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第13章 魔獣と古代人

17【トレスでの歓待1】

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<<イリヤ視点>>
今日は久しぶりの休日なんです。

最近は病院で働くことが多くなって、少しはお医者様の真似も出来るようになって来ました。

久しぶりにお母様とのんびりお茶をして過ごす午後です。

お兄ちゃんも今日はお休みで、部屋に閉じこもって何かを作っているみたい。

たぶん陶芸だと思うんだけどね。

この前、お父様に頼まれて作った『人工衛星』に影響を受けて、粘土を使っていろんなものを作ってたから。


「リズ、居るかい?」

廊下でお父様の声が聞こえます。

「マサルさん、お仕事終わり?」

「ああ、ここに居たんだね。

今ちょっとお客様がいらして、今からこの前話した星に行くことになったんだ。

向こうの王様と謁見するんだ。」

「じゃあ、わたしも行かなきゃ。
メアリ、メアリ、わたしの謁見用のドレス、えーと、ピンクとグリーン、それと普段用の………」

「メアリさん、わたしのもお願いできますか?

お母様と被らないようにして欲しいな。」

「イリヤ、君も行く気?」

「当然です。だってこんな機会滅多に無いのだもの。

そうだ、お兄ちゃんも呼んであげないと。

あっお兄ちゃん、お父様達と例の星に行くことになったんだけど。

あっそうだよね。

メアリさんに、服を用意してもらっとくね。

お父様、お兄ちゃんも行くって。」

メアリさんが、メイド達を使って、わたし達の支度をしてくれています。

忙しいのに、なんだかとっても楽しそうです。



「旦那様、奥様、ご用意が整いました。

旦那様、荷物は馬車に積み込んでよろしいのでしょうか?」

「ああ、ちょっと待ってね。」

お父様はそう言うと、亜空間バッグから、大きな楕円形の物体を取り出しました。

人ひとりが横になれるくらいの大きさです。

お父様が手を翳すと、一部が開きました。

「これで行くんだ。

中はトラック馬車と同じで、亜空間拡張されているから、ひろいんだよ。」

「では、こちらにお荷物を運び入れます。

御一家の他に、わたしを含め使用人を3人連れて行こうと思いますが、よろしいでしょうか?」

「遊びじゃないんだけど……

リズ達が行くんならしようがないよね。」

だからメアリさん、さっきあんなに楽しそうだったんだ。



荷物の積み込みも終わり、出発の準備も完了、無事同行するメイド達も決まったみたい。

積み込みよりも同行者の選出に時間がかかっていたみたいだけど。

「さあ、皆んな乗って。出発するよ。」

中に乗り込むと、トラック馬車みたいに広くなっていて、とっても快適な空間。

初めてウチの旅行に同行するメイドのチャキちゃん、驚きのあまり言葉を失っていたかと思うと突然はしゃぎだしちゃった。

メアリさんに叱られているけど、気持ちはわかるよ。

わたしも初めてトラック馬車に乗った時はそんな感じだったから。

「じゃあ発進するよ。」

お父様の合図で『宇宙船ムサシ号』は音もなく、ものすごい勢いで上昇しだしたの。

「ほら、外を見てごらん。」

お父様に言われて窓から外を見ると、青い球体が真っ黒な中に浮かんでいる。

「「「き、綺麗!!」」」

「あれが、わたし達の住んでいる星だよ。白いのが雲で、真っ青なのが海。少し色が濃いところが陸地さ。」

お父様に昔教えてもらった宇宙と星、決して地上からは見えないんだけど、わたし達の住んでいるところもやっぱり星なんだ。

いつも夜空に浮かんでいる星を見ているけど、わたし達の星もあの中のひとつなんだね。

感慨深く見ていると、お母様やメイドさん達も感動しているみたい。だってとっても綺麗なんだもの。

お兄ちゃんは外をちょっと見ただけで、お父様の横でいろんな数字が動いているのに夢中みたい。




「さあ皆んな、そろそろ着くよ。降りる準備をして。」

青い星は1分程で隠れてしまったので、外の景色は真っ暗。

わたし達はリビングでお茶を楽しんでいます。

「マサルさん、もう着いたの?」

「そうだね、光の速度のなん百倍も速く飛んでいるからね。」

メアリさんがメイドさん達に指示を出して片付け中です。

窓の外には青い光がいっぱいで、だんだん陸地や海が大きくなってきます。

やがて、お城の広場にわたし達の乗った宇宙船は着陸したのです。



外に出ると、つい3時間ほど前に屋敷でお会いしたミラベスタさんが、お迎えしてくれました。

早速、王様に謁見です。



無事謁見も終え、王宮内にわたし達が滞在する部屋に案内されました。

とっても大きな部屋で、部屋の中にはキッチンや居間、ベッドルームがいくつもあって、メイドさん達の部屋もあるの。

机の上には見たこともないフルーツやお菓子が有って、とっても美味しそう。

この部屋専属のメイドさんも3人いて、メアリさん達と打ち合わせしている。


とりあえず持ってきた荷物も片付いて、ソファーでゆっくりしていると、部屋がノックされたの。

メイドさんが扉を開けると、綺麗なドレスを着た親子が入ってこられた。

「遠路はるばる、よくお越しくださいました。わたしはこの国の王妃、サルベスタと申します。この子は末娘のアルベスタと申します。」

「アルベスタです。よろしくお願いします。」

アルベスタちゃんは、わたし達と同い年くらいかな。

「この度はお招き下さりありがとうございます。マサルと申します。」

「ご丁寧にありがとうございます。マサルの妻のリザベートです。」

「長男のランスです。」

「長女のイリヤです。よろしくお願いします。」

アルベスタちゃんかぁ。お友達になれるかなぁ。
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