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第14章 そして神になった
21【異世界に米を 9】
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<<ミケツカミ視点>>
今日もミリヤ様は黙々と本を執筆中なんだ。
ちょっと高圧的なのが気になるけど基本的には真面目で良い人なんだけどね。
まあ僕の場合はサナキス様で慣れているからかも。
でもあのヒロコっていう子も真面目で良い子だよね。育ってきた環境にちょっと問題があったみたいだから、素直になれないみたいだけど。
ヒロシ君と名前が似ているからか親近感があるんだ。
ヒロコちゃんも忙しそうでなかなかこちらの思惑通りにいってないけど、まあ時間はまだたっぷりあるんだし焦ることも無いと思うんだけどね。
既にヒロコちゃんの手元には分厚い本が10冊くらい積まれている。
ミリア様の性格上、妥協しないからだんだん厚くなっていくんだ。
今書いているのだって既に2000ページを超えてるし。
ヒロコちゃんだってあんなに迷惑そうじゃないか。
<<ミリヤ視点>>
「やっと書き終えたわ。ミケツカミ、これあいつに送っといてね。
たぶんあのバカ娘は米の炊き方も知らないだろうからね。全く世話が焼けるわよ。
前回なんか耕運機の作り方まで書いたし。
でもこんだけ書けばいくらバカでも米を作れるわよね。
って、あいつ全然読んでないじゃない。普通女神から何か貰ったら有難がってすぐに読むもんでしょう。あのバカ娘には常識が無いんじゃない!!!
あら、もうこんな時間なのね。行かなきゃ。」
今日はこれから月一の運営課会議があるの。
報告内容は上手く取り繕ってあるから完璧。
毎回、会議後にある飲み会が楽しみなのよね。
マリス様達も来られることだし、いっぱいお話しさせていただこおーーっと。
<<マリス視点>>
「ほらミリヤちゃん、そんなに落ち込まないの。ちょっと課長に突っ込まれただけじゃない。
課長も半笑いしながらだったから半分冗談で言ってたんだからね。
ほらほら、早く元気出して。」
今日の運営課会議を終えての飲み会。
新人のミリヤちゃんがわたし達のそばに来て一緒に飲んでたのよね。
そしたら、盛り上がってる最中に課長が来てね、ミリヤちゃんのところの召喚者のことを「ちょっと成長が遅いんじゃない?上手くいってる?」って言ったのよ。
そしたらミリヤちゃん、突然泣き出しちゃって大騒ぎ。
そのまま彼女を連れてシーラ達と場所を代えたってわけ。
いつも行く居酒屋でシーラとポーラとミリヤちゃんの4人で飲み会再開。
課長も心配して来るって言ったんだけど、丁重に断った。あたりまえでしょ。
話しを聞いてみると、召還者の女の子が自分の話しを聞いてくれない、紙にして送っても呼んでくれないって。
ミリヤちゃんの話しだけ聞くととんでもない子なんだけど、こればっかりは向こうの話しも聞いてみないと。
ってことで早速マサルさんに連絡。
マサルさんってほんとに良い人なんだ。あんなに忙しいのに、呼べばいつもすぐに来てくれるし。
今なんか場所も言ってないのによ。わたしのこと愛してるのかしら。
「マリス様の行動は単調ですからね。急に連絡のある時はここしかないじゃないですか。」
あらやだ、いつの間にか来ていてわたしの心を読むなんて。
あなたは神なの?
「何をバカなことを言ってるんですか。で、今日はどんな御用ですか?」
「まあマサルさん、駆けつけの一杯どう。」
「わたしからも一杯。」
「こら、シーラ、ポーラ。わたしのマサルさんに気安くするんじゃないの。」
「あっ、あのお、マリス様?」
「えっ、あ、ごめんごめん、ミリアちゃん、マサルさんは初めてだったわね。
わたしの召喚者マサルさんよ。ほら召喚者向けのセミナー講師をしているマ.サ.ルさん!」
「あっ、知ってます。マリス様達とご一緒にどうしようもなかった世界を立て直し、あのガイヤに匹敵する、いやそれ以上の世界を作られたあのマサルさんですよね。」
「そうよ、どうしようもない世界っていうのは余計だけどね。
今では講師として様々な世界にいる召喚者を指導し、次々と優秀な世界を生み出している超エリート召喚者のマサルさんよ。」
「マリス様、そんなに褒めて下さってもなにも出ないですよ。それでご用件は?」
「もーいけずなんだから。来てもらった理由なんだけどね、このミリヤのことなの。」
マサルさんにミリヤの世界のことやミリヤの召喚者のことを話す。
「ってことなの。どう思う?」
「うーーん。たしかその世界って知ってるかも。たしかミケツカミ様のいる世界ですよね。
前にスマルさんって人が講習会に参加していましたよ。
かなり複雑な世界ですからねー。
まあ、ミリヤさんの事情は分かりましたから俺は召喚者えーとヒロコちゃんでしたっけ。その子に会いに行ってきますよ。
じゃあ、今から行ってきますね。」
「あーー、今行かなくても...って行っちゃった。」
「ただいま、戻りました。」
「早っ。それでどうだった?」
「すっごくいい子でしたよ。元の世界でちょっと複雑な家庭事情があって、少し消極的で猜疑心が強いっていうか。
でも、今の世界に馴染もうと精一杯自分の出来ることをやってるし、根は真面目で、賢い子でした。
ミリヤ様からの資料のことですけど、忙しい中で読もうとするんだけど、ページ数が多すぎるし、内容も彼女には難しいみたいで、滞ってるみたいです。
あの子には適切なケアが必要だと思うので、定期的に俺のセミナーに出席するように言っときました。
スケジュールと転移用の魔道具も渡しておいたので来ると思います。それと、...」
途中まで言いかけてマサルさんがわたしの耳元へ。
緊張にドキドキしていると、マサルさんのささやきが。
「どうもミリヤさんの方にも問題があるみたいですね。ミケツカミ様にも話しを聞いてきたのですが、ヒロコちゃんの気持ちに近づかないで高飛車な態度で彼女の心を閉ざしてしまったらしいんです。
性格の問題もあるのでしょうが、マリス様みたいにもう少し気長に見守ってあげる方がヒロコちゃんのためには良いと思います。
マリス様から上手くアドバイスしてあげてもらえますか。」
「...はい。」
愛のささやきじゃなくて、ミリヤちゃんに聞かれたくない事務的伝言だったわ。ショックよ。
とにかくお互いの歩み寄りが大事よね。
その後、マサルさんの講習会に通うようになったヒロコちゃんはモチベーションを回復すると共に、自分自身に自信を取り戻していったみたい。
ミリヤちゃんもわたしの適切な指導の下、エリートの角が取れて女神らしい優しさを持ってくれたみたい。
「やっぱりわたしとマサルさんのコンビネーションは最高ね!」
「あんたはミリヤをアル中にする気なの?全く遊びに誘いすぎなのよ!」
シーラ煩いわよ!!
異世界に米を編 完
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読みいただきありがとうございました。
また長くなってしまいました。
同時連載中の「100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~」
の後日談みたいなものです。
そちらも合わせてお読み頂ければと思います。
次編もご期待ください。ありがとうございました。
今日もミリヤ様は黙々と本を執筆中なんだ。
ちょっと高圧的なのが気になるけど基本的には真面目で良い人なんだけどね。
まあ僕の場合はサナキス様で慣れているからかも。
でもあのヒロコっていう子も真面目で良い子だよね。育ってきた環境にちょっと問題があったみたいだから、素直になれないみたいだけど。
ヒロシ君と名前が似ているからか親近感があるんだ。
ヒロコちゃんも忙しそうでなかなかこちらの思惑通りにいってないけど、まあ時間はまだたっぷりあるんだし焦ることも無いと思うんだけどね。
既にヒロコちゃんの手元には分厚い本が10冊くらい積まれている。
ミリア様の性格上、妥協しないからだんだん厚くなっていくんだ。
今書いているのだって既に2000ページを超えてるし。
ヒロコちゃんだってあんなに迷惑そうじゃないか。
<<ミリヤ視点>>
「やっと書き終えたわ。ミケツカミ、これあいつに送っといてね。
たぶんあのバカ娘は米の炊き方も知らないだろうからね。全く世話が焼けるわよ。
前回なんか耕運機の作り方まで書いたし。
でもこんだけ書けばいくらバカでも米を作れるわよね。
って、あいつ全然読んでないじゃない。普通女神から何か貰ったら有難がってすぐに読むもんでしょう。あのバカ娘には常識が無いんじゃない!!!
あら、もうこんな時間なのね。行かなきゃ。」
今日はこれから月一の運営課会議があるの。
報告内容は上手く取り繕ってあるから完璧。
毎回、会議後にある飲み会が楽しみなのよね。
マリス様達も来られることだし、いっぱいお話しさせていただこおーーっと。
<<マリス視点>>
「ほらミリヤちゃん、そんなに落ち込まないの。ちょっと課長に突っ込まれただけじゃない。
課長も半笑いしながらだったから半分冗談で言ってたんだからね。
ほらほら、早く元気出して。」
今日の運営課会議を終えての飲み会。
新人のミリヤちゃんがわたし達のそばに来て一緒に飲んでたのよね。
そしたら、盛り上がってる最中に課長が来てね、ミリヤちゃんのところの召喚者のことを「ちょっと成長が遅いんじゃない?上手くいってる?」って言ったのよ。
そしたらミリヤちゃん、突然泣き出しちゃって大騒ぎ。
そのまま彼女を連れてシーラ達と場所を代えたってわけ。
いつも行く居酒屋でシーラとポーラとミリヤちゃんの4人で飲み会再開。
課長も心配して来るって言ったんだけど、丁重に断った。あたりまえでしょ。
話しを聞いてみると、召還者の女の子が自分の話しを聞いてくれない、紙にして送っても呼んでくれないって。
ミリヤちゃんの話しだけ聞くととんでもない子なんだけど、こればっかりは向こうの話しも聞いてみないと。
ってことで早速マサルさんに連絡。
マサルさんってほんとに良い人なんだ。あんなに忙しいのに、呼べばいつもすぐに来てくれるし。
今なんか場所も言ってないのによ。わたしのこと愛してるのかしら。
「マリス様の行動は単調ですからね。急に連絡のある時はここしかないじゃないですか。」
あらやだ、いつの間にか来ていてわたしの心を読むなんて。
あなたは神なの?
「何をバカなことを言ってるんですか。で、今日はどんな御用ですか?」
「まあマサルさん、駆けつけの一杯どう。」
「わたしからも一杯。」
「こら、シーラ、ポーラ。わたしのマサルさんに気安くするんじゃないの。」
「あっ、あのお、マリス様?」
「えっ、あ、ごめんごめん、ミリアちゃん、マサルさんは初めてだったわね。
わたしの召喚者マサルさんよ。ほら召喚者向けのセミナー講師をしているマ.サ.ルさん!」
「あっ、知ってます。マリス様達とご一緒にどうしようもなかった世界を立て直し、あのガイヤに匹敵する、いやそれ以上の世界を作られたあのマサルさんですよね。」
「そうよ、どうしようもない世界っていうのは余計だけどね。
今では講師として様々な世界にいる召喚者を指導し、次々と優秀な世界を生み出している超エリート召喚者のマサルさんよ。」
「マリス様、そんなに褒めて下さってもなにも出ないですよ。それでご用件は?」
「もーいけずなんだから。来てもらった理由なんだけどね、このミリヤのことなの。」
マサルさんにミリヤの世界のことやミリヤの召喚者のことを話す。
「ってことなの。どう思う?」
「うーーん。たしかその世界って知ってるかも。たしかミケツカミ様のいる世界ですよね。
前にスマルさんって人が講習会に参加していましたよ。
かなり複雑な世界ですからねー。
まあ、ミリヤさんの事情は分かりましたから俺は召喚者えーとヒロコちゃんでしたっけ。その子に会いに行ってきますよ。
じゃあ、今から行ってきますね。」
「あーー、今行かなくても...って行っちゃった。」
「ただいま、戻りました。」
「早っ。それでどうだった?」
「すっごくいい子でしたよ。元の世界でちょっと複雑な家庭事情があって、少し消極的で猜疑心が強いっていうか。
でも、今の世界に馴染もうと精一杯自分の出来ることをやってるし、根は真面目で、賢い子でした。
ミリヤ様からの資料のことですけど、忙しい中で読もうとするんだけど、ページ数が多すぎるし、内容も彼女には難しいみたいで、滞ってるみたいです。
あの子には適切なケアが必要だと思うので、定期的に俺のセミナーに出席するように言っときました。
スケジュールと転移用の魔道具も渡しておいたので来ると思います。それと、...」
途中まで言いかけてマサルさんがわたしの耳元へ。
緊張にドキドキしていると、マサルさんのささやきが。
「どうもミリヤさんの方にも問題があるみたいですね。ミケツカミ様にも話しを聞いてきたのですが、ヒロコちゃんの気持ちに近づかないで高飛車な態度で彼女の心を閉ざしてしまったらしいんです。
性格の問題もあるのでしょうが、マリス様みたいにもう少し気長に見守ってあげる方がヒロコちゃんのためには良いと思います。
マリス様から上手くアドバイスしてあげてもらえますか。」
「...はい。」
愛のささやきじゃなくて、ミリヤちゃんに聞かれたくない事務的伝言だったわ。ショックよ。
とにかくお互いの歩み寄りが大事よね。
その後、マサルさんの講習会に通うようになったヒロコちゃんはモチベーションを回復すると共に、自分自身に自信を取り戻していったみたい。
ミリヤちゃんもわたしの適切な指導の下、エリートの角が取れて女神らしい優しさを持ってくれたみたい。
「やっぱりわたしとマサルさんのコンビネーションは最高ね!」
「あんたはミリヤをアル中にする気なの?全く遊びに誘いすぎなのよ!」
シーラ煩いわよ!!
異世界に米を編 完
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまでお読みいただきありがとうございました。
また長くなってしまいました。
同時連載中の「100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~」
の後日談みたいなものです。
そちらも合わせてお読み頂ければと思います。
次編もご期待ください。ありがとうございました。
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