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第18話:結婚式

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あっという間にその日になった。

晴れ渡る空の下、ジークハルトとシズリアの結婚式が盛大に執り行われる。


「おめでとうジークハルト、なんて立派な姿なのかしら」


母ディアナは式の前から号泣しており化粧が意味を成していない。


「ついにお前も世帯を持つ事になるな、これで安心して引退できる」


満面の笑みで満足そうに頷いている父ディルクは、ジークハルトが結婚したら爵位を継がせて夫婦二人旅に出るのが夢だったと語る。


「まだ早いですよ父上」


まだ爵位を継ぐ気がなかったジークハルトは何度も説得していたが、両親の決意は堅いらしい。


「お前は優秀で自慢の息子だ、やっていけるさ」

「…貴族街に住みたくないんですけどね」


ジークハルトの一番の本音は、仕事を継ぐことが嫌なのではなく貴族に囲まれた生活が嫌なのだ。

しかし弟のエミルも笑顔で両親に同意する。


「兄上なら立派に公爵を務められますよ!義姉君もいらっしゃるし!」


エミルは本宅から貴族学校に通っているのだが、


「兄上達が越してくるなら僕は家を出ないとね、僕が別宅に行こうかな?通えない距離じゃないし」

「何を言う、まだ16だろう。卒業までは今まで通り通えば良い」

「え、でも新婚の二人の邪魔なんてできないよ」

「邪魔なものか、なあシズリア」


話を振られ、シズリアは一瞬驚きを見せつつも頷く。


「もちろんですわ、可愛い義弟を迷惑だなんて思うものですか」


花嫁姿で微笑むシズリアは、最初の頃の痩せた姿が嘘のように美しくなっていた。


「本当に良いお嫁さんを貰ったわねジークハルト、大切にしないとバチが当たるわよ」


「分かっていますよ母上」


契約上、ある意味大切にしてくれているので嘘ではない。

そうこうしている間に式が始まる時間となった。


「それでは、お時間となりましたのでご準備を」


親族などが居ないシズリアをエスコートするのは、神殿から雇った神官のミカリウス・ルペス。

彼もルナの村出身の孤児で、以前ジークハルトが神殿を訪れたときに案内役をしてくれた人物。

なんとなく気が合うと感じ、それ以来親交があったため今回の役割を依頼したのだ。


「新郎、ジークハルト・ランカスター。汝はいついかなる時も新婦シズリア・ルペスを愛することを誓いますか」

「誓います」

「新婦、シズリア・ルペス。汝はいついかなる時も新郎ジークハルト・ランカスターを愛することを誓いますか」

「誓います」

「では、ここに誓いを口づけを」


ヴェールが上げられ、ジークハルトの唇がシズリアのものと軽く重なる。


「「死が二人を分かつその時まで、愛し合うことを誓います」」

「ここに二人が夫婦となったことを認めます」


ジークハルトとシズリアは、この日正式な夫婦となった。
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