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第14章 そして神になった

33【スタンピード2】

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<<カズヤ視点>>

日本に帰ってきた。30年かー。結構長かったよな。

ポーラ様にお願いして転移した高2の頃に戻してもらったんだけど、どうも違うみたいだ。

たしかに姿は高校生の時のままだけど、あれから結構経ってるじゃないか。

あんな田舎だった町にもコンビニが出来てるし。

マックだってあるよ。なんじゃこのセカンド何とかっていうのは。でっかい古着屋か。

なんかずいぶんと都会になったもんだ。

コンビニで新聞を見ると令和3年?令和ってなんだ?

西暦2021年だと!

たしか俺があっちに行ったのは平成3年だっけかな。1991年だったよな....... おーい、こっちでも30年経ってるよ。

今更家にも帰れんし、たしかポーラさんがこっちで過ごせるようにってちゃんと手配してくれてたと思うんだけど。

指定された家に向かうと、俺の新しい両親がそこにいた。

厳密に言うと、俺はそこの子供として生まれた設定になってるらしい。

そして両親は揃ってアメリカへと旅立ち、俺はとある高校の2年生に転入することになっていた。

30年も経った町。あの頃よりもずいぶんと垢ぬけて、あんなに細かった農道が今では片側3車線の主要道路になっている。

両側には様々な大型チェーン店が軒を連ね、結構な賑わいを見せていた。

かなり違和感はあるが、全く土地勘が無いわけでも無いので、何とかやっていけるだろう。

こちらに来て魔法は使えなくなったが、これは仕方がない。

まあ、もう一度青春時代を楽しんでやろう。


翌日、俺はこれから通うはずの高校に向かう。

隣町ではあるが歩いてもそれほどの距離はない。早朝の街の景色を楽しみながら学校へと向かった。

「本日転校してきた山田和也です。」

職員室で挨拶をすると俺の担任になる女性の若い教員がやって来る。

「白鳥あゆみです。あなたが転入する2年3組の担任をしています。
ちょうど良い時間なので、教室に行きましょうか。」

教室に入って紹介される。簡単な自己紹介の後指定された空席に向かうと、隣の席の女性が満面の笑みで迎えてくれたのだ。

彼女の名前はしのぶ。元気な女の子だ。

俺も向こうの世界で所帯を持っていたらこのくらいの子供がいたかもな。

授業内容については全く問題なかった。結構しっかりと学習しておくべき内容を頭に入れておいてくれたみたいで、授業について行くことは全く問題なかった。

終業後しのぶに半ば強引に連れ出されて帰路に着く。

どうやら帰り道は同じようだ。

途中の公園に立ち寄りいろいろ話しをするが、いまいちかみ合わない。

ポーラ様は優秀な頭脳は用意してくれたみたいだが、この年代のカルチャーについては入れてくれなかったみたいだ。

俺が聞き役に徹していると、彼女は少し困ったような顔をして「お父さんと一緒にいるみたい」って言った。

俺は彼女に遠回しだけど異世界に興味があるかを聞いてみた。

結構興味がある様子だったので、ダメ元であちらでの話しをしてみる。

凄く驚いてリアクションに困ってたから、冗談だよとごまかそうとしたけど、彼女に遮られる。

「その話しもう少し聞きたい」と彼女から続きを促されたので話しを続けた。

「あっ、こんな時間だ!そろそろ帰らなきゃ。」

どうやら1時間以上話していたみたいだ。

途中に通った彼女の家まで送り、そのまま自宅に戻った。

その夜のこと。

「和也さん、和也さん、ちょっと困ったことになったのよ。悪いけど明日ここに来てくれない?」

ポーラ様の声が頭に響く。

翌朝、しのぶの姿が頭をよぎったが向こうに行くことにする。

ポーラ様から指定されたのは少し離れた幹線道路の交差点の中。

そこに向かうと薄く魔方陣が見えたので入った。

「和也くーーん!」

後ろから聞こえる声に「来ちゃだめだ」って言ったんだけどそのまま彼女は俺の近くまで来た。

思わず腕を掴むと、そのまま魔方陣に吸い込まれたのだった。




着いた先は未だ懐かしいとは言えないいつもの町はずれの丘。

横で倒れているしのぶを起こす。

「う、うーーん。か、和也君! あれ、さっき交差点で光って、トラックが来て、えーーーっと?」

「しのぶさん、ここは昨日話していた異世界だよ。俺が数日前までいた場所。

ごめん、連れてきちゃったね。」

「はあーーー、ええーーーーーーーっ!」

そりゃ驚くわな。俺も最初来た時こんな感じだったっけ。

あの時は途中でポーラ様に会って事情を聞いてたけど。

「しのぶさん、大丈夫?」

「.......や、やったーーー!ついについに異世界に来たんだーーー!
さあ無双するぞー!!!!」

大喜びのしのぶにちょっと引いている。

昨日は「ちょっとお付き合いよ」みたいな感じで相槌を打ってたのに何この娘?

「ねえねえ和也君、魔王がいるの?それとも内政チート?いやあ文明を創るのかなあ!わたし料理は苦手だから無理よっ!」

だめだこの娘、完璧に厨二病だった。

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