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第10章 ダンジョン攻略
10 【ダンジョン再攻略4】
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<<グリル視点>>
5階層目はサリの活躍もあり、無事終了した。
この間にも、ランス様やナルン達による研修が行われ、魔素を集める訓練やそれを放出するための訓練が行われている。
徐々にではあるが、それらを習得する者も増えていき、より多くの冒険者による同時攻撃が可能となった。
6階層目、7階層目と冒険者達だけで問題なく探索は行われ、8階層目にたどり着く。
8階層目は、階段を降りたところが既に川になっていた。
どうやらこのフロアは水棲の魔物エリアのようだ。
水の中は足場が取られやすく、剣士には不利な条件となる。
また火魔法も水の中から攻撃してくる魔物には効きにくい。
雷魔法なんてもってのほかで、水を介して感電してしまう。
そのため、強力な魔法の多くが制限されることとなる。
ここでの定石は、足場を確保しながら慎重に剣士を先頭として進んで行くことしかないのだが、マサル様が突拍子もない攻略方法を提案された。
『土魔法で水の下の地面自体を上昇させ有利な形で勝負をかける』というものだ。
これだけ広大な領域に対し、土魔法という比較的魔力効率の良くない魔法を使うということは通常魔法使いの魔力量から考えてあり得ない。
ただ、今の俺達は違う。
ダンジョン内の魔素を集めて魔法を使えるものが大勢いるのだ。
これだけの人数と、魔素を集めることが出来る能力があるからこそ採れる手段だった。
早速、土地を隆起させる魔法のイメージの仕方をレクチャーしてもらった。
これは案外イメージし易く、大方の者がすぐに使えるようになった。
早速30名ほど選抜してそれぞれの区画を割り振り、土魔法を発動させた。
見渡せる範囲の水底が隆起し、あたり一面平坦な土床になった。
魚や甲殻類の魔物は上がってきている。
「それ、上に上がってきた魔物を殲滅するのだ。」
土魔法を使った30人以外の冒険者に号令を出し、水から出されて動きの鈍い魔物を殲滅していく。
小1時間ほどで辺り一面の魔物は片付いた。
同じ調子で次の水エリアも攻略していく。
魔物の中には、雷魔法を発して広範囲の冒険者を行動不能にしてしまうウナギや、小さいながらも大群で襲いかかり鋭い牙で骨まで食らいつくしてくるピラニーと呼ばれる狂暴種までいて、皆は驚愕していた。
こんな狂暴な奴らも土に上がってしまえば大した敵ではない。
次々に撃破していき、ついに8階層目も突破できた。
さすがにここまで来ると皆の疲労の色も隠せない程になってくる。
「そろそろこの辺で今日の探索を終了したいと思います。」
マサル様の了承を取り、いつものように転移の魔道具で庁舎に戻るのであった。
<<解体室長ベンチ視点>>
ダンジョン攻略部隊が帰って来やがった。
今日も順調だったみたいだな。
「さあ、解体作業を始めるか。
今日は大漁だったからな。
解体が大変だぜ。」
大変だと言いながらも嬉しそうにしてやがる。
この前ランス様の研修があり、皆んなの魔法能力が飛躍的に向上したらしい。
あの魔力ゼロって言われてた剣士のナルンでさえ、魔法が使えるようになったって聞いたが。
おかげで、解体室はホクホク顔の冒険者達でいっぱいになっちまった。
この調子じゃあ、朝までここは使えねぇな。
久しぶりに早く帰って寝るとするか。
<<マサル視点>>
執務室にグリルさんが来ている。
「マサル様、本当にありがとうございます。
マサル様とランス様のおかげで、うちの冒険者達の力はかなり向上しました。
おかげさまで、討伐した魔物の解体処理で、皆大騒ぎしています。
それで相談なのですが、解体した魔物の素材を販売するルートを決めておきたいと思っています。
今のうちに決めておかないと、後で揉める可能性がありますので。
せっかくですから、カトウ運輸で一括引き取りをお願い出来ませんでしょうか?」
「それだと、カトウ運輸の仲介料分高くなってしまいませんか?」
「そうなのですが、どこに販売しても、地消分以外は運送費が高くつくので、あまり変わらないかと。
逆にカトウ運輸の運送網を使えば、安くなる可能性もあります。」
「分かりました。ヤングさんに話しておきますね。
詳細な話しはヤングさんとお願いします。
国内で流通する分については、卸値を抑えるように言っておきます。」
「マサル様、ご配慮ありがとうございます。」
「いえ、ダンジョン自体、『棚ぼた』みたいなものですからね。
皆さんの暮らしが良くなるのでしたら、何の問題も無いですよ。」
「『棚ぼた』?何でしょうか、それは?」
「ああ、わたしの出身地のことわざですよ。『棚から牡丹餅』を略してるんですがね、『突然棚の上からパンが落ちて来てラッキーだ』って意味ですね。」
「確かに、予想もしなかったところからダンジョンが出てきたのですからね。
しかも、結構な高級食材になりそうな物が多いですし。
確かに『棚ぼた』ですな。ははははは。」
笑いながらグリルさんは帰って行った。
さあ、ヤングさんに連絡を入れて、わたしも帰りますか。
5階層目はサリの活躍もあり、無事終了した。
この間にも、ランス様やナルン達による研修が行われ、魔素を集める訓練やそれを放出するための訓練が行われている。
徐々にではあるが、それらを習得する者も増えていき、より多くの冒険者による同時攻撃が可能となった。
6階層目、7階層目と冒険者達だけで問題なく探索は行われ、8階層目にたどり着く。
8階層目は、階段を降りたところが既に川になっていた。
どうやらこのフロアは水棲の魔物エリアのようだ。
水の中は足場が取られやすく、剣士には不利な条件となる。
また火魔法も水の中から攻撃してくる魔物には効きにくい。
雷魔法なんてもってのほかで、水を介して感電してしまう。
そのため、強力な魔法の多くが制限されることとなる。
ここでの定石は、足場を確保しながら慎重に剣士を先頭として進んで行くことしかないのだが、マサル様が突拍子もない攻略方法を提案された。
『土魔法で水の下の地面自体を上昇させ有利な形で勝負をかける』というものだ。
これだけ広大な領域に対し、土魔法という比較的魔力効率の良くない魔法を使うということは通常魔法使いの魔力量から考えてあり得ない。
ただ、今の俺達は違う。
ダンジョン内の魔素を集めて魔法を使えるものが大勢いるのだ。
これだけの人数と、魔素を集めることが出来る能力があるからこそ採れる手段だった。
早速、土地を隆起させる魔法のイメージの仕方をレクチャーしてもらった。
これは案外イメージし易く、大方の者がすぐに使えるようになった。
早速30名ほど選抜してそれぞれの区画を割り振り、土魔法を発動させた。
見渡せる範囲の水底が隆起し、あたり一面平坦な土床になった。
魚や甲殻類の魔物は上がってきている。
「それ、上に上がってきた魔物を殲滅するのだ。」
土魔法を使った30人以外の冒険者に号令を出し、水から出されて動きの鈍い魔物を殲滅していく。
小1時間ほどで辺り一面の魔物は片付いた。
同じ調子で次の水エリアも攻略していく。
魔物の中には、雷魔法を発して広範囲の冒険者を行動不能にしてしまうウナギや、小さいながらも大群で襲いかかり鋭い牙で骨まで食らいつくしてくるピラニーと呼ばれる狂暴種までいて、皆は驚愕していた。
こんな狂暴な奴らも土に上がってしまえば大した敵ではない。
次々に撃破していき、ついに8階層目も突破できた。
さすがにここまで来ると皆の疲労の色も隠せない程になってくる。
「そろそろこの辺で今日の探索を終了したいと思います。」
マサル様の了承を取り、いつものように転移の魔道具で庁舎に戻るのであった。
<<解体室長ベンチ視点>>
ダンジョン攻略部隊が帰って来やがった。
今日も順調だったみたいだな。
「さあ、解体作業を始めるか。
今日は大漁だったからな。
解体が大変だぜ。」
大変だと言いながらも嬉しそうにしてやがる。
この前ランス様の研修があり、皆んなの魔法能力が飛躍的に向上したらしい。
あの魔力ゼロって言われてた剣士のナルンでさえ、魔法が使えるようになったって聞いたが。
おかげで、解体室はホクホク顔の冒険者達でいっぱいになっちまった。
この調子じゃあ、朝までここは使えねぇな。
久しぶりに早く帰って寝るとするか。
<<マサル視点>>
執務室にグリルさんが来ている。
「マサル様、本当にありがとうございます。
マサル様とランス様のおかげで、うちの冒険者達の力はかなり向上しました。
おかげさまで、討伐した魔物の解体処理で、皆大騒ぎしています。
それで相談なのですが、解体した魔物の素材を販売するルートを決めておきたいと思っています。
今のうちに決めておかないと、後で揉める可能性がありますので。
せっかくですから、カトウ運輸で一括引き取りをお願い出来ませんでしょうか?」
「それだと、カトウ運輸の仲介料分高くなってしまいませんか?」
「そうなのですが、どこに販売しても、地消分以外は運送費が高くつくので、あまり変わらないかと。
逆にカトウ運輸の運送網を使えば、安くなる可能性もあります。」
「分かりました。ヤングさんに話しておきますね。
詳細な話しはヤングさんとお願いします。
国内で流通する分については、卸値を抑えるように言っておきます。」
「マサル様、ご配慮ありがとうございます。」
「いえ、ダンジョン自体、『棚ぼた』みたいなものですからね。
皆さんの暮らしが良くなるのでしたら、何の問題も無いですよ。」
「『棚ぼた』?何でしょうか、それは?」
「ああ、わたしの出身地のことわざですよ。『棚から牡丹餅』を略してるんですがね、『突然棚の上からパンが落ちて来てラッキーだ』って意味ですね。」
「確かに、予想もしなかったところからダンジョンが出てきたのですからね。
しかも、結構な高級食材になりそうな物が多いですし。
確かに『棚ぼた』ですな。ははははは。」
笑いながらグリルさんは帰って行った。
さあ、ヤングさんに連絡を入れて、わたしも帰りますか。
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