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第2話:初恋は実らない?

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ルードヴィッヒと出会って以来、リューファはずっと彼にくっついていた。

共に勉強を始めると、彼の天才的な頭脳に驚かされ。

追いつけはしなかったが、なんとか食らいつこうと努力するようになったおかげで見違えるほど成長した。


「立派な女王様になるのを楽しみにしていますよ」


と言われたから、大嫌いなマナーの授業もしっかり聞くようになり。

15歳になったリューファは、外交の場にも出られるほどの王女になっていた。


「お可愛らしい姫君、我が息子と会ってみてくれませんか?」


獣人族の族長から打診があったが、リューファはキッパリと断る。


「申し訳ございませんけれど、わたくしには心に決めた方がおりますの」


チラリと横を見れば、無表情で立つ麗しのルードヴィッヒ。

彼はその頭脳を買われ、僅か25歳にして宰相の地位を獲得。

人間族の若造が宰相など有り得ないという批判も、その美貌と頭脳で跳ね除けた強者だ。

リューファは初恋のルードヴィッヒを思い続けていた。


「姫様、そろそろ見合いの一つでもなさっては?」


想いを寄せている相手にそんなことを言われる辛さ。


「嫌よ!わたくしは貴方と結婚するんだから!」


この10年間、毎日のようにプロポーズしているのだが頷いてはくれない。


「私は国王陛下にお使えする宰相です、王女様のお相手など務まりませんよ」


「宰相や使用人と結婚した例もあるわ、問題ないじゃない!」


表向きのワガママがなくなったとはいえ、リューファの性格が大きく変わったわけではない。

身近なものに対してはワガママを言うし癇癪を起こすこともある。


(初恋は実らない…あの話大っ嫌い!!)


何度も読まされた昔話や童話によく出てきたフレーズに怒ったリューファは、今まで何度も竜化してきた。


「…姫様、」

「リューファって呼んでっていつも言ってるでしょ!」


頬を膨らませるリューファに、ルードヴィッヒは困ったような笑みを向ける。


「リューファ様、あまり両陛下を困らせるようなことをなさらないでください」


5歳の時からルードヴィッヒに夢中になってしまったリューファ。

勉強に励むようになったのは良かったけれど、他の男には見向きもしない。

そろそろ縁談をと考え始めた国王夫妻の悩みの種になっている。


「好きな人がいるのに、好きじゃない人と結婚することが親孝行なの?」


リューファの目に涙が浮かぶ。

嘘泣きではなく、自然と溢れそうになる涙を必死に堪えルードヴィッヒを真っ直ぐに見つめる。


「私は捨てられた人間。貴女に相応しくないですよ」


ルードヴィッヒの両親は、彼のあまりの美しさを不気味がりずっと軟禁していたらしい。

部屋には本だけは差し入れしてくれたから、それを読むことが唯一の楽しみだった。

実は貴族の生まれなのだが、両親とも他の兄弟とも似ていなかったため魔物の取り替え子だと言われて育ったのだ。


「そんなの理由にならないわ。わたくしが好きなんだもの!」


何度も聞かされた話。

しかしリューファは諦めない。


「ぜーったい振り向かせてみせるんだから!」


妹のように思っているけれど、恋愛感情というものが分からないルードヴィッヒは応えることができなかった。
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