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第14章 そして神になった
10【とある星の再生6】
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<<ケンジ視点>>
いったい、どうしてこうなったんだ。
あれだけ順調に街が出来ていたのに。
ビルも20棟となり、食糧生産する村も10で商業ビルや工房ビル、住居専用ビルなど街としての十分過ぎる機能を持っていたはずだった。
ついこの前までこの新天地を求めて続々と人が集まってきていたというのに、何もかもが一瞬でパーになってしまった。
僅か10分。最初にムーア達の村を作ってから1年。その間にケンジが一生懸命に作った街は僅か10分で全て台無しになってしまったのだ。
ビルの残骸がそこかしこに横たわる場所にケンジは茫然自失として地面に膝をついていた。
「まさかあんな地震が来るなんてな。ケンジお前のせいじゃないさ。神様の悪戯なんだから。気を落とすなよ。」
横に来たムーアが声を掛けてくれた。
それは嬉しかったけど...
地震が来るなんて...
地震大国日本に住む日本人のケンジにとって地震は日常的なことであり、高層ビルだけでなく民家でも地震対策をしているものだということは 当然知っていたはずだったのだ。
なのに、ここに来てからはそんなことは一切抜けていた。
異世界だって地震はあるはずなのに、チートな力を貰って浮かれていた?
ここは現実じゃないと思っていた?
自問自答するが全ては後の祭りだ。
そう、ここはムーア達が住んでいる紛れもない現実世界だし、天変地異が起こらないなんてことはあり得なかったんだ。
現実問題として何年も旱魃に悩まされていたのを知っていたはずなのだから。
1時間程前、地震は何の前触れも無く訪れた。
それほど大きかったわけじゃない。震度で言ったら4くらいか。
そう、日本でもまれに起こるが、たいして騒ぎにもならない程度。
地震発生時、ケンジもそう思っていた。
だが現実は厳しかった。
砂上の地面に建っているだけの高層ビル。アンカーも無く基礎工事さえされていなければ倒壊は必然である。
最も震源に近いビルが大きな揺れを見せると徐々に傾き始めた。
「みんな逃げるんだー。早く、早く逃げるんだー。」
街全体に響き渡る全体放送でケンジは叫んでいた。
実際ビル内にいたケンジは肌で危険を感じたのだ。日本人のDNAかもしれない。
脱出用のシューターを各ビルに何個も付けて住人を逃がした。
1度目の揺れでビル群は傾きはしたものの住人達を逃がすことには成功したようだ。
8分後、2度目の揺れが来た。さっきよりも大きい、そう感じた時一番大きく傾いていたビルが崩れる。
そのあおりを受けて、かろうじて自身を支えていたビル達もドミノ倒しのように次々と倒れていったのだった。
人々の叫び声や子供の泣き声があっちこっちから聞こえてくる。
つい先ほどまで笑いの絶えなかった人々の顔が恐怖に変わり、地震が落ち着き荒廃した自分達の新天地であった場所が瓦礫の山と化したのを目の当たりにすると、諦めの表情に変わっていった。
「はあー。やはり神は我々に試練を与えたまうのか。怠惰な生活を戒められたのか。」
あちらこちらから聞こえる神への畏怖と自分達の堕落した生活。
それを悔いるような言葉が聞こえてくる。
誰もケンジを責めることは無い。茫然自失とするケンジに頭を下げて1家族、1家族と皆が街を去っていくのをケンジは見送ることしか出来なかった。
ケンジにしてみれば普通の生活だったが、この世界の民達にしてみれば神の世界にも思われるこの街での生活を謳歌していた自分達に、神の裁きを落ちるのは必然だと考えているのだろうか。
そんなことを頭に思い浮かべるも、今のケンジに出来ることは何もなかったのだ。
<<マサル視点>>
「って、こんな感じなんです。マサルさん、何か良いアドバイスはありませんか?
このままじゃケンジ君ダメになっちゃいそうでぇ。」
ここは異世界管理局のある世界の某居酒屋チェーン店の一室。
マサルは今日も今日とてマリス達に連れられて終わりのない酒盛りに参加している。
今マサルに延々と自分の管理する世界の話しをしているのは、つい最近運営課に配属になった新人のユリア様。
ユリア様がマリス様に相談したんだけど、自分で解決策が浮かばなかったマリス様が居酒屋に呼び出した俺に相談を押し付けてきたのだ。
「うーん、たしかにケンジ君はピンチですね。彼の能力からすれば回復することは可能でしょうけど、メンタル面がねえ。
まだ中2じゃ仕方ないか。今回の件も基礎工事だとか構造の強度とか中学生じゃ絶対分からないことですしね。」
「そうなのよ。全て順調でね、これならマリス先輩の持つ、最年少記録を更新できるかなって思っていたんですけどぉ...」
「ちょっと、あんたそんなこと考えてたの!」
「いやあの、だってマサルさんの新人研修を毎回聞いていたら、なんだか自分でも出来そうな気がしたんですう。」
「そりゃマサルさんの講義は完璧だからね。そう思ってもしようが無いかもね。」
俺が褒められるとマリス様が嬉しそうな表情に戻る。
「ところで今回の地震なんですけど、その世界では地震が良く起こる設定なんですか?」
「そんな面倒くさいことしてないですう。今回はたまたま神の気まぐれというか、何というか...」
「はいはい、新人歓迎会か何かの王様ゲームの罰ゲームなんですね。」
「「「.......!」」」
いったい、どうしてこうなったんだ。
あれだけ順調に街が出来ていたのに。
ビルも20棟となり、食糧生産する村も10で商業ビルや工房ビル、住居専用ビルなど街としての十分過ぎる機能を持っていたはずだった。
ついこの前までこの新天地を求めて続々と人が集まってきていたというのに、何もかもが一瞬でパーになってしまった。
僅か10分。最初にムーア達の村を作ってから1年。その間にケンジが一生懸命に作った街は僅か10分で全て台無しになってしまったのだ。
ビルの残骸がそこかしこに横たわる場所にケンジは茫然自失として地面に膝をついていた。
「まさかあんな地震が来るなんてな。ケンジお前のせいじゃないさ。神様の悪戯なんだから。気を落とすなよ。」
横に来たムーアが声を掛けてくれた。
それは嬉しかったけど...
地震が来るなんて...
地震大国日本に住む日本人のケンジにとって地震は日常的なことであり、高層ビルだけでなく民家でも地震対策をしているものだということは 当然知っていたはずだったのだ。
なのに、ここに来てからはそんなことは一切抜けていた。
異世界だって地震はあるはずなのに、チートな力を貰って浮かれていた?
ここは現実じゃないと思っていた?
自問自答するが全ては後の祭りだ。
そう、ここはムーア達が住んでいる紛れもない現実世界だし、天変地異が起こらないなんてことはあり得なかったんだ。
現実問題として何年も旱魃に悩まされていたのを知っていたはずなのだから。
1時間程前、地震は何の前触れも無く訪れた。
それほど大きかったわけじゃない。震度で言ったら4くらいか。
そう、日本でもまれに起こるが、たいして騒ぎにもならない程度。
地震発生時、ケンジもそう思っていた。
だが現実は厳しかった。
砂上の地面に建っているだけの高層ビル。アンカーも無く基礎工事さえされていなければ倒壊は必然である。
最も震源に近いビルが大きな揺れを見せると徐々に傾き始めた。
「みんな逃げるんだー。早く、早く逃げるんだー。」
街全体に響き渡る全体放送でケンジは叫んでいた。
実際ビル内にいたケンジは肌で危険を感じたのだ。日本人のDNAかもしれない。
脱出用のシューターを各ビルに何個も付けて住人を逃がした。
1度目の揺れでビル群は傾きはしたものの住人達を逃がすことには成功したようだ。
8分後、2度目の揺れが来た。さっきよりも大きい、そう感じた時一番大きく傾いていたビルが崩れる。
そのあおりを受けて、かろうじて自身を支えていたビル達もドミノ倒しのように次々と倒れていったのだった。
人々の叫び声や子供の泣き声があっちこっちから聞こえてくる。
つい先ほどまで笑いの絶えなかった人々の顔が恐怖に変わり、地震が落ち着き荒廃した自分達の新天地であった場所が瓦礫の山と化したのを目の当たりにすると、諦めの表情に変わっていった。
「はあー。やはり神は我々に試練を与えたまうのか。怠惰な生活を戒められたのか。」
あちらこちらから聞こえる神への畏怖と自分達の堕落した生活。
それを悔いるような言葉が聞こえてくる。
誰もケンジを責めることは無い。茫然自失とするケンジに頭を下げて1家族、1家族と皆が街を去っていくのをケンジは見送ることしか出来なかった。
ケンジにしてみれば普通の生活だったが、この世界の民達にしてみれば神の世界にも思われるこの街での生活を謳歌していた自分達に、神の裁きを落ちるのは必然だと考えているのだろうか。
そんなことを頭に思い浮かべるも、今のケンジに出来ることは何もなかったのだ。
<<マサル視点>>
「って、こんな感じなんです。マサルさん、何か良いアドバイスはありませんか?
このままじゃケンジ君ダメになっちゃいそうでぇ。」
ここは異世界管理局のある世界の某居酒屋チェーン店の一室。
マサルは今日も今日とてマリス達に連れられて終わりのない酒盛りに参加している。
今マサルに延々と自分の管理する世界の話しをしているのは、つい最近運営課に配属になった新人のユリア様。
ユリア様がマリス様に相談したんだけど、自分で解決策が浮かばなかったマリス様が居酒屋に呼び出した俺に相談を押し付けてきたのだ。
「うーん、たしかにケンジ君はピンチですね。彼の能力からすれば回復することは可能でしょうけど、メンタル面がねえ。
まだ中2じゃ仕方ないか。今回の件も基礎工事だとか構造の強度とか中学生じゃ絶対分からないことですしね。」
「そうなのよ。全て順調でね、これならマリス先輩の持つ、最年少記録を更新できるかなって思っていたんですけどぉ...」
「ちょっと、あんたそんなこと考えてたの!」
「いやあの、だってマサルさんの新人研修を毎回聞いていたら、なんだか自分でも出来そうな気がしたんですう。」
「そりゃマサルさんの講義は完璧だからね。そう思ってもしようが無いかもね。」
俺が褒められるとマリス様が嬉しそうな表情に戻る。
「ところで今回の地震なんですけど、その世界では地震が良く起こる設定なんですか?」
「そんな面倒くさいことしてないですう。今回はたまたま神の気まぐれというか、何というか...」
「はいはい、新人歓迎会か何かの王様ゲームの罰ゲームなんですね。」
「「「.......!」」」
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