上 下
204 / 382
第9章 マサル共和国の建国

11 【研究室再び】

しおりを挟む
<<ランス視点>>
移民船の第1弾が今日到着するということなので、お母様とイリヤと3人で港に来ました。

あれから港に灯台を作ったり管理棟を作ったりと、だいぶ港らしくなってきたんだよ。

あっ、船が見えてきました。

あと数分で港に着岸すると思うとわくわくしてくるね。

カトウ運輸の音楽部も今日は総出で歓迎の演奏をするそうです。

もう少しで着岸するところまで来ると、演奏が始まりました。

お父様が作曲した『軍艦マーチ』って曲です。

軽快なリズムと力強い音が気分を高揚させてくれるよね。

船から投げられたロープがビット(船を港に接岸するためにロープを引っ掛ける鉄製のフック)に引っ掛けられました。



船が着岸すると、1人目が降りてきました。
ローバー先生です。

「ローバー先生ご無沙汰いたしております。」

「ランス君、ご無沙汰じゃないよ!
こちらに来たのなら来たと我々に教えてくれなきゃ!」

ローバー先生おかんむりです。

そうか、国の建設のことで頭が一杯で、亜人大陸にいる研究室の先生方に声を掛けるのを忘れていた!

「ローバー先生、申し訳ありませんでした。
ごめんなさい忘れてました。」

「ほんとにもう!…  あっ、これはこれはリザベート様。ご無沙汰いたしております。」

「ローバー先生、こちらこそご無沙汰いたしております。
ランスが連絡をしていなかったとか。
本当に申し訳ありませんでした。」

「いやいや、わたし達も亜人大陸各地に散らばっておったからしようがなかったんですが。

ところでリザベート様、わたし達もこの国に移住させて頂けないでしょうか?」

「ええ、それは構いませんが。
家族の方々とかはどうされるのですか?」

「ほとんど独り者です。
家族のいる者は、連れてくると思います。」

「そうですか。分かりました、主人に話しておきますわ。」

「助かります。
ところで、ランス君。キンコー王国の研究室もこちらに移動したいんだが。

なんとかならないかなぁ。」

「お父様にお願いしたら、移動してくれると思います。

でも、研究室に所属している生徒や先生方はどうしましょうか?」

「そうだったな。彼等を忘れておった。

しばらく亜人大陸に掛り切りだったからなぁ。」

「そうだ、転移門を研究室にも繋げれば良いんじゃない?」

イリヤが割り込んで来た。

「通れる人を限定すれば問題無いと思うわ。

お兄ちゃん、お父様に聞いてみたら。」

イリヤが勝手なことを言っているが、まぁ一理あるか。

「ローバー先生、こちらにも研究室を作って、向こうの研究室と繋げてしまいましょうが?」

「そんなことが出来るのか?」

「お父様だったら、簡単にやれると思うけど。

ただセキュリティの問題がなぁ。
とりあえず聞いて見ます。」

「助かるよ、ランス君。」



「………ローバー先生、あのぉ研究室が向こうのままだったら、こちらに引っ越す意味あります?

だって先生方、研究室に住み込んで居られるでしょう?」

「「「…………たしかに。」」」

お母様の指摘に盛り上がっていた僕達は、我に返ったのだった。




「研究室を双方に置いて、今の小学校の敷地と、マサル共和国の両方で活動すれば良いではないか。

あの研究室に参加したい研究者はたくさんおるのだぞ。

そうだ、小学校の研究室は王立にしてしまおう。」

その夜、家に遊びに来たネクターおじ様にローバー先生達のことを話したら、小学校の敷地内にある研究室は王立として存続させて、研究者を増やすとのこと。

こちらにはもう1つ研究室を作って、転移門で行き来出来るようにしたらいいらしい。

あの研究室に参加希望の人達がたくさんいるみたいで、嘆願書が溢れてたみたいです。

翌日ローバー先生達に話したらすごく喜んでいた。

次の日、アーク陛下とデカさんが遊びに来た時に、昨日の研究室の話しをしたら、ロンドーにも研究室を作るので、同じ扱いにして欲しいって。
 
亜人大陸での研究が途中だった先生達も大喜びしていたよ。


「ところでイリヤちゃん、亜人大陸で、すごく変わった薬草を見つけたんだ。

その研究をしようと思うんだけど、一緒にどう?」

「面白そう!是非ご一緒させて下さい。」

「じゃあ、亜人大陸に出来る研究室に部屋を用意してもらうことにするのがいいね。」

イリヤすごく楽しそう。

「ランス君はわたしと、新しい街づくりを考えようじゃないか。

どうせこの街もすぐに手狭になるだろうからね。

新しく開拓しなくちゃな。」

「そうですね。ローバー先生。」

まだまだ山はたくさん残っているし、開拓をしていかないと新しく移住してくれる人達が困るものね。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~

暇人太一
ファンタジー
 仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。  ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。  結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。  そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?  この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

捨てられ従魔とゆる暮らし

KUZUME
ファンタジー
旧題:捨てられ従魔の保護施設! 冒険者として、運送業者として、日々の生活に職業として溶け込む従魔術師。 けれど、世間では様々な理由で飼育しきれなくなった従魔を身勝手に放置していく問題に悩まされていた。 そんな時、従魔術師達の間である噂が流れる。 クリノリン王国、南の田舎地方──の、ルルビ村の東の外れ。 一風変わった造りの家には、とある変わった従魔術師が酔狂にも捨てられた従魔を引き取って暮らしているという。 ─魔物を飼うなら最後まで責任持て! ─正しい知識と計画性! ─うちは、便利屋じゃなぁぁぁい! 今日もルルビ村の東の外れの家では、とある従魔術師の叫びと多種多様な魔物達の鳴き声がぎゃあぎゃあと元気良く響き渡る。

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜

西園寺若葉
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。 4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。 そんな彼はある日、追放される。 「よっし。やっと追放だ。」 自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。 - この話はフィクションです。 - カクヨム様でも連載しています。

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

処理中です...