283 / 382
第13章 魔獣と古代人
14【元凶の教祖を探せ2】
しおりを挟む
<<ミラベスタ王都警備隊隊長視点>>
新興宗教『サーガの光』が違法な人身売買をしているとの情報を得て、我等王都警備隊が調査に乗り出したのはちょうど2年前のことだった。
スラムの孤児救済を名目に、数多くの孤児達を集めて、他国に売り払って荒稼ぎしていたのだ。
スリで捕まえた孤児の証言から始まった、この大掛かりな人身売買事件は、当時かなりの大きな事件となったが、複数の大物貴族の介入でうやむやとなり、結局教団の支部長クラスの足切りで幕を閉じた。
それからしばらくは教団もなりを潜めていたのだが、つい1ヶ月ほど前に、宇宙観測局から王都警備隊に『不審な魔力が王都から宇宙に向けて発信されている』との連絡が入ったのだ。
魔力の送信先を確認すると、そこは我が人類の祖国と呼ばれているマルス星であった。
残念ながら発信源を突き止めることは出来なかったが、その目的を調査すべく、隊員のクラシケラをマルス星に向かわせたのだ。
戻って来たクラシケラに状況を確認すると、リモート召喚魔方陣を起動させて、大量の魔物を召喚していたと言う。
近くに集落があったため、クラシケラの判断で、魔獣キメラを召喚し、未然に被害を防いだらしい。
その後も何度かそんなことがあり、こちらでも調査をしていたところ、あの『サーガの光』がマルス星を植民地化して、向こうの人間を奴隷として人身売買しようとする企みを突き止めたのだ。
ただ、魔力発信源は、強力な隠蔽魔法で隠されており、未だ見つかっていない。
そんな時、いつものようにマルス星に行っていたクラシケラが、1人の現地人とコンタクトを取ったと言うのだ。
その現地人の名はマサル。
彼は我等からみたら旧態以前の文明しか持たないマルス星の人類とは違い、非常に高い教養と魔力を持っているとのことだった。
クラシケラはマサルに興味を持ち、彼に請われるままに、我が星から発信されている魔力の波長と、教団の情報を与えたという。
果たして、クラシケラが次にマルス星に出動した時には、ほぼ時を同じくして、自らの力で魔方陣を感知、発見したマサルと現場で出会ったという。
海底でキメラの召喚が出来ないクラシケラの代わりに海に入ったマサルは、あっという間に魔物を全て片付けて、魔方陣を破壊したらしい。
先日クラシケラからそれらの報告を受け、俺もそのマサルに興味を持ったのだ。
そして今日、クラシケラからマサルがこの星に来ているとの連絡を受けて、俺はクラシケラ達がいる食堂にやって来たのだ。
「そこからは俺が話そう。」
「ミラベスタ隊長。」
「やあ、君がマサル殿だね。クラシケラから話しは聞いているよ。
君達の星はここと比べて文明がかなり遅れているから、君の話しを聞いて興味を持っていたんだ。会えてうれしいよ。
しかも君がシンゲン様と同じ地球からの転移者だったはね。」
マサルは、普通の壮年男性だった。
「マサル、こちらは王都警備隊長のミラベスタ様だ。」
「初めまして、マサルです。
一応、マサル共和国の代表をしています。」
「なんと、これは失礼しました。
国王陛下であらせられましたか。」
「いえいえ、国の建国はしましたが、共和制を引いて、国の運営は議会に任せておりますから、国王ではないですよ。
ただのマサルで結構です。」
「では、わたしのこともミラベスタとお呼び下さい。」
「ミラベスタさん、わたしの星でも、ようやく魔物の転移魔方陣に対する対策が終わりました。
それでクラシケラさんから聞きました、元凶ですか?、それを捜しに来ました。」
「迷惑をかけて、本当に申し訳ないです。」
「いえいえ、ミラベスタさん達の責任じゃないですからね。
ただ脅威がある以上、早く取り除いておく必要がありますからね。
皆さんのお邪魔にならないように、先に調整しておきたいと思って参上したわけです。」
「お気遣いいたみ入ります。」
「教祖の名前は分かりますか?」
「教団の名前が『サーガの光』、教祖の名前はシラカハヤです。」
「『サーガの光』のシラカハヤですね。」
マサル、いやマサル殿が何か呟きながら、うわ目使いになにかを見ている。
「なるほど、この地域に『アラハルネ旧神殿』という場所がありますが?」
「それでしたら、ここから10分程度の場所にある、遺跡ですが。」
「そこにシラカハヤがいると、思われます。」
「しかし、あそこには何も…」
「一度調べてみても良いですか?」
「それは特に問題ありませんが。
わたしが案内しましょう。」
俺は、マサル殿を連れて、食堂を出て『アラハルネ旧神殿』に向かった。
<<マサル視点>>
タブレットで教祖を検索すると、『アラハルネ旧神殿』と出てきた。
場所を聞くと、すぐ近くのようだ。
ミラベスタさんが案内してくれるようなので、ついて行く。
食堂を出て、しばらく歩くと壊れた石の構造物が散らばる遺跡跡に到着した。
「マサル殿、ここが、『アルハルネ旧神殿』です。」
俺は遺跡の中を調べて丁寧に行く。
魔力を薄く伸ばして、波紋のように魔力を流していく。
そうすると、1ヶ所魔力の波紋に歪みが見つかった。
俺は、ミラベスタ殿に向かって話した。
「ここを調べましょうか。」
新興宗教『サーガの光』が違法な人身売買をしているとの情報を得て、我等王都警備隊が調査に乗り出したのはちょうど2年前のことだった。
スラムの孤児救済を名目に、数多くの孤児達を集めて、他国に売り払って荒稼ぎしていたのだ。
スリで捕まえた孤児の証言から始まった、この大掛かりな人身売買事件は、当時かなりの大きな事件となったが、複数の大物貴族の介入でうやむやとなり、結局教団の支部長クラスの足切りで幕を閉じた。
それからしばらくは教団もなりを潜めていたのだが、つい1ヶ月ほど前に、宇宙観測局から王都警備隊に『不審な魔力が王都から宇宙に向けて発信されている』との連絡が入ったのだ。
魔力の送信先を確認すると、そこは我が人類の祖国と呼ばれているマルス星であった。
残念ながら発信源を突き止めることは出来なかったが、その目的を調査すべく、隊員のクラシケラをマルス星に向かわせたのだ。
戻って来たクラシケラに状況を確認すると、リモート召喚魔方陣を起動させて、大量の魔物を召喚していたと言う。
近くに集落があったため、クラシケラの判断で、魔獣キメラを召喚し、未然に被害を防いだらしい。
その後も何度かそんなことがあり、こちらでも調査をしていたところ、あの『サーガの光』がマルス星を植民地化して、向こうの人間を奴隷として人身売買しようとする企みを突き止めたのだ。
ただ、魔力発信源は、強力な隠蔽魔法で隠されており、未だ見つかっていない。
そんな時、いつものようにマルス星に行っていたクラシケラが、1人の現地人とコンタクトを取ったと言うのだ。
その現地人の名はマサル。
彼は我等からみたら旧態以前の文明しか持たないマルス星の人類とは違い、非常に高い教養と魔力を持っているとのことだった。
クラシケラはマサルに興味を持ち、彼に請われるままに、我が星から発信されている魔力の波長と、教団の情報を与えたという。
果たして、クラシケラが次にマルス星に出動した時には、ほぼ時を同じくして、自らの力で魔方陣を感知、発見したマサルと現場で出会ったという。
海底でキメラの召喚が出来ないクラシケラの代わりに海に入ったマサルは、あっという間に魔物を全て片付けて、魔方陣を破壊したらしい。
先日クラシケラからそれらの報告を受け、俺もそのマサルに興味を持ったのだ。
そして今日、クラシケラからマサルがこの星に来ているとの連絡を受けて、俺はクラシケラ達がいる食堂にやって来たのだ。
「そこからは俺が話そう。」
「ミラベスタ隊長。」
「やあ、君がマサル殿だね。クラシケラから話しは聞いているよ。
君達の星はここと比べて文明がかなり遅れているから、君の話しを聞いて興味を持っていたんだ。会えてうれしいよ。
しかも君がシンゲン様と同じ地球からの転移者だったはね。」
マサルは、普通の壮年男性だった。
「マサル、こちらは王都警備隊長のミラベスタ様だ。」
「初めまして、マサルです。
一応、マサル共和国の代表をしています。」
「なんと、これは失礼しました。
国王陛下であらせられましたか。」
「いえいえ、国の建国はしましたが、共和制を引いて、国の運営は議会に任せておりますから、国王ではないですよ。
ただのマサルで結構です。」
「では、わたしのこともミラベスタとお呼び下さい。」
「ミラベスタさん、わたしの星でも、ようやく魔物の転移魔方陣に対する対策が終わりました。
それでクラシケラさんから聞きました、元凶ですか?、それを捜しに来ました。」
「迷惑をかけて、本当に申し訳ないです。」
「いえいえ、ミラベスタさん達の責任じゃないですからね。
ただ脅威がある以上、早く取り除いておく必要がありますからね。
皆さんのお邪魔にならないように、先に調整しておきたいと思って参上したわけです。」
「お気遣いいたみ入ります。」
「教祖の名前は分かりますか?」
「教団の名前が『サーガの光』、教祖の名前はシラカハヤです。」
「『サーガの光』のシラカハヤですね。」
マサル、いやマサル殿が何か呟きながら、うわ目使いになにかを見ている。
「なるほど、この地域に『アラハルネ旧神殿』という場所がありますが?」
「それでしたら、ここから10分程度の場所にある、遺跡ですが。」
「そこにシラカハヤがいると、思われます。」
「しかし、あそこには何も…」
「一度調べてみても良いですか?」
「それは特に問題ありませんが。
わたしが案内しましょう。」
俺は、マサル殿を連れて、食堂を出て『アラハルネ旧神殿』に向かった。
<<マサル視点>>
タブレットで教祖を検索すると、『アラハルネ旧神殿』と出てきた。
場所を聞くと、すぐ近くのようだ。
ミラベスタさんが案内してくれるようなので、ついて行く。
食堂を出て、しばらく歩くと壊れた石の構造物が散らばる遺跡跡に到着した。
「マサル殿、ここが、『アルハルネ旧神殿』です。」
俺は遺跡の中を調べて丁寧に行く。
魔力を薄く伸ばして、波紋のように魔力を流していく。
そうすると、1ヶ所魔力の波紋に歪みが見つかった。
俺は、ミラベスタ殿に向かって話した。
「ここを調べましょうか。」
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命
yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる