15 / 49
第15話:ドキドキ初デート
しおりを挟む
城下町は朝から出店が並び賑わっている。
夜には花火大会もあり、一日中人の姿が絶えることはない。
「あら姫様!おはようございます!」
「姫様うちの店でも買ってってくださいよー!」
「去年ご要望があった射的ですよ!如何ですか?」
今日もリューファは大人気で、あちこちから声が掛かる。
「ほれイケメンさんも!祭りといえばこの花を胸に飾るんだよ、着けていきな!」
国の花である太陽華の造花を渡されたリューファとルードヴィッヒは、それぞれ胸に挿して飾った。
「うふふ、お揃いね!」
子供の頃のように無邪気に笑う彼女の笑顔は眩してくて。
目を細めるルードヴィッヒ。
そんな二人を見守るミーナとジェネは、どれほど連れ回されても疲れひとつ見せないプロ根性を見せる。
体力の塊であるリューファは、昼食時に座るまであちこち歩き続けたのだ。
慣れていないルードヴィッヒは正直辛さもあったが、それを忘れるくらいリューファの愛らしさを独占できている事が嬉しかった。
「ねえルードヴィッヒ、このジュースを恋人同士で一緒に飲むと絶対離れないんですって!」
「そうなのですか。飲みにくいですし恋人同士ではありませんが」
「ねえルードヴィッヒ、ここの石を一つ拾って贈り合うと幸せのお守りになるんですって!」
「そうなのですか、どれでもよろしいのですか?」
「ねえルードヴィッヒ、メルルの占いは当たるって評判なのよ!結婚運占って貰いましょうよ!」
「構いませんが、運勢が最悪でも泣かないでくださいね」
話しかけ続けるリューファと、律儀に返事をするルードヴィッヒ。
ちなみに占いの結果は相性最高と出たが、顔見知りの占いなど当てにならないとルードヴィッヒに一蹴されてしまった。
そして日が暮れ始め、一通り屋台を見て回ったリューファはようやく満足したようで木陰で休息を取ることに。
「この後は花火ね、とっても楽しみだわ」
「そうですね…そういえば近くで見るのはこちらに来た最初の年以来です」
ギルファンに拾われた後、忙しい王に代わって王妃が色々な所へ連れ出してくれた。
リューファと共に花火を見たのも最初の年だけ、それ以来ルードヴィッヒは勉強に励んできたのだ。
「毎年誘っても来てくれないんだもん、執務室から見るのとは迫力が違うわよ」
城からもよく見えるけれど、距離があるため振動や火薬の匂いまではあまり感じられない。
リューファが毎年街に出て祭りに参加するのは、肌で感じたいからだ。
「やっと一緒に見れて嬉しいわ、本当に楽しみにしてたのよ」
満面の笑みを向けられ、ルードヴィッヒは胸に苦しさを感じる。
(なんだろうこれは。疲れ?それとも…)
恋愛なんて知らない。
大切な気持ち、可愛いと思う気持ちはあるけれど。
それを恋と呼ぶかどうか、誰か判断してくれたら良いのに。
夜には花火大会もあり、一日中人の姿が絶えることはない。
「あら姫様!おはようございます!」
「姫様うちの店でも買ってってくださいよー!」
「去年ご要望があった射的ですよ!如何ですか?」
今日もリューファは大人気で、あちこちから声が掛かる。
「ほれイケメンさんも!祭りといえばこの花を胸に飾るんだよ、着けていきな!」
国の花である太陽華の造花を渡されたリューファとルードヴィッヒは、それぞれ胸に挿して飾った。
「うふふ、お揃いね!」
子供の頃のように無邪気に笑う彼女の笑顔は眩してくて。
目を細めるルードヴィッヒ。
そんな二人を見守るミーナとジェネは、どれほど連れ回されても疲れひとつ見せないプロ根性を見せる。
体力の塊であるリューファは、昼食時に座るまであちこち歩き続けたのだ。
慣れていないルードヴィッヒは正直辛さもあったが、それを忘れるくらいリューファの愛らしさを独占できている事が嬉しかった。
「ねえルードヴィッヒ、このジュースを恋人同士で一緒に飲むと絶対離れないんですって!」
「そうなのですか。飲みにくいですし恋人同士ではありませんが」
「ねえルードヴィッヒ、ここの石を一つ拾って贈り合うと幸せのお守りになるんですって!」
「そうなのですか、どれでもよろしいのですか?」
「ねえルードヴィッヒ、メルルの占いは当たるって評判なのよ!結婚運占って貰いましょうよ!」
「構いませんが、運勢が最悪でも泣かないでくださいね」
話しかけ続けるリューファと、律儀に返事をするルードヴィッヒ。
ちなみに占いの結果は相性最高と出たが、顔見知りの占いなど当てにならないとルードヴィッヒに一蹴されてしまった。
そして日が暮れ始め、一通り屋台を見て回ったリューファはようやく満足したようで木陰で休息を取ることに。
「この後は花火ね、とっても楽しみだわ」
「そうですね…そういえば近くで見るのはこちらに来た最初の年以来です」
ギルファンに拾われた後、忙しい王に代わって王妃が色々な所へ連れ出してくれた。
リューファと共に花火を見たのも最初の年だけ、それ以来ルードヴィッヒは勉強に励んできたのだ。
「毎年誘っても来てくれないんだもん、執務室から見るのとは迫力が違うわよ」
城からもよく見えるけれど、距離があるため振動や火薬の匂いまではあまり感じられない。
リューファが毎年街に出て祭りに参加するのは、肌で感じたいからだ。
「やっと一緒に見れて嬉しいわ、本当に楽しみにしてたのよ」
満面の笑みを向けられ、ルードヴィッヒは胸に苦しさを感じる。
(なんだろうこれは。疲れ?それとも…)
恋愛なんて知らない。
大切な気持ち、可愛いと思う気持ちはあるけれど。
それを恋と呼ぶかどうか、誰か判断してくれたら良いのに。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
溺愛の始まりは魔眼でした。騎士団事務員の貧乏令嬢、片想いの騎士団長と婚約?!
参
恋愛
男爵令嬢ミナは実家が貧乏で騎士団の事務員と騎士団寮の炊事洗濯を掛け持ちして働いていた。ミナは騎士団長オレンに片想いしている。バレないようにしつつ長年真面目に働きオレンの信頼も得、休憩のお茶まで一緒にするようになった。
ある日、謎の香料を口にしてミナは魔法が宿る眼、魔眼に目覚める。魔眼のスキルは、筋肉のステータスが見え、良い筋肉が目の前にあると相手の服が破けてしまうものだった。ミナは無類の筋肉好きで、筋肉が近くで見られる騎士団は彼女にとっては天職だ。魔眼のせいでクビにされるわけにはいかない。なのにオレンの服をびりびりに破いてしまい魔眼のスキルを話さなければいけない状況になった。
全てを話すと、オレンはミナと協力して魔眼を治そうと提案する。対処法で筋肉を見たり触ったりすることから始まった。ミナが長い間封印していた絵描きの趣味も魔眼対策で復活し、よりオレンとの時間が増えていく。片想いがバレないようにするも何故か魔眼がバレてからオレンが好意的で距離も近くなり甘やかされてばかりでミナは戸惑う。別の日には我慢しすぎて自分の服を魔眼で破り真っ裸になった所をオレンに見られ彼は責任を取るとまで言いだして?!
※結構ふざけたラブコメです。
恋愛が苦手な女性シリーズ、前作と同じ世界線で描かれた2作品目です(続きものではなく単品で読めます)。今回は無自覚系恋愛苦手女性。
ヒロインによる一人称視点。全56話、一話あたり概ね1000~2000字程度で公開。
前々作「訳あり女装夫は契約結婚した副業男装妻の推し」前作「身体強化魔法で拳交える外交令嬢の拗らせ恋愛~隣国の悪役令嬢を妻にと連れてきた王子に本来の婚約者がいないとでも?~」と同じ時代・世界です。
※小説家になろう、ノベルアップ+にも投稿しています。※R15は保険です。
氷の姫は戦場の悪魔に恋をする。
米田薫
恋愛
皇女エマはその美しさと誰にもなびかない性格で「氷の姫」として恐れられていた。そんなエマに異母兄のニカはある命令を下す。それは戦場の悪魔として恐れられる天才将軍ゼンの世話係をしろというものである。そしてエマとゼンは互いの生き方に共感し次第に恋に落ちていくのだった。
孤高だが実は激情を秘めているエマと圧倒的な才能の裏に繊細さを隠すゼンとの甘々な恋物語です。一日2章ずつ更新していく予定です。
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません
あなたに忘れられない人がいても――公爵家のご令息と契約結婚する運びとなりました!――
おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
※1/1アメリアとシャーロックの長女ルイーズの恋物語「【R18】犬猿の仲の幼馴染は嘘の婚約者」が完結しましたので、ルイーズ誕生のエピソードを追加しています。
※R18版はムーンライトノベルス様にございます。本作品は、同名作品からR18箇所をR15表現に抑え、加筆修正したものになります。R15に※、ムーンライト様にはR18後日談2話あり。
元は令嬢だったが、現在はお針子として働くアメリア。彼女はある日突然、公爵家の三男シャーロックに求婚される。ナイトの称号を持つ元軍人の彼は、社交界で浮名を流す有名な人物だ。
破産寸前だった父は、彼の申し出を二つ返事で受け入れてしまい、アメリアはシャーロックと婚約することに。
だが、シャーロック本人からは、愛があって求婚したわけではないと言われてしまう。とは言え、なんだかんだで優しくて溺愛してくる彼に、だんだんと心惹かれていくアメリア。
初夜以外では手をつけられずに悩んでいたある時、自分とよく似た女性マーガレットとシャーロックが仲睦まじく映る写真を見つけてしまい――?
「私は彼女の代わりなの――? それとも――」
昔失くした恋人を忘れられない青年と、元気と健康が取り柄の元令嬢が、契約結婚を通して愛を育んでいく物語。
※全13話(1話を2〜4分割して投稿)
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
天然王妃は国王陛下に溺愛される~甘く淫らに啼く様~
一ノ瀬 彩音
恋愛
クレイアは天然の王妃であった。
無邪気な笑顔で、その豊満過ぎる胸を押し付けてくるクレイアが可愛くて仕方がない国王。
そんな二人の間に二人の側室が邪魔をする!
果たして国王と王妃は結ばれることが出来るのか!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる