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第14章 そして神になった

25【ある日のマサル】

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マサルが異世界管理局でセミナー講師を始めてからしばらく経った頃の話。



ここ異世界管理局がある世界には時間の感覚が無い。



いや、実際には有るんだがそれは暦上のものであり、時間の流れはいい加減なものだ。



ややこしいんだけど、そもそも暦がある以上、決まった時間の流れもあるはずで、一応の基準時間はあるみたい。



無理矢理地球の常識でいうと、無数の時間の流れが共存しているような感じかな。



どこかひとつに限定されているんじゃなくて、自分で自由に選べる感覚かも。



例えば飲み会で盛り上がったら遅い時間の流れに乗るとか、つまらなかったら早い流れに乗るとか。



実際には、つまらなくっても上司に捕まって、早い流れには乗れないけどね。



俺もこちらに来るようになった頃はこの奇妙な感覚に戸惑ったものだ。



マリス様達もともとこちらの人達には当たり前なんだろうけど、今でも戸惑うことが多い。



例えば飲み会。



公式の飲み会だったら皆んな同じ時間軸に合わせているから、戸惑いも少ない。



だけど内輪の飲み会だと、始まりはともかく、酔いが回ってくると皆んなの時間軸はバラバラになってしまう。



延々と飲み続ける人もいれば、時間を進めて間に仕事を挟んで何日も飲み続ける人もいる。



どっちみち飲むんだけどね。



二日酔いになりそうなら時間を思い切り早くしてアッという間に酔いを冷ますとか。



ゆっくり飲んで疲れたら時間を早めて休憩、そしてまたゆっくり時間軸で酒を楽しむ人もいるね。



誰だとは言わないけど、目の前でいつものように管を巻いている人だけどね。



「マサルさ~ん、マサルさんは幸せいっぱいですよね~。



あーんなに綺麗な奥さんもいるし~、子供達も立派だし~、セミナーはいつも大入りだし~。い~~~な~~~。」



「マリス様だって出世街道まっしぐらじゃないですか。



もう飲むのはそのくらいにされてはどうですか?」



「なに言ってるのよ~~。まだ始まったばかりじゃないの~~。



でさあ、マサルさんって、ホント幸せよね~~ ……」



もうどのくらいこうしてるかもわからない。



「あーん、わたしも幸せ欲しいわ~~」



「もうマリス、あんたいつまでマサルさんに絡んでるのよ。



いい加減にしなさいよ。」



「ホントよね。ねえ、マサルさ~ん、こんなマリスはほおっておいてわたしの世界も手伝ってくれない?



ホント困ってるのよ~~。」



「こらポーラも、どさくさに紛れてマサルさんを口説いてるんじゃないよ!」



はい、皆さんご察しの通り、マリス様、シール様、ポーラ様の飲み会ですね。



マリス様は目下のところ勝ち組真っ最中で忙しい日々でストレスがかなり溜まっているようだ。



もともとのんびりした性格の人だから余計かも。



これが時間軸がひとつしか無い世界だったら、とっくにストレスで倒れてるかもしれないんだけど、この世界だから大丈夫なんだろうな。



ポーラ様は運営課に移動になって初めての星造り中。



こちらも上手くいって無いようで、飲み会が始まってから、もう何十回も仕事に行っては戻って来て、管を巻いてる。



シール様はまともそうに見えるんだけど、ふたりを諫めるふりしながら、頻繁に流し目を送って来るのは止めて欲しいところだ。



俺はというと、3人の誰かに絶えず話し掛けられながらも上手く時間軸に乗って講師の仕事や問い合わせ対応、時には受講生の世界にも手伝いに行ったりと、結構忙しいかな。



もちろん、家にも帰って家庭サービスもしてますよ。



最近の悩みといえば、家に戻った時に時間軸がひとつしか無いことかな。



時間軸の使い分けが慣れてくるとどうも調子が狂ってしまう。



最近じゃランスやイリヤに『時差ボケオヤジ』って笑われてる。





最近の俺の生活の1コマでした。




さあ、そろそろあっちに戻らないと、マリス様に怒られそうだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーー



閑話的にしてみました。



元の世界からマサルがマリスを呼び出した時にマリスが食事中だったりしたのは、時間軸が違うせいだからです……よね。



次は何を書こうか思案中です。



リクエスト頂けたら嬉しいです。



お読み頂きありがとうございました。
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