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第14章 そして神になった
22【昇級試験ラプソディー1】
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<<異世界管理局公安課マリオ視点>>
わたしの名はマリオ。
公安課に配属になり30億年のベテラン平社員だ。
新卒で入局したところまでは良かったのだが、なかなか仕事に恵まれない。
本当ならとっくに主任になっていてもおかしくない年次なんだけど、エリート達がしのぎを削るこの公安課では真面目だけが取り柄じゃ上には上がれないのだ。
今日もこうして外部監査部隊の資料整理に駆り出されている始末だ。
一般的に公安課員として活躍している者を外部監査員と言う。
公安課に勤務して10億年目で昇級試験の資格が与えられ、それに合格すれば文句無しの外部監査員となる。
だがこの試験は10億年に1回しか受験出来ない上に、異常に難しい。
筆記の難易度はそれほどじゃないのだが、実技試験に恵まれないと、受からないんだ。
その実技試験、ランダムに選択される問題を抱えた星に行って、制限時間内にその星の根本的な問題点を指摘するのだが、試験期間中にそんな都合の良い星がなかなか見当たらない。
仮にあったとしても巧妙に隠ぺいされているのだ。
この試験で公安課のヒヨッコに醜態を暴かれることを我が監査課の天敵である運営課が良しとするはずも無いからな。
さてこの進級試験なんだが、受験年齢に制約があり、今年入局30億年目のわたしにとって最後のチャレンジとなるのだ。
過去2回の受験を振り返ってみようか。
1回目は、入局10億年目の時。
砂漠化が著しい星にその原因調査をするのが試験内容であった。
結論から言うと、急速な森林伐採と核による汚染が原因であったのだが、わたしは解答に核による汚染だけを書いたのだ。
当然結果は不合格。
今思えば見ただけで解るような簡単な問題が出題されるはずも無いのだが、当時のわたしは自分の能力を過信し過ぎていたのだろう。
全く若気の至りであった。
2回目は、発展目覚ましい世界。
優秀な召還者が上手く導き、理想的な発展をしていた。
試験になるような問題点を見付けることが出来ないまま時間が過ぎ、終了間近にそれは起こった。
巨大な亀の魔獣が突如現れて暴れ始めたのだ。
幸いにも召還者により、亀は討伐された。
わたしはその原因を探そうとしたが、その後直ぐにその星は巨大隕石により、跡形もなく消滅してしまった。
結局、それ以上の調査は不可能となり、調査不十分ということで不合格となったのだ。
そして、来週は3回目のチャレンジをむかえる。
昨今、この進級試験はその難易度がうなぎ登りなのだが、原因はマリス女史が召還した召還者にある。
彼は自分が与えられた使命を完璧以上にこなし、その上、他の召還者に対して定期的な啓発セミナーを実施して次々と優秀な召還者を生み出しているのだ。
それにより、召還者による大きな失敗が極端に減り、その分運営課員の介入が減ったため、不正行為自体が激減しているのである。
つまり、今回が最後の試験となる俺にとっては最悪の事態なのだ。
「マリオ君、試験対策は完璧かい。
最近は殊の外実技試験が難しくなっているようだね。
わたし達の時は、実技試験なんて簡単なもんだったんだけどね。
今回は、従来どおりの試験になるけど、その次からは大幅に変わる見たいだよ。
あっそうか、マリオ君は今回が最後のチャンスだったね。
大変だけど頑張ってね。」
課長がニコニコして話しかけてきたよ!
まったく、本人は励ましてくれてるのかもしれないけど、プレッシャーだけおいていってくれたよ。
しかし、外部監査員になれないとなると、公安課で出世は事実上あり得ない。
定年まで冷飯を食うのも考えものだし、今回失敗したら転職するべきか。
いや、再就職もままならないし、異世界管理局の亭主を自慢する女房と向こうの親父さんになんて説明しようか。
ダメだダメだ、今から落ちることばかり考えてどうする!
頑張らなきゃな。
<<マサル視点>>
今俺は人事課にいます。
何故そんなとこにいるって?
いつものようにセミナールームにいたら、人事課長から緊急だって呼びだされたのだ。
「いやマサル君、急に呼び出してすまない。
いつも召還者達に的確なアドバイスをしてくれて、本当に助かっているよ。
君が定期セミナーをしてくれるようになって、多くの星が安定運営出来ているんだよ。
今後もよろしく頼むよ。
ところでね、君のおかげで上手くいっているのは確かなのだけど、ひとつ問題になっていることがあってね。
その相談にのってほしいんだ。」
わたしの名はマリオ。
公安課に配属になり30億年のベテラン平社員だ。
新卒で入局したところまでは良かったのだが、なかなか仕事に恵まれない。
本当ならとっくに主任になっていてもおかしくない年次なんだけど、エリート達がしのぎを削るこの公安課では真面目だけが取り柄じゃ上には上がれないのだ。
今日もこうして外部監査部隊の資料整理に駆り出されている始末だ。
一般的に公安課員として活躍している者を外部監査員と言う。
公安課に勤務して10億年目で昇級試験の資格が与えられ、それに合格すれば文句無しの外部監査員となる。
だがこの試験は10億年に1回しか受験出来ない上に、異常に難しい。
筆記の難易度はそれほどじゃないのだが、実技試験に恵まれないと、受からないんだ。
その実技試験、ランダムに選択される問題を抱えた星に行って、制限時間内にその星の根本的な問題点を指摘するのだが、試験期間中にそんな都合の良い星がなかなか見当たらない。
仮にあったとしても巧妙に隠ぺいされているのだ。
この試験で公安課のヒヨッコに醜態を暴かれることを我が監査課の天敵である運営課が良しとするはずも無いからな。
さてこの進級試験なんだが、受験年齢に制約があり、今年入局30億年目のわたしにとって最後のチャレンジとなるのだ。
過去2回の受験を振り返ってみようか。
1回目は、入局10億年目の時。
砂漠化が著しい星にその原因調査をするのが試験内容であった。
結論から言うと、急速な森林伐採と核による汚染が原因であったのだが、わたしは解答に核による汚染だけを書いたのだ。
当然結果は不合格。
今思えば見ただけで解るような簡単な問題が出題されるはずも無いのだが、当時のわたしは自分の能力を過信し過ぎていたのだろう。
全く若気の至りであった。
2回目は、発展目覚ましい世界。
優秀な召還者が上手く導き、理想的な発展をしていた。
試験になるような問題点を見付けることが出来ないまま時間が過ぎ、終了間近にそれは起こった。
巨大な亀の魔獣が突如現れて暴れ始めたのだ。
幸いにも召還者により、亀は討伐された。
わたしはその原因を探そうとしたが、その後直ぐにその星は巨大隕石により、跡形もなく消滅してしまった。
結局、それ以上の調査は不可能となり、調査不十分ということで不合格となったのだ。
そして、来週は3回目のチャレンジをむかえる。
昨今、この進級試験はその難易度がうなぎ登りなのだが、原因はマリス女史が召還した召還者にある。
彼は自分が与えられた使命を完璧以上にこなし、その上、他の召還者に対して定期的な啓発セミナーを実施して次々と優秀な召還者を生み出しているのだ。
それにより、召還者による大きな失敗が極端に減り、その分運営課員の介入が減ったため、不正行為自体が激減しているのである。
つまり、今回が最後の試験となる俺にとっては最悪の事態なのだ。
「マリオ君、試験対策は完璧かい。
最近は殊の外実技試験が難しくなっているようだね。
わたし達の時は、実技試験なんて簡単なもんだったんだけどね。
今回は、従来どおりの試験になるけど、その次からは大幅に変わる見たいだよ。
あっそうか、マリオ君は今回が最後のチャンスだったね。
大変だけど頑張ってね。」
課長がニコニコして話しかけてきたよ!
まったく、本人は励ましてくれてるのかもしれないけど、プレッシャーだけおいていってくれたよ。
しかし、外部監査員になれないとなると、公安課で出世は事実上あり得ない。
定年まで冷飯を食うのも考えものだし、今回失敗したら転職するべきか。
いや、再就職もままならないし、異世界管理局の亭主を自慢する女房と向こうの親父さんになんて説明しようか。
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