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第4章 リザベートの結婚狂想曲

11 【婚活パーティーは大盛況】

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<<ヤリテ視点>>

婚活パーティーを始めるには、まず参加者を募集する必要があります。

参加条件が、写真をお撮り頂いた方々ですから、写真館で名簿を貰って、片っ端から営業をかけましょう。って意気込んでいました。
 
さあ出かけようとした時、わたし宛ての大きな荷物が着きました。

送り主は、ヤング様です。

箱を開けてみると、麗しき女性達の写真がたくさん入っています。
数えてみると、その数なんと1000枚。

箱の上には手紙が貼ってあります。

"ヤリテさん、婚活パーティー参加希望者です。
お願いしますね。"とだけ書かれており、2枚目からは家名、爵位、兄弟姉妹での順位、アピールポイントなどが1000人分書き連ねてあります。

一通り目を通していると、さっきと同じようなものが、また届きました。

今度の送り主は、行政改革担当大臣のユーリスタ様からです。

戸惑いつつも開けてみると、今度は男性の写真ばかり入っています。

その数1000枚。

そして今回も箱の上に、手紙が貼ってあります。

「はじめまして、ヤリテさん。急にこんな大きな荷物を送ってごめんなさいね。
たぶん、ヤングさんからも同じような荷物が届くと思います。

わたしが送った男性の写真は、娘のリザベート宛てに届いたもので、ヤングさんの荷物に入っている女性の写真は、マサル様に届いたものなの。

あなたが婚活パーティーを仕切って頂けるので助かります。

合わせて2000人弱くらいかしら。
送った分については参加希望を取り付けてあるので安心してね。

みんなに、良い出会いを提供してあげて下さいね。
期待しています。

ユーリスタ。」

ええっ、会頭とリザベート様宛てのお見合い写真だったの!!

なーんかお見合いを断わる小細工に巻き込まれた感がすごいんだけど!

まぁポジティブに考えよう。

これは男女の間を取り持つ慈善活動で、カトウ運輸も儲かって、わたしの出世の第一歩なのだ。

たまたま、顧客リストが手に入ったんだから、ラッキーなんですよね!、ねっ!!


こうして、カトウ運輸プレゼンツ第一回婚活パーティー準備が始まったのです。

会場は、当初会議室を予定していましたが、2000人弱が入れる会議室なんてありません。

急遽、空いている第13倉庫を借りることにしました。

内装は、出来るだけシンプルでありながら、落ち着いた色合いに仕上げていきます。

豪華な装飾を見慣れたお客様ばかりが集まるのですからね。

窓側は、さりげなく仕切りを作って、男性が誘い易くしてあげましょう。

でも外から見えないのは、女性が不安になりますからね。
その辺の配慮は重要ですよ。

2000人もいると、当然あぶれる人達もたくさんいると思われます。

趣味毎にまとめた読書コーナーも作りましょう。

せっかくですからたくさん揃えたいですよね。

恋愛小説、推理小説、紀行文、歴史書、専門書なんかもいいかもしれません。

同じ趣味を持った人通し仲良くなれますよね。うん、間違いない。

そうだ、ヤング様にお願いしてナーラ領のカトウ運輸図書館の蔵書を借りるようにしましょう。


机や椅子の配置も考える必要がありますね。

ひとりでゆっくりしたい人向けに、席間の広いところや、誘い易くするために、若干狭めに椅子を配した空間も作りましょう。

あんまり広い空間を作ると、派閥で固まってしまい、婚活したくても出来ない娘もいるかもしれないし。
机の位置や大きさも考えた方がいいですね。

食べ物はドリンクと軽食程度で。立食で手で摘まめるようなものがいいですね。

ドリンクはあらかじめコップに注いでおいて、自由に好きなものを取れるようにしましょう。

軽食は、一口サイズのケーキやクッキーがいいかも。

女性が大きな口を開けて食べるなんてはしたないですもの。

ケーキはどのお店に発注しましょうか。

アルコールはやめた方がいいかしら。でもアルコールの薄いカクテルなら平気よね。だって美味しいもの。

あぁ、いろんなことを考えながら動き回るのって楽しいです。

しかも、わたしが愛のキューピットになって、若い男女を幸せにできるかもしれないと考えると、責任重大ですけど、気持ちは高揚します。
 
物流センター内の様々な人達に助けて頂きながら、第一回婚活パーティーが始まりました。


始まってすぐは、皆さんおとなしい様子です。

何かを探り合っているのでしょうか?

こんな調子では困ります。

開会のあいさつを終え、パーティーの進行について説明します。

思ったより、緊張しているようです。

ダンス音楽が流れ始めると、一斉に動き出しました。

それからは、ようやくイメージしていた婚活パーティーの始まりです。

2000人が動き回るとなかなか壮観ですね。

わたしは、倉庫の見学通路からトラブルが無いかチェックします。

特にトラブルは起こっていないようですね。

でも貴族や大商人の子息や令嬢ばかりですから、念を入れて安全を確保しています。

倉庫の至るところに、カトウ運輸の護衛部隊の方々を配置したので、滅多なことはないと思いますが。

さて、会場も落ち着いたので、わたしも読書コーナーに行きましょう。

読みたい本がたくさんありますしね。

読書コーナーにいると、本の場所とかの質問を受けます。

珍しい本に興奮している男性もいますね。
ナーラ領から持って来たと言ったらひどく驚かれました。


とにかく、今日は楽しんで頂ければ幸いです。


<<ヤング視点>>
どうしましょうか、ヤリテさんの暴走がとまりません。

予算も十分にありますし、初めての事業なので、彼女に任せた以上、頑張って頂きましょう。

カリテさんから依頼のあった、カトウ運輸図書館の蔵書の件はマサル様に許可を頂きました。

マサル様も調子に乗って、自分が取りに行くと言って、ナーラ領に飛んでいきました。

数時間後、マサル様の持つマジックバッグには、数えきれない冊数の本が入っており、婚活パーティー会場に並べるだけで3日かかりました。

ドリンクや軽食類も発注先が決まり、大量に入荷されています。
マサル様の作られた『大型冷蔵庫』なる魔道具がフル稼働しています。

まだ暑い季節ですから、キンキンに冷えたドリンクはそれだけで非常に高価な飲み物になることでしょう。

着々と準備は整ってきております。

これで、貴族の派閥の弱体化やマサル様、リザベート様の婚姻騒動がひと段落してくれれば良いのですが。

まずは、様子を見てみましょう。



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