最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~

まーくん

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第4章 リザベートの結婚狂想曲

8 【マサルの憂鬱】

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<<マサル視点>>

ううん、面倒だ。本当に面倒だ。
こうなることが予想できたから、できるだけ目立ちたくなかったのに!!

「マサル様、いい加減、現実逃避はやめて片付けてしまいましょう。」
ヤングさんが、会頭室に入って来て、机の上に積み上がっているお見合い写真を前に、ため息をついている。



半年くらい前に、写真機を作ってみた。

キッカケは、ネクター王の末娘であるピーチ姫の嫁入りだ。

眼の中に入れても痛くないほど、かわいがっていた姫が他国に嫁入りするにあたり、どうしても精巧な肖像画が欲しいと、頼まれたのだ。

もちろん俺に絵心がある訳も無く、写真ならと思い、写真機を作ってしまった。

当然ネクター王は大喜びで大きく引き伸ばしたものを、書斎に飾ってある。

気に入ったものは、人に自慢したくなるのが人間の性である。

謁見するたびに自慢するものだから、貴族や大商人から『うちの娘も撮って欲しい。』との依頼が、カトウ運輸に殺到した。


この機会を番頭のヤングさんが見逃すはずも無く、写真館を作ってしまった。

多くの貴族や大商人が争うように写真を撮りに来た。
その中には、適齢期の令嬢もたくさん含まれている。

「結婚の申し込みを打診する時は、写真を送るのが最先端ですよ。乗り遅れないようにしましょう。」
と、ヤングさんが商売っ気を出したのが大当りし、写真館の儲けだけで、中規模の商会に匹敵する繁盛振りなのだ。

俺の机の上にあるのは、それら令嬢達の写真だ。

4年ほど前だったか、ハーバラ村で最初の農村改革を成功させた時、キンコー王国はかつてないほどの盛り上がりを見せた。

吟遊詩人が競って改革の様子を歌にし、それが劇場で芝居になるまでに時間はかからなかった。
『マサル、ハーバラ村の奇跡』と名付けられたその芝居は、王都で専用劇場ができるほどのロングラン公演となり、王国内の各領主がこぞって自領に公演を招致したため、王国国民の誰もが知ることとなった。
もちろん、国外でも公演され農村改革の手本としても親しまれている。

その芝居で主人公だった俺の知名度は瞬く間に上がってしまい、そのせいで静かに暮らしたかったはずの生活はどこかに行ってしまった。

また、カトウ運輸を設立してからは、何故か辣腕事業家として、余計に注目されてしまい、それに伴い縁談の話もひっきりなしになった。

最近、ようやく下火になったと思っていたら、今回の写真騒動で、また火がついてしまったようだ。

「ヤングさん、片付けるって言っても、どうしましょう?

安くは無い写真を撮ってまで送ってきているのです。
無碍にはできないですよね。

ヤングさんが、欲を出して写真館なんか出しちゃったからじゃないですか。」

「結果的にはそうですが、商人が目の前の儲け話に食らいつくのは、仕方がないでしょう。」 

「それはたしかに、そうだけどな。」

まぁヤングさんを責めても何も変わらないか。

それよりも、この山をなんとかしなきゃな。

「マサル様、少しだけでも見てくださいね。
できれば、4、5人とお見合いして下さい。」

「どうして?」

「このお嬢様方は、うちの写真館で撮影して下さったのですよ。

もし、全て断ってしまっては、お客様に申し訳無いじゃないですか。」

「本音は、お見合い写真が効果が無いと噂になって、売上げが落ちると困るからだろう。」

「マサル様に隠し事はできませんな。あははは。」

そんなわけで、俺はお見合いさせられることとなった。



<<シルス子爵視点>>

我がシルス家は、由緒正しい法衣貴族の家柄だ。
代々、キンコー王国で、法務長官を務めている。任せられる者は見当たらない。

わたしには適齢期の娘がいる。
目の中に入れても痛くない程、かわいい娘だが、誰かの元に嫁がせ無ければならない。

実は、婿候補は決めてあるのだ。

カトウ運輸会頭のマサル氏だ。

ナーラ大公爵の信任も厚く、ネクター王の覚えもめでたい。

一連の行政改革における手腕や国際連合設立における中心的な役割等、これ程の逸材は近年を見渡しても見当たらない。

王からは、爵位の話しもあるようだが、今のところ受けていないのが引っかかるが、庶民であった方が当方としては都合が良い。

彼を狙うのは、聡明さだけが理由ではない。
カトウ運輸に関わる利権も大いに魅力がある。

さて、再三お見合いの申し込みをマサル氏にしているのだが、色良い返事が頂けない。


想い人がいるのかを調査させたが、特にいるような気配はなさそうだ。

彼を婿として迎えたい貴族は多い。
早くお見合いまで漕ぎ着けないと、ライバルに先を越されてしまう。

お見合いに漕ぎ着けるための手段がないか悩んでいると、ベル侯爵夫人のお茶会から戻ってきた妻がアイデアをくれた。

今写真というものが流行っているらしい。

写真機という魔道具を人に向けると、実物と見間違うような肖像画が描き上がるらしい。

その肖像画をお見合いの申し込み時に使えば、お見合いの成功率が断然高くなるという。

その写真機の発明者は、あのマサル氏ということだ。

しかも、カトウ運輸が写真館という、その肖像画を描くための商会を設立したらしい。

肖像画一枚金貨10枚もするので少し高いような気もするが、将来への投資だと考えると安いものだ。

早速写真館に出向き娘の肖像画を描いてもらった。

出来上がりを見て腰を抜かすほど驚いた。

娘と瓜二つだ。

これならいけると思って、マサル氏にその肖像画を送った。

しばらくして、カトウ運輸からマサル氏とのお見合いの調整について連絡が入った。


お見合いの結果は残念だったが、わたしは満足している。

マサル氏とのコネクションを作れたこともそうだが、あの精巧な娘の肖像画が戻ってきたのだ。

今、その肖像画はわたしの執務室に飾ってある。



しばらくして、娘の縁談が決まった。

わたしの部下の1人と娘が恋仲であることがわかったのだ。

ちょっと気が弱く真面目で誠実なだけが取り柄のような男だが、娘が良ければそれが一番だろう。

マサル氏とのことは残念だったが、娘には幸せになって欲しいと願っている。


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