最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

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第6章 ランスとイリヤ

20 【放射能廃棄物は何処から?】

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<<マリス視点>>
いつもの礼拝の時に、マサルさんから過去の転生者について聞かれたわ。

どうやら瘴気の正体を突き止めたみたい。

地球から来たゴミが原因らしいの。

2500年前に地球から持ち込まれたそのゴミが、(大地の神)シールが捨てた他のゴミに混じっていたみたい。

でも誰が持ち込んだんだろ?

あの頃は調子に乗って、いろんなところのいろんな時代から転生させていたからなぁ。

マサルさんが言うには、マサルさん達の時代よりも少し後の時代だろうって。

核燃料の再利用とか言ってたっけ。

マサルさんの時代に開発や運用が進められていたけど、まだ未熟で一般には取り扱い出来るものではなかったみたい。

どちらにしても、そんな危険なもの、早く見つかって良かったわ。

マサルさんにご褒美をあげたいんだけど、彼ったら受け取らないのよね。

いつものように寿命を伸ばしてあげようかな。

もう1000歳はとっくに越えているんだけどね。

わたしの所属する異世界管理局に転職してもらって、神って呼ばれるのもありかも。
マサルさんの性格なら、きっと良い世界を作れそうだわね。



<<マサル視点>>
ドラム缶に入っていたのは、たぶん放射能廃棄物だと思う。

過去の転生者が原子力発電をした結果なのか、それとも再利用するために持ち込まれたものなのかはわからないが、どちらにせよ厄介なものだった。

幸運にもナージャが発見者で良かった。

もし、別の者が知らずに破壊してしまっていたら、大惨事になっていたことだろう。

マリス様にこのことを確認してみたが、心当たりが無いとのことだ。

まぁマリス様達の時間の感覚でいくと、2500年なんてあっという間だから、いちいち覚えていられないかもね。



<<2500年前に転生した若者視点>>

数ヶ月前に俺は地球の西暦2300年からこの世界に転生させられて来た。

転生の目的は、この世界に文明を作ることだ。

一応この世界にも文明はある。

数十戸単位の村が農耕と狩猟で生計を立てている集落が点在しているだけだけど。

俺は集落をまとめて、都市を作った。
都市の名をプラークという。

プラークは人口3000人くらいの街で、整然と並んだ街並みは、パリをモデルにしたんだ。

立ち並ぶアパートメントはもちろん上下水道完備で、大都市に相応しい綺麗な環境を誇る。

街の周囲には畑が囲っており、その外側は、重厚な城壁に囲われている。

プラーク建設時に反対した集落がたとえ徒党を組んで襲って来たとしても、陥すことは出来ないだろう。

プラークに移住した者達は、その進んだ都市を喜び、それを与えてくれた俺やマリス様を讃えた。

農作物は農耕の神ポーラ様の加護を受けてすくすくと育った。

街は活気に溢れ、様々な商人や職人が次々に店を出す。

貨幣経済を始めたのも俺だ。

衣食住が揃うと、悪いことを考える奴等も出てくる。

警察組織も作った。

俺は有頂天になっていたんだ。

ある日、この世界に電気が無いことに気付いた。

そうだ、電気があればもっと生活が向上するに違いない。

俺はマリス様から元の世界の物を取り寄せる力をもらった。

俺は迷わず、元の世界で最もポピュラーな核燃料を使った自家発電装置と核燃料を取り寄せた。

核燃料が危険なものであることは、歴史の授業で習った。

でも俺が生まれた西暦2285年には、最も安価で安全な発電装置は核融合だったんだ。

俺は街の中心にある庁舎の地下に自家発電装置を設置した。

そこから放射状に延びる数え切れない程の電線は、夜になっても煌々と街を照らし、人々の活動時間は、一気に伸びた。

もう俺は物を取り寄せることを自重することはなかった。

ビニールハウスでは、ロボットが季節も天候も朝晩も関係なく栽培し続け、食べ物が溢れた。

人々は働くことを忘れ、享楽に耽った。

食べ物はビニールハウスからどんどん届き、無償で誰でも食べ放題。

生産装置が次々と商品を作って街にばら撒く。

材料は元の世界から取り寄せるだけだ。

電化製品もひたすら取り寄せ、人は何もする必要がなくなった。

警察も必要ない。生活に困って悪いことをする奴さえ居なくなったんだから。

でも俺は知らなかったんだ。
プラークがこうして自堕落になっている間に、とんでもない事態が起こっていたことを。

核燃料は再利用できるが、やはり限界がある。

際限なく電気を使ったのだから、核廃棄物もどんどん溜まっていった。

シール様に相談したら、核廃棄物を埋め立てる場所を提供してもらえた。

ロボットを使って日々出てくる廃棄物をそこに運ばせる。

ロボットは、何も言わずに黙々と運ぶ。
そう何も言わずに。

俺は核廃棄物から放射能が漏れていることに、全く気付かなかった。

やがて、放射能は悪夢を生み出す。

廃棄場の近辺に住む動物や人が、漏れた放射能と、元々この地にあった魔素とが科学反応を起こしたものに侵され、次第に魔物化していったみたいだ。

長い年月をかけて。

俺は晩年、放射能汚染の事実を知ったが、それがどうした。

ここまで自堕落した者達に警告を発したところで、何の意味がある?

俺は、この事実を墓場まで持って行くことにしたんだ。





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いつもお読み頂きありがとうございます。

今回は後半を、尊敬する星新一先生風に書いてみました。

プラークの古代都市が実は近未来同様の文明を誇り、何も残さずに消えていったという話しです。

わたしは、原子力発電に否定的ではありません。

むしろ将来的に最も期待できる発電方式だと思っています。

わたしが生きているうちには実現しないでしょうが、2300年頃には自家発電に使えるくらいの安全性を確保出来ているのではないかと、思いながら書きました。

安全性の確保を最優先で開発を進めていって頂きたいものですね。

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