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第7章 研究室と亜人大陸
8 【追っ手の正体2】
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<<マサル視点>>
俺はデカさんが頼って来たルソン殿に連絡をとった。
ルソン殿はナーラの国際連合事務局に来ているはずだ。
早速事務局にトランシーバーで連絡を入れる。
「ルソン殿、ご無沙汰してます。マサルです。」
「おおっ、英雄殿でしたか。
今は、カトウ公爵様とお呼びすべきですかな。はっはっはっ。」
「恥ずかしいので、マサルでお願いします。
ところでルソン殿、亜人大陸のエルフでヤライ族をご存知ですか?」
「よく知っていますよ。
族長のカーンがロンドーから独立する際にわたしらヤコブ族も兵を出して協力したのですが、その時にわたしがリーダーをしておりました。」
「そうでしたか。それでは、カーン殿の娘のデカさんはご存知でしょうか?」
「ええ、知っていますよ。
あの頃はまだ子供でしたが。」
「それは良かった。
実はデカさんがルソン殿を頼って王都に来られているのです。
お会い頂けますか?」
「デカさんが、ですか。
あと数日こちらに滞在する予定でしたから、大丈夫ですよ。
でもデカさんもマサル殿も王都におられるのですよね。」
「そうですね。すぐにそちらに行きますので、少しお待ち頂けますか。」
俺はそう言うと、トランシーバーを切って、デカさんにすぐにルソン殿のところに行くように話す。
デカさんの返事を待って俺は、デカさんをお姫様抱っこすると、建屋外に出て、王都の屋敷まで跳んだ。
屋敷に着くとすぐに、ナーラへの転移魔法の魔道具を使ってナーラの執務室に向かった。
「ルソン殿お待たせしました。
こちらがデカさんです。」
「『お、お待たせしました』って言っても、さっき通信を切ってから5分ほどですよ。
王都におられたのですよね。」
「まぁ、その辺は深く詮索しないで下さい。
それより、デカさん。
こちらが、あなたの探しておられたルソン殿です。」
デカさんも、目をキョロキョロさせて、ちょっと様子がおかしいが、それでもすぐに立ち直ったみたいで、ルソン殿に挨拶する。
「ルソン様、カーンの娘のデカです。
カーンの名代でここまでやって来ました。
今、ヤライ族は、ロンドー族とスパ二族に攻められようとしています。
ヤコブ族のお力を再びお貸し願えればと思い、ルソン様にお願いに参りました。」
「デカさん、それでわざわざこんな遠方まで?
ヤコブ族に直接行かれましたか?」
「ええ、父が族長を訪ねました。
ただ、族長様つまりルソン様のお父上が亡くなった直後で、協力の判断が出来ないと。……」
「ええっ、父が死んだと。
ですが、兄や弟達がいたと思うのですが?」
「詳しくは分かりませんが、『まだ次の族長ははっきりと決まっていないようだ』と父が言っていました。」
「そうですか。
もしかすると、リュウの奴が……」
「ともかく、もうルソン様しか頼る方がおられなかったのです。」
デカさんの真剣な表情にルソン殿は何かを考えていたが、デカさんに視線を向けると、徐に話し出した。
「わたしは商人になる為にヤコブ族を兄弟に託し、離れました。
今更、ヤコブ族のことに首を突っ込むことは出来ません。
ただ、デカさんの仰るとおり、ヤコブ族が次期族長を決められていない原因は、わたしにあるかも知れません。
ヤライ族とヤコブ族は関係も古く、双方の危機に立ち上がらない事などあり得ません。
わたしもすぐに向こうに向かいたいと思います。
直ちに船の手配をしなければ。」
「ルソン様、ありがとうございます。
これで、ヤライも救われます。」
「いやデカさん。安心するのはまだ早いです。
デカさんが向こうを出てからどのくらいの日数が経っていますか?
また、船が手配出来てから亜人大陸に行くまでの日数を考えると、状況は大きく変わっている可能性があります。」
「そ、そんな。わたしが向こうを経ってから約2ヶ月が経っています。
これから、戻ったとしても更に2ヶ月として合計4ヶ月以上になります。
確かに、既に戦闘状態になっているかも知れません。…………」
デカさんの悲痛な表情に俺は優しく言葉を掛ける。
「デカさん、心配しないで下さい。
わたしが少し様子を見てきますから。」
俺はタブレットを取り出すと、ヤライ族の国の場所を地図で確認する。
ここからだと、南南西に真っ直ぐに行ったところのようだ。
「じゃあ、ちょっと行ってきますね。」
俺はそのまま、南南西に向けて空に飛び立った。
ワーカ領を越え海を飛ぶこと4時間ほどで、亜人大陸の海岸線が見えてきた。
タブレットを参照しながら更に進むと、厳戒態勢を引いている戦士達の姿が見えてきた。
耳が長い。たぶんあれがヤライ族だろう。
俺は近くの森に降りて、警備兵の方に近づく。
「止まれ、お前はどこの者か?」
「わたしは、ジャボ大陸にあるキンコー王国から来ましたマサル・カトウという者です。
こちらはヤライ族の国で間違いないでしょうか?」
「いかにも我々はヤライ族の者だが。」
「良かった。わたしは、デカさんの依頼を受けてこちらに参りました。
族長のカーン様にお取り次ぎ願えますでしょうか?」
俺はデカさんが頼って来たルソン殿に連絡をとった。
ルソン殿はナーラの国際連合事務局に来ているはずだ。
早速事務局にトランシーバーで連絡を入れる。
「ルソン殿、ご無沙汰してます。マサルです。」
「おおっ、英雄殿でしたか。
今は、カトウ公爵様とお呼びすべきですかな。はっはっはっ。」
「恥ずかしいので、マサルでお願いします。
ところでルソン殿、亜人大陸のエルフでヤライ族をご存知ですか?」
「よく知っていますよ。
族長のカーンがロンドーから独立する際にわたしらヤコブ族も兵を出して協力したのですが、その時にわたしがリーダーをしておりました。」
「そうでしたか。それでは、カーン殿の娘のデカさんはご存知でしょうか?」
「ええ、知っていますよ。
あの頃はまだ子供でしたが。」
「それは良かった。
実はデカさんがルソン殿を頼って王都に来られているのです。
お会い頂けますか?」
「デカさんが、ですか。
あと数日こちらに滞在する予定でしたから、大丈夫ですよ。
でもデカさんもマサル殿も王都におられるのですよね。」
「そうですね。すぐにそちらに行きますので、少しお待ち頂けますか。」
俺はそう言うと、トランシーバーを切って、デカさんにすぐにルソン殿のところに行くように話す。
デカさんの返事を待って俺は、デカさんをお姫様抱っこすると、建屋外に出て、王都の屋敷まで跳んだ。
屋敷に着くとすぐに、ナーラへの転移魔法の魔道具を使ってナーラの執務室に向かった。
「ルソン殿お待たせしました。
こちらがデカさんです。」
「『お、お待たせしました』って言っても、さっき通信を切ってから5分ほどですよ。
王都におられたのですよね。」
「まぁ、その辺は深く詮索しないで下さい。
それより、デカさん。
こちらが、あなたの探しておられたルソン殿です。」
デカさんも、目をキョロキョロさせて、ちょっと様子がおかしいが、それでもすぐに立ち直ったみたいで、ルソン殿に挨拶する。
「ルソン様、カーンの娘のデカです。
カーンの名代でここまでやって来ました。
今、ヤライ族は、ロンドー族とスパ二族に攻められようとしています。
ヤコブ族のお力を再びお貸し願えればと思い、ルソン様にお願いに参りました。」
「デカさん、それでわざわざこんな遠方まで?
ヤコブ族に直接行かれましたか?」
「ええ、父が族長を訪ねました。
ただ、族長様つまりルソン様のお父上が亡くなった直後で、協力の判断が出来ないと。……」
「ええっ、父が死んだと。
ですが、兄や弟達がいたと思うのですが?」
「詳しくは分かりませんが、『まだ次の族長ははっきりと決まっていないようだ』と父が言っていました。」
「そうですか。
もしかすると、リュウの奴が……」
「ともかく、もうルソン様しか頼る方がおられなかったのです。」
デカさんの真剣な表情にルソン殿は何かを考えていたが、デカさんに視線を向けると、徐に話し出した。
「わたしは商人になる為にヤコブ族を兄弟に託し、離れました。
今更、ヤコブ族のことに首を突っ込むことは出来ません。
ただ、デカさんの仰るとおり、ヤコブ族が次期族長を決められていない原因は、わたしにあるかも知れません。
ヤライ族とヤコブ族は関係も古く、双方の危機に立ち上がらない事などあり得ません。
わたしもすぐに向こうに向かいたいと思います。
直ちに船の手配をしなければ。」
「ルソン様、ありがとうございます。
これで、ヤライも救われます。」
「いやデカさん。安心するのはまだ早いです。
デカさんが向こうを出てからどのくらいの日数が経っていますか?
また、船が手配出来てから亜人大陸に行くまでの日数を考えると、状況は大きく変わっている可能性があります。」
「そ、そんな。わたしが向こうを経ってから約2ヶ月が経っています。
これから、戻ったとしても更に2ヶ月として合計4ヶ月以上になります。
確かに、既に戦闘状態になっているかも知れません。…………」
デカさんの悲痛な表情に俺は優しく言葉を掛ける。
「デカさん、心配しないで下さい。
わたしが少し様子を見てきますから。」
俺はタブレットを取り出すと、ヤライ族の国の場所を地図で確認する。
ここからだと、南南西に真っ直ぐに行ったところのようだ。
「じゃあ、ちょっと行ってきますね。」
俺はそのまま、南南西に向けて空に飛び立った。
ワーカ領を越え海を飛ぶこと4時間ほどで、亜人大陸の海岸線が見えてきた。
タブレットを参照しながら更に進むと、厳戒態勢を引いている戦士達の姿が見えてきた。
耳が長い。たぶんあれがヤライ族だろう。
俺は近くの森に降りて、警備兵の方に近づく。
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「わたしは、ジャボ大陸にあるキンコー王国から来ましたマサル・カトウという者です。
こちらはヤライ族の国で間違いないでしょうか?」
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