174 / 382
第8章 亜人大陸の開発
5 【学校と民度】
しおりを挟む
<<ヤコブ改革担当ネリヤ視点>>
本日は村の学校を見学します。
そもそも言っちゃなんですが、学校って有力者の子息が行くところですよね。
たしかにルソン様からジャボ大陸では最近学校が増えて、識字率や計算の出来る人が激増しているとは聞いていましたが。
こんな小さな村に学校があること自体おかしな話で、通う子供達がいるのでしょうか?
学校に着いて驚きました。
しっかりとした校舎にたくさんの子供達がいます。
わたし達がいた村の中心部以外にも各地から移住して来た人々が集落をいくつか作っているみたいで、子供の数も多くなったそうです。
子供達は年齢別のクラスに分かれて、読み書きや計算、地理や歴史等を学んでいました。
小学校は一般的に5歳から11歳までの7年間通うことになるそうです。
カリキュラム自体は5年分だそうですが、春休みや収穫祭休み等の長期休みがあったり、家庭の事情を考慮して長めに7年間とっているそうです。
長期休みには、小学校卒業後にしっかり社会に出られるように、職業体験や各地域での交流等を行うそうです。
小学校は、最低6年間は通うことが義務付けられており、優秀者は中学校への進学もあるとのことです。
よく出来たシステムだと思います。
ただヤコブでは、幼い兄弟の面倒を見るために学校に通えない子供達も出てくると思われます。
「幼い兄弟の世話のために学校に通えない子供達はいないですか?」
「そうですね、たしかに家庭の事情や病人の看病等で通えない子達もいるかもしれません。
ただこの村では、村民達が協力し合って、そうならないようにしています。
助け合いの心を育むのも教育ですからね。」
案内してくれている村民が答えてくれました。
この考え方が浸透しているからこそ、この村の高い民度が定着しているのでしょうね。
民度が先か教育が先かの問題はあると思いますが、民度を高めるための工夫として、『道徳』の時間というものを、小学校では取り入れていると聞きました。
『道徳』の授業では、他人を思いやる心や、人との接し方、集団の中での考えるべきこと等を教えるそうです。
民度を高めるのは非常に長い時間が掛かりますが、教育に組み込むとは、考えたものです。
各クラスの授業内容を聴いていましたが、教える教師陣が良いのでしょうか、しっかりした授業内容になっています。
教師の育成は、非常に難しいと聞いていましたが、こんな地方の村にこのレベルの教師を置けるなんて。
わたしは村長のフレディさんに聞いてみました。
「ああ、先生方のことですね。
実は王立アカデミーの先生方が小学校、中学校の教師を大量に育成して下さっているのです。
アカデミーには『次世代の農村を考える会』という大人気の研究会がありまして、そこで学んでおられる生徒の皆さんが率先して各地の農村に教師として来て下さっているのです。
ちなみに、各所で代官や改革推進されている方々の多くはこの研究会の出身者だと聞いています。
実はこの研究会、カトウ公爵様の奥方であるリザベート様が立ち上げられたのですよ。」
フレディ村長は少し興奮気味にお話しされています。
なるほど、きちんとした教師の育成システムがあるから、これだけの教師を養成出来るわけですね。
しかしまだ改革が始まって15 年ほどだというのに、これだけの先見性を持ったシステムが構築されていることに驚きです。
我々もしっかりとこのシステムを学んで、構築出来るようにしなくてはいけないですね。
責任重大です。
校内の見学が終わり、校長室で学校運営や教育内容について伺っていると、日もだいぶ暮れてきました。
すると既に子供達が帰った校舎で声が聞こえてきます。
廊下に出てみると、たくさんの大人達が教室に入っていきます。
「あの方々は?」
「ああ、夜学のことですね。
この村に学校が出来てからまだ10数年です。
大人達の中には教育を受けていない者がほとんどでしたので、要望に応じる形で、大人達のための夜学を5年ほど前に開設したのです。
小学生レベル、中学生レベル、農業や建設等の専門課程まで、幅広く学んでおられます。
専門課程では、アカデミーの先生方や王都の学者先生も教えに来て下さっていますよ。」
豊かな生活が子供達に教育を与え、それに感化された親達も教育を受けることで、学んだ知識を使って更に生活が豊かにする。
村全体が豊かになることで、人口も増え、収穫量も増加していく。
まさに絵に描いたような改革成果です。
このような現象がジャボ大陸全域に広まりつつあり、それを国家間を超えて支援する組織や仕組みもあると聞きました。
これほどの大計を描いた方は、神としか言いようが無いでしょう。
わたし達は、半ば呆然としながらも、自国での取り組みに頭を悩ませるのでした。
本日は村の学校を見学します。
そもそも言っちゃなんですが、学校って有力者の子息が行くところですよね。
たしかにルソン様からジャボ大陸では最近学校が増えて、識字率や計算の出来る人が激増しているとは聞いていましたが。
こんな小さな村に学校があること自体おかしな話で、通う子供達がいるのでしょうか?
学校に着いて驚きました。
しっかりとした校舎にたくさんの子供達がいます。
わたし達がいた村の中心部以外にも各地から移住して来た人々が集落をいくつか作っているみたいで、子供の数も多くなったそうです。
子供達は年齢別のクラスに分かれて、読み書きや計算、地理や歴史等を学んでいました。
小学校は一般的に5歳から11歳までの7年間通うことになるそうです。
カリキュラム自体は5年分だそうですが、春休みや収穫祭休み等の長期休みがあったり、家庭の事情を考慮して長めに7年間とっているそうです。
長期休みには、小学校卒業後にしっかり社会に出られるように、職業体験や各地域での交流等を行うそうです。
小学校は、最低6年間は通うことが義務付けられており、優秀者は中学校への進学もあるとのことです。
よく出来たシステムだと思います。
ただヤコブでは、幼い兄弟の面倒を見るために学校に通えない子供達も出てくると思われます。
「幼い兄弟の世話のために学校に通えない子供達はいないですか?」
「そうですね、たしかに家庭の事情や病人の看病等で通えない子達もいるかもしれません。
ただこの村では、村民達が協力し合って、そうならないようにしています。
助け合いの心を育むのも教育ですからね。」
案内してくれている村民が答えてくれました。
この考え方が浸透しているからこそ、この村の高い民度が定着しているのでしょうね。
民度が先か教育が先かの問題はあると思いますが、民度を高めるための工夫として、『道徳』の時間というものを、小学校では取り入れていると聞きました。
『道徳』の授業では、他人を思いやる心や、人との接し方、集団の中での考えるべきこと等を教えるそうです。
民度を高めるのは非常に長い時間が掛かりますが、教育に組み込むとは、考えたものです。
各クラスの授業内容を聴いていましたが、教える教師陣が良いのでしょうか、しっかりした授業内容になっています。
教師の育成は、非常に難しいと聞いていましたが、こんな地方の村にこのレベルの教師を置けるなんて。
わたしは村長のフレディさんに聞いてみました。
「ああ、先生方のことですね。
実は王立アカデミーの先生方が小学校、中学校の教師を大量に育成して下さっているのです。
アカデミーには『次世代の農村を考える会』という大人気の研究会がありまして、そこで学んでおられる生徒の皆さんが率先して各地の農村に教師として来て下さっているのです。
ちなみに、各所で代官や改革推進されている方々の多くはこの研究会の出身者だと聞いています。
実はこの研究会、カトウ公爵様の奥方であるリザベート様が立ち上げられたのですよ。」
フレディ村長は少し興奮気味にお話しされています。
なるほど、きちんとした教師の育成システムがあるから、これだけの教師を養成出来るわけですね。
しかしまだ改革が始まって15 年ほどだというのに、これだけの先見性を持ったシステムが構築されていることに驚きです。
我々もしっかりとこのシステムを学んで、構築出来るようにしなくてはいけないですね。
責任重大です。
校内の見学が終わり、校長室で学校運営や教育内容について伺っていると、日もだいぶ暮れてきました。
すると既に子供達が帰った校舎で声が聞こえてきます。
廊下に出てみると、たくさんの大人達が教室に入っていきます。
「あの方々は?」
「ああ、夜学のことですね。
この村に学校が出来てからまだ10数年です。
大人達の中には教育を受けていない者がほとんどでしたので、要望に応じる形で、大人達のための夜学を5年ほど前に開設したのです。
小学生レベル、中学生レベル、農業や建設等の専門課程まで、幅広く学んでおられます。
専門課程では、アカデミーの先生方や王都の学者先生も教えに来て下さっていますよ。」
豊かな生活が子供達に教育を与え、それに感化された親達も教育を受けることで、学んだ知識を使って更に生活が豊かにする。
村全体が豊かになることで、人口も増え、収穫量も増加していく。
まさに絵に描いたような改革成果です。
このような現象がジャボ大陸全域に広まりつつあり、それを国家間を超えて支援する組織や仕組みもあると聞きました。
これほどの大計を描いた方は、神としか言いようが無いでしょう。
わたし達は、半ば呆然としながらも、自国での取り組みに頭を悩ませるのでした。
0
いつもお読みいただき有難うございます。
まだお気に入り登録をしておられない方は、是非お気に入り登録をお願いします。
お気に入り登録には、アルファポリスのユーザー登録が必要です。
ユーザー登録がお済みでない方は、以下にショートカットを乗せておきます。アルファポリスのユーザー登録はこちら(https://www.alphapolis.co.jp/register)から可能です。
よろしくお願いします。
また、ご意見・ご感想もお待ちいたしております。ご意見・ご感想はこちら(https://www.alphapolis.co.jp/novel/110590369/673276178/comment)からお願いします。
まだお気に入り登録をしておられない方は、是非お気に入り登録をお願いします。
お気に入り登録には、アルファポリスのユーザー登録が必要です。
ユーザー登録がお済みでない方は、以下にショートカットを乗せておきます。アルファポリスのユーザー登録はこちら(https://www.alphapolis.co.jp/register)から可能です。
よろしくお願いします。
また、ご意見・ご感想もお待ちいたしております。ご意見・ご感想はこちら(https://www.alphapolis.co.jp/novel/110590369/673276178/comment)からお願いします。
お気に入りに追加
336
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜
あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。
そんな世界に唯一現れた白髪の少年。
その少年とは神様に転生させられた日本人だった。
その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。
⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。
⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。
転生してテイマーになった僕の異世界冒険譚
ノデミチ
ファンタジー
田中六朗、18歳。
原因不明の発熱が続き、ほぼ寝たきりの生活。結果死亡。
気が付けば異世界。10歳の少年に!
女神が現れ話を聞くと、六朗は本来、この異世界ルーセリアに生まれるはずが、間違えて地球に生まれてしまったとの事。莫大な魔力を持ったが為に、地球では使う事が出来ず魔力過多で燃え尽きてしまったらしい。
お詫びの転生ということで、病気にならないチートな身体と莫大な魔力を授かり、「この世界では思う存分人生を楽しんでください」と。
寝たきりだった六朗は、ライトノベルやゲームが大好き。今、自分がその世界にいる!
勇者? 王様? 何になる? ライトノベルで好きだった「魔物使い=モンスターテイマー」をやってみよう!
六朗=ロックと名乗り、チートな身体と莫大な魔力で異世界を自由に生きる!
カクヨムでも公開しました。

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

一般人に生まれ変わったはずなのに・・・!
モンド
ファンタジー
第一章「学園編」が終了し第二章「成人貴族編」に突入しました。
突然の事故で命を落とした主人公。
すると異世界の神から転生のチャンスをもらえることに。
それならばとチートな能力をもらって無双・・・いやいや程々の生活がしたいので。
「チートはいりません健康な体と少しばかりの幸運を頂きたい」と、希望し転生した。
転生して成長するほどに人と何か違うことに不信を抱くが気にすることなく異世界に馴染んでいく。
しかしちょっと不便を改善、危険は排除としているうちに何故かえらいことに。
そんな平々凡々を求める男の勘違い英雄譚。
※誤字脱字に乱丁など読みづらいと思いますが、申し訳ありませんがこう言うスタイルなので。

クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。
目覚めると彼は真っ白な空間にいた。
動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。
神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。
龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。
六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。
神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。
気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる