最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

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第8章 亜人大陸の開発

1 【ジャボ大陸を見学に行こう】

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<<イリヤ視点>>
「さてどこから手を着けるかな。」

「やっぱり街の整備からでしょう。」

「いや農村改革で食糧の確保からだろう。」

「住民票を作って税の確保からじゃろうな。」

先生方が、亜人大陸各国それぞれの改革担当者を交えて、今後の進め方についての議論が白熱しているわ。

まぁそれぞれの得意分野があるから、しようがないわね。

各国の担当者さんも困惑している。

どんなふうになるのかわからないから当然だけど。

「先生、わたしも意見いいですか。」

「イリヤちゃん。どうぞ。」

「ええっと、今先生方の議論を聞いていて思ったんだけど、各国の担当者さん達、ずいぶん困っているみたい。

たぶん、議論の具体的な内容がわからないんですよね?」

担当者の1人が手を挙げる。

「わたしはヤライから来ましたナムルです。よろしくお願いします。

お恥ずかしい話しなんですが、わたし共とジャボ大陸各国では、かなり文化や技術力に差があるようです。

お話しになられていることは、抽象的には分かるのですが、具体的に何をすればどんな効果があるのかが、分からないのです。」

やっぱり。

「たぶんそうだと思いました。

自分達の理解の及ぶ範囲については、既に手をつけられていると思いますが、理解の及ばないところは、どうしようも無いですよね。」

わたしは周りを見渡しながら一呼吸置く。

「いちどキンコー王国を視察してもらって、改革後のイメージを掴んでもらった方が早いと思うのですが?」

「さすが、イリヤちゃん。

その通りだ。わたしら学者は、自分達の知識で話してしまうから、前提知識が無いと、何を言っているのか分からんはずだ。」

他の先生方も頷いている。

「イリヤちゃん、調整出来るかい。」

「お父様とお母様、それとユーリスタさんに連絡したら、上手くやってくれると思う。

今から連絡するね。」

わたしはトランシーバーで連絡する。

「お父様、こちらの改革担当者さん達を向こうに視察に連れて行きたいんだけど、大丈夫?」

「それは良いアイデアだね。
ちょっと待ってね…………

ここにいる皆さんも行きたいらしいから、一緒に行こう。

向こうには、お父さんから連絡しておくから、準備が出来たらそっちに行くよ。」

「お父様から向こうに連絡してくれるみたいです。

あと、こちらの重鎮の方々も一緒に行かれるそうです。」


「それじゃあ、わたし達は視察順序でも考えておくか。

イリヤちゃんとシルビアさんは向こうの国の説明や特色なんかの説明を頼めるかな。」

「分かりましたぁ。」




それからしばらくして、お父様達がやって来ました。

「先生方お待たせしました。
さあ行きましょうか。」

わたし達はロンドー王宮の地下にある転移部屋に移動しました。

この部屋は結界の魔道具で厳重に囲われており、お父様が居ないと中に入ることは出来ないようになっています。

部屋の中には転移の魔道具があり、この魔道具もお父様の魔力にしか反応しないようになっているんです。

だって誰だって使えちゃうと悪用されたら困るしね。

ちなみに、王宮の裏にはカトウ運輸の物流センターが既に出来ています。

お父様が『久しぶりに頑張った』って言っていました。

ナーラの物流センターにある倉庫の1つがと移転の魔道具で繋がっており、その倉庫に入れるとこちらに勝手に移送されるようです。

もちろん持ち込む商品は、双方のカトウ運輸職員と双方の管理官がチェックすることになっています。

この物流センターは、ロンドーだけじゃ無く、ヤライやヤコブにもあります。


わたし達は、転移の魔道具を使って、我が家の地下室に移動しました。

「「「おおっ」」」

突然居場所が変わり、驚きの声が上る。

「さあ、こちらにどうぞ。」

結界を解いたお父様に続いて皆さんが後に付いていく。

リビングでそれぞれが席に着くとアリスさん達がお茶を持って来てくれました。

ちなみに王都の屋敷とナーラの屋敷も転移魔法陣で繋がっている。

屋敷の者だけが登録されているのだけどね。

「とりあえずお茶でもどうぞ。
それで視察順序は、決まりましたか?」

「そうですね。せっかくナーラに来ているのだから、まずはハーバラ村に行きたいと思います。

農村で規模もそれほど大きくないので、比較的理解し易いと思います。

次は小さな街を見て頂こうと思います。
出来ればカトウ運輸の物流センターを中心に発展しているところが良いかと。」

「それならターバが良いかも知れないね。

あそこは、物流センターの設置がナーラの次に早く、物流センター中心に街を再生したからね。

リズ、ライス代官に連絡出来るかい。」

「わかったわ。ライス先輩にもトランシーバーを渡してあるから、すぐに連絡しておくわ。」



「じゃあ、ハーバラ村まで行きましょうか。」

外に出て、玄関先に止めてある『トラック馬車』に乗り込みます。

この『トラック馬車』はカトウ運輸で使っている最新型の配送車を改造したもので、足回りも中の亜空間拡張もそのまま使っていますが、外装と亜空間拡張の内装や調度品が豪華になっています。

「おおっ、これは一体?」
「何で中がこんなに広いのだ?」
「トイレや風呂まであるぞ!」
「全く揺れん!」

この馬車に乗った人は皆さんこんな反応をするんです。

でも、本当に驚くのはこれからです。

「ああっ!?」

窓の外を見ていたアーク様が驚きの声を上げました。

「空を飛んでる!!」

「「「ええっ!?」」」

やっぱり驚きますよね。

そうなんです。うちのこの馬車は、空を飛ぶ機能が付いているのです。

お父様は、全ての『トラック馬車』にこの機能を付けたかったみたいなのですが、ネクター王に全力で止められたって嘆いていました。

馬車の中は騒がしいままですが、まもなくして、無事にハーバラ村に到着しました。


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