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第7章 研究室と亜人大陸
7 【追っ手の正体1】
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<<ランス視点>>
「今ナーラ領にいるからすぐにそっちに行くよ。」
「今ナーラ領にいるから、すぐ来るって。」
「カトウ公爵様が本当に来て下さるんだねぇ。
うわさ通りの優しいお方だねぇ。
まあ、ナーラからだったら馬車で丸1日くらいだから、デカさん、それまでゆっくりと休んでおくと良いよ。
カトウ公爵様様だったら、上手くやって下さるに違いないからねぇ。」
丸1日って、そんなに掛からないと思うけどな。
そのあと、デカさんから亜人大陸のことを聞いていたんだ。
そしたら研究室のドアをノックする音が聞こえた。
「シルビア先生、カトウです。お邪魔します。」
お父様が、来てくれたんだ。
僕はドアを開けに行った。
「ランス、困っている人を助けたんだってな。
えらいぞ。」
お父様に頭をガシガシされて、ちょっと恥ずかしいけど、すごく嬉しかった。
「シルビア先生、お父様が来てくれたよ。」
シルビア先生は、ちょっと固まっている。
「だ、だって、あれから1時間ほどしか経っていない?」
「シルビア先生ですか、いつも子供達がお世話になってます。
ランスとイリヤの父親のマサル・カトウです。」
「カトウ公爵様、お、お初にお目にかかります。シルビア・ダッソンです。
ナーラからお越しになると聞いていたので、お早いお着きに驚いています。」
再起動したシルビア先生が、なんとか立ち直ったようだ。
「そうですね。空を飛んで来たので、1時間くらいですかね。」
「そ、空!!」
「あっそうか!
シルビア先生、お父様が空を飛べるのを知らなかったんだね。
ちなみに僕もシルビアも、お父様ほどじゃ無いけど飛べるよ。
デカさんも飛んで連れてきたんだ。」
「そうなのかい!!
公爵様の英雄伝は、舞台や吟遊詩人がたくさん伝えていて、その中に『空を駆ける』というシーンがあるけど、誇張だと思ってたよ。
まさか本当に飛べるとはねぇ。ぶつぶつ……」
僕達が空を飛べることを知ったシルビア先生が何かぶつぶつ言ってる。
ちょっと待ったけど返って来そうになかったので、お父様が先生に質問した。
「先生、それでこちらの方がランスが保護した方ですか?」
「あっそうです。こちら亜人大陸から来られたエルフ族のデカさんです。」
「デカさん、わたしはこのキンコー王国で公爵位を賜っているマサル・カトウと申します。
そこにいるランスの父親でもあります。
何か深い事情があると思いますが、お力になれるかも知れないので、事情を話して頂けないでしょうか?」
「………」
「大丈夫です。秘密は守りますし、必ずお力になれると思います。」
デカさんは、お父様の顔をジッと見てから話し出した。
「わたしはエルフのヤライ族族長の娘デカと申します。
ヤライ族はかつて近隣のロンドー族に支配されていました。
50年前にわたしの父カーンが先頭に立ち、独立戦争を起こしました。
10数年に渡る戦闘の末、わたし達はなんとか勝利を収め、ヤライ族は、独立自治国家として認められたのです。
独立後、父は族長として、他地域との交渉を重ね、国としての体制を固めてきました。
また、農業等の産業にも力を注ぎ、国家としても安定してきました。
そんな中、わたし達の領地から銅を大量に含んだ鉱山が見つかったのです。
亜人大陸では銅は貴重なレアメタルで、この鉱山はヤライ族にとって一気に国家としての気勢を上げるチャンスだと国内が湧きました。
しかし、隣国はこの状況を黙って見過ごすわけがありませんでした。最初にロンドー族が鉱山の所有権を主張してきました。
次に鉱山側に国境を接するスパ二族が、国境線の引き方に問題があると、鉱山の権利について主張してきました。
わたし達にとっては寝耳に水の話しでしたが、双方とも武力による進攻も辞さないと通知してくるあり様です。
父カーンは旧知のドワーフのヤコブ族を頼りましたが、ヤコブ族は族長の急死により、次期族長が決まっていなかったのです。
族長不在のヤコブ族では決断がもらえませんでした。
ヤコブ族の元族長の子供であるルソン殿が、現在こちらの大陸にあるサイカー領におられると聞き付け、わたしが協力を仰ぎに参った次第です。
ところが、わたしがこちらに来ることを事前に察知した何者かがわたし達を襲ってきました。
最初は船の中で、次がサイカー領の宿屋で、3回目がわたしが助けて頂いた辺りです。」
ーーーーーーーーーーーーー
やっと退院できました。
急性胆嚢炎で、2cmくらいの胆石が、胆管と胆嚢を繋ぐ管に嵌り込んでたようです。
しばらくは、自宅で療養になります。
「今ナーラ領にいるからすぐにそっちに行くよ。」
「今ナーラ領にいるから、すぐ来るって。」
「カトウ公爵様が本当に来て下さるんだねぇ。
うわさ通りの優しいお方だねぇ。
まあ、ナーラからだったら馬車で丸1日くらいだから、デカさん、それまでゆっくりと休んでおくと良いよ。
カトウ公爵様様だったら、上手くやって下さるに違いないからねぇ。」
丸1日って、そんなに掛からないと思うけどな。
そのあと、デカさんから亜人大陸のことを聞いていたんだ。
そしたら研究室のドアをノックする音が聞こえた。
「シルビア先生、カトウです。お邪魔します。」
お父様が、来てくれたんだ。
僕はドアを開けに行った。
「ランス、困っている人を助けたんだってな。
えらいぞ。」
お父様に頭をガシガシされて、ちょっと恥ずかしいけど、すごく嬉しかった。
「シルビア先生、お父様が来てくれたよ。」
シルビア先生は、ちょっと固まっている。
「だ、だって、あれから1時間ほどしか経っていない?」
「シルビア先生ですか、いつも子供達がお世話になってます。
ランスとイリヤの父親のマサル・カトウです。」
「カトウ公爵様、お、お初にお目にかかります。シルビア・ダッソンです。
ナーラからお越しになると聞いていたので、お早いお着きに驚いています。」
再起動したシルビア先生が、なんとか立ち直ったようだ。
「そうですね。空を飛んで来たので、1時間くらいですかね。」
「そ、空!!」
「あっそうか!
シルビア先生、お父様が空を飛べるのを知らなかったんだね。
ちなみに僕もシルビアも、お父様ほどじゃ無いけど飛べるよ。
デカさんも飛んで連れてきたんだ。」
「そうなのかい!!
公爵様の英雄伝は、舞台や吟遊詩人がたくさん伝えていて、その中に『空を駆ける』というシーンがあるけど、誇張だと思ってたよ。
まさか本当に飛べるとはねぇ。ぶつぶつ……」
僕達が空を飛べることを知ったシルビア先生が何かぶつぶつ言ってる。
ちょっと待ったけど返って来そうになかったので、お父様が先生に質問した。
「先生、それでこちらの方がランスが保護した方ですか?」
「あっそうです。こちら亜人大陸から来られたエルフ族のデカさんです。」
「デカさん、わたしはこのキンコー王国で公爵位を賜っているマサル・カトウと申します。
そこにいるランスの父親でもあります。
何か深い事情があると思いますが、お力になれるかも知れないので、事情を話して頂けないでしょうか?」
「………」
「大丈夫です。秘密は守りますし、必ずお力になれると思います。」
デカさんは、お父様の顔をジッと見てから話し出した。
「わたしはエルフのヤライ族族長の娘デカと申します。
ヤライ族はかつて近隣のロンドー族に支配されていました。
50年前にわたしの父カーンが先頭に立ち、独立戦争を起こしました。
10数年に渡る戦闘の末、わたし達はなんとか勝利を収め、ヤライ族は、独立自治国家として認められたのです。
独立後、父は族長として、他地域との交渉を重ね、国としての体制を固めてきました。
また、農業等の産業にも力を注ぎ、国家としても安定してきました。
そんな中、わたし達の領地から銅を大量に含んだ鉱山が見つかったのです。
亜人大陸では銅は貴重なレアメタルで、この鉱山はヤライ族にとって一気に国家としての気勢を上げるチャンスだと国内が湧きました。
しかし、隣国はこの状況を黙って見過ごすわけがありませんでした。最初にロンドー族が鉱山の所有権を主張してきました。
次に鉱山側に国境を接するスパ二族が、国境線の引き方に問題があると、鉱山の権利について主張してきました。
わたし達にとっては寝耳に水の話しでしたが、双方とも武力による進攻も辞さないと通知してくるあり様です。
父カーンは旧知のドワーフのヤコブ族を頼りましたが、ヤコブ族は族長の急死により、次期族長が決まっていなかったのです。
族長不在のヤコブ族では決断がもらえませんでした。
ヤコブ族の元族長の子供であるルソン殿が、現在こちらの大陸にあるサイカー領におられると聞き付け、わたしが協力を仰ぎに参った次第です。
ところが、わたしがこちらに来ることを事前に察知した何者かがわたし達を襲ってきました。
最初は船の中で、次がサイカー領の宿屋で、3回目がわたしが助けて頂いた辺りです。」
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