての通り、恐らくは其方と同郷だ」
同じ特徴を持っていても同郷のはずはない…しかし目の前の二人の顔立ちは、シズリアにとって懐かしくもある日本人のものに近い。
(まさか、そんなはず…)
その時シズリアの脳裏に浮かんだのは、三代前の王妃アヤカ。
笑みを浮かべて何も言わない国王らを前にして、喉の渇きを感じながらシズリアは口を開く。
「…彼らも、異世界から来たのですか。そして、アヤカ様も」
「シズリア?」
何故アヤカの名が出るのか、ジークハルトの戸惑いよりも驚きを見せているのは両親。
「シズリア…貴女は誰なの?」
王達はまだ何を言わずに見守るだけ。
シズリアはジークハルトと頷き合い、真実を告げる。
「ごめんなさい…私はシズリア・ルペスではありません。此処ではない世界から飛ばされてきた異世界人、清川静香と申します」
「い、異世界人??」
「地球という星にある、日本という国で暮らしていました」
日本。
その名を聞き隠密の二人は目を閉じる。
そこでようやくガルディオンが口を開いた。
「やはりな。曾祖母アヤカと似通ったその姿、そして我が隠密二人とも似ている其方を見た時からそうであろうと思っていた」
「何故、陛下は私を庇ってくださったのですか。私の身分が偽りであるとお気づきだったのなら、何故?」
ガルディオンは一枚の姿絵を取り出し、シズリアに見せる。
そこに描かれていたのはアヤカ、その姿はシズリアと瓜二つ。
「私とそっくり…」
「驚くほど似ているであろう?それはアヤカ妃を描いた唯一の絵なのだ。宝物庫の奥深くに保管されていたその絵を見つけたのは、偶然…ちょうどジークハルトが其方を連れてくる前日だった」
運命だと思った、とガルディオンは言う。
「アヤカ妃を娶った曾祖父は、それまではあまり体が丈夫ではなかったらしい。しかしアヤカ妃と共に過ごすうちに健康体になっていき、無事に世継ぎにも恵まれ八十歳を超えるまで国王で有り続けることができたという」
子供を授かったのが遅かったから、ガルディオンが生まれた時既に亡くなっていたけれど。
「アヤカ様に特別な力があったのかどうかは分からない。けれど、王家にとって異世界人は幸福の使者として内密に語り継がれているの」
王妃マリアンヌも優しい笑みをシズリアへと向ける。
民を混乱させないために、その存在は極秘事項。
王家にとって異世界人は特別な存在で、隠密の二人も子供の時に飛ばされてきたところを拾ったのだと話してくれた。
そして、シズリアに贈られた耳飾り。
「それはこの二人に貴女を護らせるためのもの。目印になるようにと思ったの」
ずっとずっと、護られていたのだ。
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