355 / 382
第14章 そして神になった
【次元の狭間4】
しおりを挟む
<<マサル視点>>
局長に続いて局長室から現れたのはユウコさんだった。
「紹介しておこうか。彼女はユウコ君。この調査室で働いてもらうことになった。
マサル君は面識があるんだったね。
さて、これで全員集まったから、この部署について説明しておこうか。」
4人で部屋の奥にある会議エリアに移動する。
ユウコさんは俺の隣に座った。
悪戯が成功した子供みたいに顔が綻んでいる。
「さて、この部署のミッションについてだが、正直に言うとよく分かっていないんだ。
その分かっていないところを探してもらうことから始めることになる。
マサル君、君が先日救ったアースの子供達の件があっただろう。
ある意味あれがこの部署をつくるきっかけとなった。
これまでも召喚途中で次元の狭間に落ちてしまう召喚者はいたのだが、数が少なく救いようもかもなかった為、事故として放置していたのが現実だ。
ただ今回は君の活躍で貴重なアースの若者を200人も救い出すことが出来た。
そして、何者かによる明確な攻撃を受けたね。
これにより、今回初めて次元の狭間に介在する何者かの存在が明らかになったのさ。
となると、我々が事故だと結論付けていた次元の狭間への転落は意図されていたものではないか、との話しになる。
実は監査部でも以前から調査していたみたいで、今回のことを契機に協力して本格的な対策に当たろうということになったのだよ。
監査部はあくまで秘密組織だからおおっぴらに活動するのは難しい。
それで異世界管理局内に部署を新設し、監査部からユウコ君に来てもらうことになったんだ。
ユウコ君自己紹介でもどうだ。」
「ユウコです。マサルさんと同じアース出身の転移者です。
わたしの場合は異世界管理局から召喚されたわけではなく、山陰で起こった大地震の際に次元の狭間に落ちそうになったところを、監査部のエージェントに助けてもらいそのまま召喚者として監査部に協力していました。
マサルさん同様、あの狭間に入れるのがわたしだけだったので、この前はお手伝いさせて頂いたんです。」
「異世界管理局以外からの召喚ですか?」
「そうです。あまり詳しくは言えないんですけど、監査部はあらゆる場所にエージェントを配置して様々な監視をしています。
その中で異世界管理局が関与しない転移を何件も突き止めています。
そしてそのほとんどが次元の狭間に落ちているのも認識していました。」
「そういうわけだ。ちなみに我が運営課で召喚している最中に次元の狭間に落ちてしまい事故として扱ってきた。
だが今回の件で事情が変わった。
何者かが関与して召喚を妨害していることが明確になったからだ。
明らかに我々の邪魔をするのであれば排除するしかないだろう。」
微笑む局長の顔が怖い。
局長が出ていった部屋に残った3人。
「ねえ、マサルさん。ランチまだでしょ。一緒にどう?」
ユウコさんが俺の腕を取って甘えてくる。
「室長もまだですよね。ご一緒しませんか?」
「ああ、ユウコ君申し訳ないね。おじさんも同席させてもらうよ。」
「えーー、あっ大丈夫です。3人で行きましょう。」
どうやらユウコさん、これが素らしい。
まあ見た目も女子高生ぽいっしな。
3人でランチを食べて事務所に戻ると早速作戦会議を始める。
まあ、作戦会議って言っても情報交換だけだけどね。
ユウコさんが次元の狭間に落ちそうになった時のこと。
そこから助け出された時の話しや、その後監査部での業務内容等々。
言いにくそうに口ごもることもあるけど、それはしょうがない。
ただ漂う気配や匂い、視覚などの感覚的なものについてはこの前経験したものと似通っていた。
それが次元の狭間が全てそうなのかどうかは分からないが少なくとも判別の材料にはなるだろう。
どうも次元の狭間は時間がおかしい。
というのも、この世界は時間軸はたくさんあり自由に行き来出来るのだが、ベクトルは全て一定方向だと考えられている。
だがこの前行った次元の狭間では時間がループしているように感じた。
いや実際には微妙に変化しているので一方向に流れているのであろうが、基本は一定期間でループしていた。
この前のケースでは修学旅行の5日間が1週期になっていたのだ。
俺もユウコさんに指摘されていなければ気付かずにそのまま抜け出せなかったかもしれない。
「さあ、そろそろ今日の所は終業にしようか。初日なのだから本当はパアーっと行きたいところなのだが、調査室ということを踏まえればあまり目立つのもな。
今日はおとなしく帰るとするか。じゃあまた明日。」
室長はそういうとスーーッと転移して消えてしまった。
「じゃあ俺も。」
「ちょっと、マサルさん、一緒に晩御飯でも。ランチはお邪魔虫がいたしね。」
「今日は家で家族が就職祝いをしてくれるらしいんだ。」
「じゃあわたしも一緒に行っていい?わたし独り暮らしだから家に帰ってもつまらないのよねー。」
ユウコさん、腕にしがみ付いて放してくれそうにない。
「わかりました。じゃあウチで食事会にしましょうか。」
「わーーい。マサルさん、やっさしーー!」
俺達はそのままラスク星にある自宅に転移したのだった。
局長に続いて局長室から現れたのはユウコさんだった。
「紹介しておこうか。彼女はユウコ君。この調査室で働いてもらうことになった。
マサル君は面識があるんだったね。
さて、これで全員集まったから、この部署について説明しておこうか。」
4人で部屋の奥にある会議エリアに移動する。
ユウコさんは俺の隣に座った。
悪戯が成功した子供みたいに顔が綻んでいる。
「さて、この部署のミッションについてだが、正直に言うとよく分かっていないんだ。
その分かっていないところを探してもらうことから始めることになる。
マサル君、君が先日救ったアースの子供達の件があっただろう。
ある意味あれがこの部署をつくるきっかけとなった。
これまでも召喚途中で次元の狭間に落ちてしまう召喚者はいたのだが、数が少なく救いようもかもなかった為、事故として放置していたのが現実だ。
ただ今回は君の活躍で貴重なアースの若者を200人も救い出すことが出来た。
そして、何者かによる明確な攻撃を受けたね。
これにより、今回初めて次元の狭間に介在する何者かの存在が明らかになったのさ。
となると、我々が事故だと結論付けていた次元の狭間への転落は意図されていたものではないか、との話しになる。
実は監査部でも以前から調査していたみたいで、今回のことを契機に協力して本格的な対策に当たろうということになったのだよ。
監査部はあくまで秘密組織だからおおっぴらに活動するのは難しい。
それで異世界管理局内に部署を新設し、監査部からユウコ君に来てもらうことになったんだ。
ユウコ君自己紹介でもどうだ。」
「ユウコです。マサルさんと同じアース出身の転移者です。
わたしの場合は異世界管理局から召喚されたわけではなく、山陰で起こった大地震の際に次元の狭間に落ちそうになったところを、監査部のエージェントに助けてもらいそのまま召喚者として監査部に協力していました。
マサルさん同様、あの狭間に入れるのがわたしだけだったので、この前はお手伝いさせて頂いたんです。」
「異世界管理局以外からの召喚ですか?」
「そうです。あまり詳しくは言えないんですけど、監査部はあらゆる場所にエージェントを配置して様々な監視をしています。
その中で異世界管理局が関与しない転移を何件も突き止めています。
そしてそのほとんどが次元の狭間に落ちているのも認識していました。」
「そういうわけだ。ちなみに我が運営課で召喚している最中に次元の狭間に落ちてしまい事故として扱ってきた。
だが今回の件で事情が変わった。
何者かが関与して召喚を妨害していることが明確になったからだ。
明らかに我々の邪魔をするのであれば排除するしかないだろう。」
微笑む局長の顔が怖い。
局長が出ていった部屋に残った3人。
「ねえ、マサルさん。ランチまだでしょ。一緒にどう?」
ユウコさんが俺の腕を取って甘えてくる。
「室長もまだですよね。ご一緒しませんか?」
「ああ、ユウコ君申し訳ないね。おじさんも同席させてもらうよ。」
「えーー、あっ大丈夫です。3人で行きましょう。」
どうやらユウコさん、これが素らしい。
まあ見た目も女子高生ぽいっしな。
3人でランチを食べて事務所に戻ると早速作戦会議を始める。
まあ、作戦会議って言っても情報交換だけだけどね。
ユウコさんが次元の狭間に落ちそうになった時のこと。
そこから助け出された時の話しや、その後監査部での業務内容等々。
言いにくそうに口ごもることもあるけど、それはしょうがない。
ただ漂う気配や匂い、視覚などの感覚的なものについてはこの前経験したものと似通っていた。
それが次元の狭間が全てそうなのかどうかは分からないが少なくとも判別の材料にはなるだろう。
どうも次元の狭間は時間がおかしい。
というのも、この世界は時間軸はたくさんあり自由に行き来出来るのだが、ベクトルは全て一定方向だと考えられている。
だがこの前行った次元の狭間では時間がループしているように感じた。
いや実際には微妙に変化しているので一方向に流れているのであろうが、基本は一定期間でループしていた。
この前のケースでは修学旅行の5日間が1週期になっていたのだ。
俺もユウコさんに指摘されていなければ気付かずにそのまま抜け出せなかったかもしれない。
「さあ、そろそろ今日の所は終業にしようか。初日なのだから本当はパアーっと行きたいところなのだが、調査室ということを踏まえればあまり目立つのもな。
今日はおとなしく帰るとするか。じゃあまた明日。」
室長はそういうとスーーッと転移して消えてしまった。
「じゃあ俺も。」
「ちょっと、マサルさん、一緒に晩御飯でも。ランチはお邪魔虫がいたしね。」
「今日は家で家族が就職祝いをしてくれるらしいんだ。」
「じゃあわたしも一緒に行っていい?わたし独り暮らしだから家に帰ってもつまらないのよねー。」
ユウコさん、腕にしがみ付いて放してくれそうにない。
「わかりました。じゃあウチで食事会にしましょうか。」
「わーーい。マサルさん、やっさしーー!」
俺達はそのままラスク星にある自宅に転移したのだった。
0
お気に入りに追加
331
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!
モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。
突然の事故で命を落とした主人公。
すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。
それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。
「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。
転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。
しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。
そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。
※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。
前世で家族に恵まれなかった俺、今世では優しい家族に囲まれる 俺だけが使える氷魔法で異世界無双
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
家族や恋人もいなく、孤独に過ごしていた俺は、ある日自宅で倒れ、気がつくと異世界転生をしていた。
神からの定番の啓示などもなく、戸惑いながらも優しい家族の元で過ごせたのは良かったが……。
どうやら、食料事情がよくないらしい。
俺自身が美味しいものを食べたいし、大事な家族のために何とかしないと!
そう思ったアレスは、あの手この手を使って行動を開始するのだった。
これは孤独だった者が家族のために奮闘したり、時に冒険に出たり、飯テロしたり、もふもふしたりと……ある意味で好き勝手に生きる物語。
しかし、それが意味するところは……。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
転生幼女の怠惰なため息
(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン…
紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢
座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!!
もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。
全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。
作者は極度のとうふメンタルとなっております…
捨てられ従魔とゆる暮らし
KUZUME
ファンタジー
旧題:捨てられ従魔の保護施設!
冒険者として、運送業者として、日々の生活に職業として溶け込む従魔術師。
けれど、世間では様々な理由で飼育しきれなくなった従魔を身勝手に放置していく問題に悩まされていた。
そんな時、従魔術師達の間である噂が流れる。
クリノリン王国、南の田舎地方──の、ルルビ村の東の外れ。
一風変わった造りの家には、とある変わった従魔術師が酔狂にも捨てられた従魔を引き取って暮らしているという。
─魔物を飼うなら最後まで責任持て!
─正しい知識と計画性!
─うちは、便利屋じゃなぁぁぁい!
今日もルルビ村の東の外れの家では、とある従魔術師の叫びと多種多様な魔物達の鳴き声がぎゃあぎゃあと元気良く響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる