最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

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第5章 新しい生活の始まり

11 【結婚式と披露宴の旅3】

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<<カトウ運輸警備課 課長ハリス視点>>
俺の名前はハリス。
もう5年になるか、ワーカ領で義賊を気取っていた俺達『風の旅団』が騎士団にとっ捕まり、死刑を待っている時に、俺達を助けてくれて仕事まで与えてくれた方がいた。

今俺が勤めているカトウ運輸の会頭マサル様だ。

その後カトウ運輸の用心棒となった元『風の旅団』だが、カトウ運輸の規模拡大と共に組織の規模も膨らみ、今では警備課だけでも10,000人以上いる。

俺は今その警備課を任されている。

警備課の仕事は主に4つだ。
1つ目は、物流センター及び配送センターの警備だ。
大陸中に、物流センター50ヶ所、配送センター200ヶ所があり、それぞれに、3~100人程度つけてある。

2つ目は、本社の警備だ。
訓練生や予備隊を含め、2000人程度。

3つ目は、駅の警備だ。
各街道にある駅は、その地の領主が経営しているが、警備に関しては、カトウ運輸が一括して請け負っている。
駅の数は、全部で1000程度ある。

4つ目は、配送中のトラックの警護だ。
1配送につき、5人程度がつく。
少ないと思うかもしれないが、駅にも警備課のものがおり、異常があれは直ぐ情報共有できるし、何かトラブルがあれば駆けつけることも出来る。

本社の予備隊が定期的に訓練を兼ねて、見廻りもしているので、問題ない。

まぁ、もし襲われたとしても、会頭が作られた魔道具で、強力な結界が張れるので大丈夫だ。



採用は基本的に地元で行う。
入社後、本社で訓練と教育を行い、武力と学力のテストに合格したら、採用元の物流センターに配属になり、希望を加味して配属先を決める。

そうなので、警備員といえども役所の事務程度は余裕でこなせる。

そんなことをして、転職されないのかって?

カトウ運輸は、給与も福利厚生も破格なので、転職しようなんてやつはいないんだ。


さて、今日は、ハローマ王国王都物流センターで、会頭とリザベート様の披露宴があるので、俺も予備隊のメンバーを引き連れてハローマ王国の王都に来ている。

一昨日キンコー王国で結婚式と披露宴があった。

そして、今日はハローマ王国で披露宴だ。

普通は、馬車で7日以上かかる距離だが、おふたりは空を駆けて移動するらしい。

残念ながら、俺達が警護することは叶わないので、先回りしてハローマ王国にやって来たのだ。

披露宴会場となる物流センターから500メートルほど離れたところで、おふたりは着地されるらしい。
そこで我々は馬車を用意して待っている。

馬車で沿道に集まった人々の歓迎に応えながら、会場まで進まれるので、その警護をするためだ。

「おお~い、おお~い。」
頭の上の方から声がする。
やがて頭上に点が見え、そして大きくなってきた。

「マサル様、奥様、お疲れ様でした。
こちらの馬車にどうぞ。」

おふたりを馬車に乗せ、御者に出発の合図を出す。

沿道の観衆に手を振りながら馬車は街道をゆっくりと進んでいく。

おや、沿道で泣いている子供がいるな。
膝を擦りむいているようだ。

リザベート様がその様子を見て、馬車の中からその子供に手を翳すと、膝の擦り傷が直ぐに治った。

この様子を見ていた大人達が、一斉に馬車に向かって手を合わせ出す。

「「「「聖女様だー」」」」

一斉の聖女コールに一時は、緊張が走ったが、問題になることもなく、無事に披露宴会場に到着した。

披露宴会場には既に大勢の高貴な方々が詰め掛けていた。

ハローマ王国の披露宴も3日かけて3交代制で行われる。

1日目は王族や上級貴族が中心で、2日目は中級以下の貴族、3日目が、カトウ運輸社員を含む上流市民や招待された一般市民となる。

ちなみに3日共カンパイの挨拶は、ガード王が務められるそうだ。

救国の英雄と聖女様かぁ。

護衛とはいえ、こんな間近で世紀の披露宴を観れるなんて、本当に幸せ者だ。

あの時マサル様に拾って頂いたこの命、何があっても恩返しをしなきゃな。



<<マリー・ダゴー視点>>
マサル様の披露宴に参加させて頂いた。

あの時、マサル様に救って頂いたのは、わたしやお父様の命だけじゃない。

あのままだと、ダゴー領が乗っ取られ、ハローマ王国が傾く恐れがありました。

その上、ユーリスタ様との和解、行政改革の推進担当大臣就任と、わたしの今があるのはマサル様のおかげです。

元々は、わたしの心の弱さが招いた事件でしたが、本当にマサル様にはいくら感謝しても足りません。

「マサル様、リザベート様、ご無沙汰致しております。」

「これはマリー様。本日はわたし達の披露宴にお越し下さりありがとうございます。

お義母様もマリー様にお会いしたがっていたのですが、ちょっと強行スケジュールだったので、来れませんでした。

よろしくお伝え下さいとのことです。」

「まぁリザベート様、ユーリスタ様とは、トランシーバーでしょっちゅう話してるから大丈夫よ。

それより、本当におめでとうございます。

マサル様もリザベート様もいつまでも仲良く、幸せになって下さいね。」

「マリー様、ありがとうございます。必ず生涯を添い遂げ最後まで幸せでいます。

ところで、そちらにおられる男性は、ひょっとして、マリー様の?」

「ええ、この歳になって恥ずかしいのですけれど。

ご紹介させて頂いてもよろしいかしら。

こちら、わたしの補佐をして頂いている、ガレー侯爵様ですの。

先日プロポーズして頂きまして。……」

「本日はおめでとうございます。ハンス・ガレーと申します。

マサル様の話しは、マリー様からよく聞いております。

マリー様を助けて頂き、本当にありがとうございました。

わたしもマリー様を伴侶として助け、経済を発展させることで、恩返しが出来ればと思っております。
これからも、お付き合い頂けますよう、よろしくお願いします。」

そうなのです。もうお婆ちゃんの歳になってるので、ちょっと恥ずかしいんですけど、ハンスさんがプロポーズしてくれたんです。

ハンスさんとは、幼なじみだったんですけど、キンコー王国から戻って、心が乱れていたわたしは、彼の掛けてくれる言葉にも、聴く耳を持てなかったのです。

それなのに、ずっと寄り添ってくださっていて、わたしが、行政改革担当大臣に就任する時に、副大臣をかって出てくださったのよ。

奥様を早くに亡くされていて、わたしに正妻としてプロポーズしてくださったの。

本当に嬉しくて涙が止まらなかったわ。

「マサル様、リザベート様、老桜の結婚なので、本当に身内だけで、式をしようと思うのだけど、もしよかったら、お越し頂けますか?」

「「是非参加させて頂きます。

おふたり共お幸せに。」」

本当に、本当にありがとうございます、マサル様。

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