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第12話:大きくなりたい

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竜人は体格に恵まれている者も多い。

そんな中、リューファは小柄な方でなかなか背が伸びない事が密かな悩みだった。


「うーん、ほとんど変わってない…」


毎月の健康診断の日。

身体測定の結果を見てリューファはガクリと項垂れる。

あと二ヶ月で16歳になるのだが、どうにも成長が止まってきてしまったようだ。


「竜化しても小さめだし、何故なの」


そしてもう一つ彼女を悩ませている問題。


「…胸も育たないなんて。何かの呪い?!」


毎回担当している女医の豊満な胸を恨めしそうに見つめ叫ぶリューファ。

毎度のことなので慣れている女医のアーマは記録帳をパタリと閉じる。


「まあまあ姫様落ち着いて。姫様は小柄ですけれど骨盤はしっかりしてらっしゃるし、お相手はあの人間の予定なのでしょう?馬鹿デカイ赤ん坊なんて生まれやしないでしょうから、お体は小さくても安産型でよろしいではありませんか」


生々しい話をされリューファは赤面した。


「ちょっとやめてよアーマ先生!そ、そんな子供とか気が早いし!そんな、そんな…」


そして先日の毛先への口付けを思い出してしまい、リューファはボンっと尻尾を生やす。


「あ」


竜の尻尾だけ生やすという新しい技(?)を披露したリューファだが、そのせいで下着が破れてしまった。

呆れ顔のアーマに予備の下着を貰い、破れた下着を自分で拾い集めるという悲しさ。


「もしルードヴィッヒが巨乳好きだったらどうしよう」


まだ落ち込んでいるリューファの背中をアーマがビシビシ叩く。


「気にしない気にしない!あの宰相くんがそんなこと気にするとは思えないし!」

「痛い痛い!アーマ先生力強すぎ!」


涙目になりながら、リューファは医務室を後にした。


「もー、わたくしは真剣に悩んでるのに」


アーマは毎回励ましてくれるが、爆乳美女アーマに何を言われてもリューファの心は晴れないのだ。

去年アーマが教えてくれた胸のマッサージを一年続けているが、効果が見られない。


「なんでなの…わたくしには火を吐く以外取り柄がないっていうの?!」


竜化した時のリューファの強さはかなりのもので、もっと成長すれば王に次ぐくらいになるのではと期待されている。

乙女としては複雑だが、時期国王になるのだから鍛錬を欠かすわけにもいかない。

女王になる自覚と覚悟はしっかり持っているリューファ、この後も騎士に混じって訓練する予定だ。

訓練場に行くと、ちょうど新人教育の最中だった。


「あ、姫様!」

「ご苦労様、ちょっと来るのが早かったみたいね」


終わった頃に顔を出すつもりだったのだが時間がズレ込んでいるようだ。

リューファは新人達の訓練を見学することにした。


(はぁ…鍛えれば応えてくれる筋肉みたいに、胸もマッサージで膨らんだらいいのに)


まだ諦めきれない巨乳への道。

リューファがそんな事を考えているとは思わず、新人達は緊張した時間を過ごす。
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