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第12話:惚気と笑顔が武器になる
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着替え終えたシズリアは、キリアとツェーザルを連れてエレミー達の所へ戻った。
「お待たせいたしました」
「あ…」
しっかり全身足先まで着替えたシズリアを見て、エレミー達は冷や汗をかく。
「私が身に付けているものは全てジークハルト様から頂いたものですの、この服は先日一緒に買いに行ったばかりで」
派手になり過ぎないよう選んだ服は、ジークハルトの瞳の色であるブルーのドレス。
黒髪日本人顔のシズリアには着慣れないが、顔色が悪く見えないように薄ピンクのストールを巻いたりして工夫している。
「ま、まあ…ジークハルト様はシズリア様を大切にしてらっしゃるのね」
戦いにしか興味がないのではと言われていたジークハルト。
そんな彼がシズリアと服を買いに行くなど、エレミー達には信じられなかった。
「ええ、毎日愛を囁いてくださいますし、泊まりがけで留守にしている日以外は必ず夕食を一緒に取るようしておりますの」
ジークハルトから「俺が惚れ込んでいるということにしていい」と言われているため惚気倒す。
身寄りのない一般人であるシズリアと結婚する事を不満に思うものは多い、そのため離したがらないのはジークハルトの方だと印象付ける必要があった。
「想像できませんわね、ジークハルト様は仕事熱心な方で女性に興味が無いようでしたのに」
「そのように伺っておりますわ。けれど私の前ではとてもお優しい方ですのよ」
にっこりと微笑むシズリア。
お茶をかけられたことなど忘れたかのように笑顔で惚気続ける彼女の姿は、エレミー達の目には不気味に映る。
その後も嫌味を言われても惚気で返し続け、笑顔を絶やさずに振る舞っていると最後はエレミー達の方が疲れた顔になっていた。
「本日はお招きくださりありがとうございました、とても楽しかったですわ。また誘ってくださいませね」
「ええ…是非」
二度と呼ばない、そう顔に書いてある。
シズリアは内心ガッツポーズをしながらアーザー邸を後にした。
帰りの馬車にて。
「お疲れ様でしたシズリア様、ご立派でしたわ」
堂々と振る舞ったシズリアに、キリアは感動していた。
「椅子が濡れてるとかお茶をかけるとか、地味過ぎて笑いそうだったわ~」
三人がかりであの程度とは拍子抜けである。
「きっと庶民の出だから泣くとでも思ったのでしょうね」
「甘いわねー、そんなか弱くもなければ世間知らずのお嬢さんでもないわ」
少なくとも25年生きてきたのだから、彼女達より人生経験は豊富だ。
「でも靴が勿体なかったわね、洗ったらまた履けるかしら」
一度しか履いていないのだ、ティーカップの破片がついているからとハンカチに包まれた靴に目をやる。
「すぐに洗えなかったのでシミになるかもしれませんね…捨てる予定ですけれど」
「もったいない!でも普段使いする機会もないし…お金持ちって凄いわ」
貧乏人だったシズリアにとっては慣れない金銭感覚だ。
庶民的であり、芯の強い女性でもあるシズリア。
キリアはジークハルトが彼女と出会えた事を神に感謝していた。
(神よ、素晴らしい女性をジーク様に与えてくださって感謝いたします)
乳兄弟として生まれた頃からジークハルトと一緒にいるキリア。
彼が女に興味が無い事、見合いに疲れ果てていたことをよく知っている。
シズリアが異世界から来たらしいと聞いた時は驚いたが、きっと神がジークハルトのために連れてきてくれたのだと思った。
「お待たせいたしました」
「あ…」
しっかり全身足先まで着替えたシズリアを見て、エレミー達は冷や汗をかく。
「私が身に付けているものは全てジークハルト様から頂いたものですの、この服は先日一緒に買いに行ったばかりで」
派手になり過ぎないよう選んだ服は、ジークハルトの瞳の色であるブルーのドレス。
黒髪日本人顔のシズリアには着慣れないが、顔色が悪く見えないように薄ピンクのストールを巻いたりして工夫している。
「ま、まあ…ジークハルト様はシズリア様を大切にしてらっしゃるのね」
戦いにしか興味がないのではと言われていたジークハルト。
そんな彼がシズリアと服を買いに行くなど、エレミー達には信じられなかった。
「ええ、毎日愛を囁いてくださいますし、泊まりがけで留守にしている日以外は必ず夕食を一緒に取るようしておりますの」
ジークハルトから「俺が惚れ込んでいるということにしていい」と言われているため惚気倒す。
身寄りのない一般人であるシズリアと結婚する事を不満に思うものは多い、そのため離したがらないのはジークハルトの方だと印象付ける必要があった。
「想像できませんわね、ジークハルト様は仕事熱心な方で女性に興味が無いようでしたのに」
「そのように伺っておりますわ。けれど私の前ではとてもお優しい方ですのよ」
にっこりと微笑むシズリア。
お茶をかけられたことなど忘れたかのように笑顔で惚気続ける彼女の姿は、エレミー達の目には不気味に映る。
その後も嫌味を言われても惚気で返し続け、笑顔を絶やさずに振る舞っていると最後はエレミー達の方が疲れた顔になっていた。
「本日はお招きくださりありがとうございました、とても楽しかったですわ。また誘ってくださいませね」
「ええ…是非」
二度と呼ばない、そう顔に書いてある。
シズリアは内心ガッツポーズをしながらアーザー邸を後にした。
帰りの馬車にて。
「お疲れ様でしたシズリア様、ご立派でしたわ」
堂々と振る舞ったシズリアに、キリアは感動していた。
「椅子が濡れてるとかお茶をかけるとか、地味過ぎて笑いそうだったわ~」
三人がかりであの程度とは拍子抜けである。
「きっと庶民の出だから泣くとでも思ったのでしょうね」
「甘いわねー、そんなか弱くもなければ世間知らずのお嬢さんでもないわ」
少なくとも25年生きてきたのだから、彼女達より人生経験は豊富だ。
「でも靴が勿体なかったわね、洗ったらまた履けるかしら」
一度しか履いていないのだ、ティーカップの破片がついているからとハンカチに包まれた靴に目をやる。
「すぐに洗えなかったのでシミになるかもしれませんね…捨てる予定ですけれど」
「もったいない!でも普段使いする機会もないし…お金持ちって凄いわ」
貧乏人だったシズリアにとっては慣れない金銭感覚だ。
庶民的であり、芯の強い女性でもあるシズリア。
キリアはジークハルトが彼女と出会えた事を神に感謝していた。
(神よ、素晴らしい女性をジーク様に与えてくださって感謝いたします)
乳兄弟として生まれた頃からジークハルトと一緒にいるキリア。
彼が女に興味が無い事、見合いに疲れ果てていたことをよく知っている。
シズリアが異世界から来たらしいと聞いた時は驚いたが、きっと神がジークハルトのために連れてきてくれたのだと思った。
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