360 / 382
第14章 そして神になった
【次元の狭間9】
しおりを挟む
<<マサル視点>>
監査部に異変が起きた時の資料が残っていた。
しかも映像まであるじゃないか。
俺はリモコン片手に早送りと再生を繰り返して、問題の時間帯を映す。
たしかにノイズのようなものが入って映像が数秒途絶えている。
少し巻き戻して再び再生。
今度は超スロー再生で映すと共に、魔法を使ってポケットに入れた魔石に録画しておく。
波形についても、映像と時間を合わせた形で映像として保存した。
よし、とりあえずはこれでこの場所で手に入るものは全て手に入った。
黙って録画するのは良心の仮借があるが、機密事項である以上仕方がない。
心の中でライクさんに謝りながら監査部を後にした。
「マサルさん、映像を録画していた?」
調査室の事務所に戻るとユウコさんが話し掛けてきた。
「ああ、ライクさんには申し訳無かったけどね。
あそこでこちらの映像を見せるわけにはいかなかったからね。」
「ライクさんは魔法があまり得意じゃないから気付かれなかったけど、得意な人だったら気付かれてたかもね。」
「そうだな、これからは気を付けるよ。」
今まであまり気にしたことがなかったけど、こっちの人達はそういうのに敏感なんだったな。
ユウコさんに指摘されるまで忘れてたよ。
「さあ、映像をもう一度確認しましょ。」
「ああ、そうしょう。」
事務所の白い壁に召喚部屋で撮った映像と監査部で得た映像を並べて映す。
次元の波形を参考に再生のタイミングを合わせると、二元中継のような映像が映し出された。
「わー、これ、分かりやすいわね。」
右側にミリヤ様が召喚ボタンを押す様子が映ると、左側には監査部から見た地球の映像と波形が映り、召喚部屋が白くなるに連れて波形が大きく揺れている。
ちょうど日本の辺りが明るくなって一筋の線が伸びたかと思ったらブツッと切れた。
波形はひときわ大きく振れて地球の映像が乱れた。
数秒後、映像が戻った時には波形は何も無かったかのように真っ直ぐに描かれていた。
「ねえマサルさん。地球から伸びていた線は恐らく召喚室に続いていたんでしょうね。
右側の映像でアキラ君が近付いて来るのとリンクしていたわ。
そして線が切れた時にアキラ君の足元に黒い靄が現れ、乱れたタイミングでアキラ君が消えたわ。」
ユウコさんの言う通りふたつの映像は完璧に同期していた。
「ユウコさん、ちょっとここを見て。」
俺は両方の映像を同期を取ったまま巻き戻し、地球から線が伸びる瞬間をスロー再生した。
「あれっ、線が伸びる少し前から日本の辺りに薄く靄がかかってるみたいね。
そして伸びる線にも靄が纏わり付いているわ。
よく見ないと分からなかったわ。」
「この白く伸びる線が召喚室の白い光で纏わり付く靄が召喚室の黒い靄、そして映像の乱れがアキラ君が消えた瞬間に見えた歪みだと考えられるね。
そうすると、地球からアキラ君が召喚された時点で既にアキラ君は別の力で引っ張られていたのかもな。
そして、たまたまミリア様の召喚の最中にそちらに持っていかれたのかも。」
隣でユウコさんはなにやら考えている様子。
ガチャ
ちょうどその時室長が入ってきた。
「おやユウコ君、眉間にしわを寄せてどうしたんだい?」
「ああ室長。さっき監査部から帰ってきて向こうで入手した映像を見ていたんです。」
俺は壁に映像を映し室長に見せる。
「右側が俺が召喚室で取ってきた映像です。左側は監査部で見せてもらった映像を盗み撮りしてきたものです。すいません。」
「盗み撮りとは穏やかじゃないな。まあ、この件については機密事項なので仕方が無いが、内々に監査部の上層部とは連携を取っているから、これからは先にこちらに連絡して欲しいな。」
「すいません、そうさせてもらいます。
それで左側はアキラ君が召喚された時のアースの様子を撮った映像です。
そしてその横が監査部で測定していた次元の波形ですね。この3つの映像は同期を取ってありますので、見比べて頂くとよく分かると思います。」
俺は映像を流しながら自分の推測を室長に説明していった。
「うむ、よくわかったよ。我々も理屈としては理解しているがこうして多角的に見るとよく理解できるな。こういったものを学校の教材に使うべきかな。
まあそんなことはどうでもいい。マサル君、君の推論はほぼ間違いないだろう。
我々の持っている認識と照らし合わせても正しいと思う。
それで君の推論通り、我々の他にアースの人間を召喚している者達がいるってことで間違いなさそうだ。
恐らく彼らは我々の目を盗みながら召喚、いや誘拐とでもいうべきか、を繰り返して次元の狭間に落としているのだろう。
目的は、まだあくまでも推測ではあるが、次元の狭間に落ちた者達から生命エネルギーを吸い取ることかな。」
「そうですね。俺もなんとなくそういう推論を立てていました。」
「ま、待って、何か話しが見えないんだけど。」
目を白黒させているユウコさん。
「ユウコさん、この世界の人達がなぜ新しく星を作っているのか知ってる?
前にマリス様に聞いたことがあるんだけど、文明を起こし良質な生命をたくさん作ることでそのエネルギーを得ることが目的なんだって。
信仰心は何よりのエネルギーになるから、運営課の人達は異世界の神としてその世界を導くのだそうだよ。
そうですよね、室長。」
「そうだな、召喚者には内緒にする方針なんだが、マリス君は口が軽いと言わざるを得ないな。
まあ君達なら大丈夫だろう。マサル君の言うとおりだ。
生命エネルギーを得るために我々は新しい生命を創っている。
ところで最も生命エネルギーを得られる方法をユウコ君は知っているかい?」
「.......あっ、わかりました。」
監査部に異変が起きた時の資料が残っていた。
しかも映像まであるじゃないか。
俺はリモコン片手に早送りと再生を繰り返して、問題の時間帯を映す。
たしかにノイズのようなものが入って映像が数秒途絶えている。
少し巻き戻して再び再生。
今度は超スロー再生で映すと共に、魔法を使ってポケットに入れた魔石に録画しておく。
波形についても、映像と時間を合わせた形で映像として保存した。
よし、とりあえずはこれでこの場所で手に入るものは全て手に入った。
黙って録画するのは良心の仮借があるが、機密事項である以上仕方がない。
心の中でライクさんに謝りながら監査部を後にした。
「マサルさん、映像を録画していた?」
調査室の事務所に戻るとユウコさんが話し掛けてきた。
「ああ、ライクさんには申し訳無かったけどね。
あそこでこちらの映像を見せるわけにはいかなかったからね。」
「ライクさんは魔法があまり得意じゃないから気付かれなかったけど、得意な人だったら気付かれてたかもね。」
「そうだな、これからは気を付けるよ。」
今まであまり気にしたことがなかったけど、こっちの人達はそういうのに敏感なんだったな。
ユウコさんに指摘されるまで忘れてたよ。
「さあ、映像をもう一度確認しましょ。」
「ああ、そうしょう。」
事務所の白い壁に召喚部屋で撮った映像と監査部で得た映像を並べて映す。
次元の波形を参考に再生のタイミングを合わせると、二元中継のような映像が映し出された。
「わー、これ、分かりやすいわね。」
右側にミリヤ様が召喚ボタンを押す様子が映ると、左側には監査部から見た地球の映像と波形が映り、召喚部屋が白くなるに連れて波形が大きく揺れている。
ちょうど日本の辺りが明るくなって一筋の線が伸びたかと思ったらブツッと切れた。
波形はひときわ大きく振れて地球の映像が乱れた。
数秒後、映像が戻った時には波形は何も無かったかのように真っ直ぐに描かれていた。
「ねえマサルさん。地球から伸びていた線は恐らく召喚室に続いていたんでしょうね。
右側の映像でアキラ君が近付いて来るのとリンクしていたわ。
そして線が切れた時にアキラ君の足元に黒い靄が現れ、乱れたタイミングでアキラ君が消えたわ。」
ユウコさんの言う通りふたつの映像は完璧に同期していた。
「ユウコさん、ちょっとここを見て。」
俺は両方の映像を同期を取ったまま巻き戻し、地球から線が伸びる瞬間をスロー再生した。
「あれっ、線が伸びる少し前から日本の辺りに薄く靄がかかってるみたいね。
そして伸びる線にも靄が纏わり付いているわ。
よく見ないと分からなかったわ。」
「この白く伸びる線が召喚室の白い光で纏わり付く靄が召喚室の黒い靄、そして映像の乱れがアキラ君が消えた瞬間に見えた歪みだと考えられるね。
そうすると、地球からアキラ君が召喚された時点で既にアキラ君は別の力で引っ張られていたのかもな。
そして、たまたまミリア様の召喚の最中にそちらに持っていかれたのかも。」
隣でユウコさんはなにやら考えている様子。
ガチャ
ちょうどその時室長が入ってきた。
「おやユウコ君、眉間にしわを寄せてどうしたんだい?」
「ああ室長。さっき監査部から帰ってきて向こうで入手した映像を見ていたんです。」
俺は壁に映像を映し室長に見せる。
「右側が俺が召喚室で取ってきた映像です。左側は監査部で見せてもらった映像を盗み撮りしてきたものです。すいません。」
「盗み撮りとは穏やかじゃないな。まあ、この件については機密事項なので仕方が無いが、内々に監査部の上層部とは連携を取っているから、これからは先にこちらに連絡して欲しいな。」
「すいません、そうさせてもらいます。
それで左側はアキラ君が召喚された時のアースの様子を撮った映像です。
そしてその横が監査部で測定していた次元の波形ですね。この3つの映像は同期を取ってありますので、見比べて頂くとよく分かると思います。」
俺は映像を流しながら自分の推測を室長に説明していった。
「うむ、よくわかったよ。我々も理屈としては理解しているがこうして多角的に見るとよく理解できるな。こういったものを学校の教材に使うべきかな。
まあそんなことはどうでもいい。マサル君、君の推論はほぼ間違いないだろう。
我々の持っている認識と照らし合わせても正しいと思う。
それで君の推論通り、我々の他にアースの人間を召喚している者達がいるってことで間違いなさそうだ。
恐らく彼らは我々の目を盗みながら召喚、いや誘拐とでもいうべきか、を繰り返して次元の狭間に落としているのだろう。
目的は、まだあくまでも推測ではあるが、次元の狭間に落ちた者達から生命エネルギーを吸い取ることかな。」
「そうですね。俺もなんとなくそういう推論を立てていました。」
「ま、待って、何か話しが見えないんだけど。」
目を白黒させているユウコさん。
「ユウコさん、この世界の人達がなぜ新しく星を作っているのか知ってる?
前にマリス様に聞いたことがあるんだけど、文明を起こし良質な生命をたくさん作ることでそのエネルギーを得ることが目的なんだって。
信仰心は何よりのエネルギーになるから、運営課の人達は異世界の神としてその世界を導くのだそうだよ。
そうですよね、室長。」
「そうだな、召喚者には内緒にする方針なんだが、マリス君は口が軽いと言わざるを得ないな。
まあ君達なら大丈夫だろう。マサル君の言うとおりだ。
生命エネルギーを得るために我々は新しい生命を創っている。
ところで最も生命エネルギーを得られる方法をユウコ君は知っているかい?」
「.......あっ、わかりました。」
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる