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第1章 キンコー王国は行政改革で大忙し
13【リズ、マサルとの再会を喜ぶ】
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<<マサル視点>>
領主様との会談は、スムーズに終わったと思う。
出自など疑われて投獄される最悪の状況も考えていたけど、どうやら大丈夫そうだ。
一通りこちらに来てからの事を正直に話したが、とりあえずは問題無さそうか。
色々日本の事も聞かれて答えたが、まぁ特に問題になる事も無いだろう。
しかしボールペンを使った時のヘンリー様の驚いた顔は凄かった。
久しぶりの出勤に備えて100円均一で大量に買っておいたやつだ。
結局3本渡したけど、みんな喜んでくれた。
やはり文化の差が大き過ぎる。
今日話した内容も中学高校で学ぶような内容だけど、この世界のどこでも実現されていないようだし。
マリス様の言ってた文化を作るというのは、案外こういうところから始まるのかも知れないな。
元の世界でも、自分のような転移転生者から教えられたものかもしれないな。
さてこの後は、ひとまずヘンリー様の屋敷でお世話になるようだ。
城の敷地内にあるという事で、ヘンリー様と歩いて移動している。
10分もしないうちに、立派なお屋敷に着いた。
執事だろうか、壮年の男性が門の前で待っている。
「旦那様、お帰りなさいませ。
お客様、ようこそいらっしゃっいました。
わたしは、ナーラ公爵家の執事を賜っております、セバスチャンと申します。
よろしくお願い致します。」
「セバスチャンさん、はじめまして、わたしはマサルと申します。
本日より、しばらくお世話になります。
わたしは、まだこの国に来て間もないので、常識離れな事をするかも知れませんが、ご容赦の程よろしくお願い致します。」
「こちらこそ、マサル様のお気に触るようなことがありましたら、遠慮なくお申し付け下さいませ。」
執事のセバスチャンと挨拶を交わしていると、屋敷の中からリズが走ってきた。
「マサルさん、待ってたわ。
会いたかったの。」
と言いながら抱きついてきた。
「リズ、久しぶり。元気そうでなによりだ。」
リズは、この屋敷で大切にしてもらっているようだ。良かった。
「さあ、マサル殿、中に入ろう。妻も紹介するよ。」
リズに抱きつかれたまま、ヘンリー様に促されて、一緒に屋敷の中に入った。
玄関ホールでは30代中頃の女性がメイド数人を従え、待っていた。
「ユーリスタ、彼が先日話していたマサル殿だ。
しばらく滞在して頂く事になる。よろしく頼む。」
「まぁマサル様、いらっしゃいませ。
ヘンリーの妻のユーリスタです。
マサル様の事は、リズちゃんから、耳にタコができるくらい聴かされておりますわ。
わたしも興味津々ですのよ。
是非色々なお話しを聴かせて下さいませ。」
「ユーリスタ様、こちらこそよろしくお願い致します。
また、ヘンリー様、ユーリスタ様、リズを大切にして頂きありがとうございます。」
「いいのよ。リズちゃんは、わたしにとって姪であり、実の娘と同じなんだから。」
「ありがとうございます。これからしばらくご厄介になりますが、よろしくお願い致します。」
<<リズ視点>>
さっきお城から伝令が来て、マサルさんがこの屋敷にくるって。
まだ、別れてから4日しか経ってないけど、待ち遠しくてしょうがない。
マサルさんが門の前まで来たのがわかったので、ユーリ様と玄関ホールで待ってたんだけど、なかなか入ってこない。
落ち着かなくて、もじもじしていると、ユーリ様が笑いながら「いってらっしゃい。」って言って下さった。
ちょっと行儀が悪いけど、待てないんだから!
靴を履いて門まで走った。
門の前でマサルさんがセバスチャンさんと挨拶を交わしている最中だったけど、構わずマサルさんに飛びついた。
「リズ、久しぶり。元気そうでなによりだ。」
マサルさんが、優しく話し掛けてくれる。嬉しくってまた抱きついちゃった。
一緒に屋敷の中に入ったらユーリ様が、
「マサル様、お疲れじゃありませんか?
お部屋をご用意してありますので、お風呂の準備が出来るまで、しばらくお部屋でお待ち下さいね。」
って仰ったので、わたしも一緒について行く事にした。
ユーリ様にお願いすると、少し困ったような顔をしてからすぐに笑顔になって「良いわよ。」って言って下さった。
マサルさんの部屋には、マサルさん付きになる侍女のキャサリンとわたしの侍女のマーガレットが一緒に入った。
わたしは、2人きりの方が良かったんだけど、未婚の貴族女性は、殿方と2人きりになるのは不味いみたい。
しょうがないよね。
でも、キャサリンもマーガレットもマサルさんに会うのを楽しみにしていたみたいだから良しとしよう。
お茶を頂きながら、別れた後の話しをした。
出入りの服屋の太ったおじさんの事や、伯爵家のエミリーちゃんとお友達になった事とか、いっぱい話した。
マサルさんは、嬉しそうな笑顔でずっと聞いてくれるので、嬉しくなって時間の経つのも忘れてしまう。
昨日のお茶会の話しをしていたらドアがノックされた。
お風呂の準備ができたみたい。
さすがにお風呂に付いて行く訳にはいかないから、後はキャサリンに任せて自分の部屋に向かった。
部屋の前まで行くとユーリ様がちょうど自分の部屋に入るところだったようで、お茶に誘われた。
ユーリ様と一緒に室内に入りお茶を頂いた。
「リズちゃんは、本当にマサル様が大好きなのね。」
「マサルさんは、わたしの騎士様なのです。
わたしが、ビッグベアに襲われて死を覚悟した時に、突然現れて一太刀で仕留めちゃうんですよ。
優しくって強くって、お伽話みたいなんです。」
わたしは、興奮して早口になっちゃた。
いけない!猫被りがバレちゃう。
「リズちゃんがマサル様の事が大好きだって事はよくわかったわ。
旦那様の話しだとお城、もしかしたら国の重要な仕事をして頂くみたいだから、しばらくこの屋敷に滞在されるそうよ。
良かったわね、リズちゃん。」
国の重要な仕事ってよくわからないけど、もしかしてマサルさん、貴族になっちゃうかも。
そしたらわたしと結婚してくれないかなぁ。
<<キャサリン視点>>
今朝いつものようにお屋敷のお掃除をしていると、奥様に声を掛けられた。
今日の夕刻にお屋敷に来客があり、しばらく滞在されるのだそうだ。その方のお世話をさせて頂く事になった。
お屋敷に長期滞在のお客様が来られるのは珍しいので、奥様にどんな方か聞いてみた。
「若い男性よ。そうね、どんな人かはリズちゃんに聞くのが一番早いかもね。
もしかしたらリズちゃんの将来の旦那様になるかもよ。ふふっ。」
リザベート様の旦那様ですって!
これは面白くなる予感がするわね。
玄関ホールまでお迎えに行った。
年齢は23、4才くらいか、リザベート様が14才だからちょっと離れてるけど、貴族にはこのくらいの差はおかしくはない。
黒い髪に黒い瞳は珍しい。
とっても綺麗。
着ている服も見かけない布で作られている。
旦那様が丁重に扱われているという事は、他国の上級貴族かな?
「ユーリスタ、彼が先日話していたマサル殿だ。……」
この人がリザベート様付きのマーガレットがうわさしていた、マサル様か。
ヨーシノの森でビッグベアに襲われていたリザベート様を助け出したという豪傑か?
マーガレットの話しじゃ、あのビッグベアを一刀の下に斬り捨てた鬼のような大男を想像してたんだけど、綺麗な顔立ちをしたどちらかといえば優男だね。
ユーリスタ様との会話を聞いても上品な上級貴族にしか見えない。
挨拶を終えたマサル様は、お風呂の準備ができるまでリザベート様と一緒にリザベート様の部屋に向かった。
当然わたし達2人も同行する。
リザベート様の嬉しそうな笑顔が眩しいくらい。
4人で部屋に入ってもマサル様は、和かな笑顔のままでリザベート様の話しを聞いておられる。
わたし達にまで気を使って椅子やお茶を勧めて下さった。
大人の余裕ってやつか、しっかり相手を慮ってくれるところなんか、ほんと育ちの良さを感じ、凄く好感触。
マサル様付きは、当たりね。
おや、お風呂の準備ができたみたい。お背中でも流させて頂きましょうか。
領主様との会談は、スムーズに終わったと思う。
出自など疑われて投獄される最悪の状況も考えていたけど、どうやら大丈夫そうだ。
一通りこちらに来てからの事を正直に話したが、とりあえずは問題無さそうか。
色々日本の事も聞かれて答えたが、まぁ特に問題になる事も無いだろう。
しかしボールペンを使った時のヘンリー様の驚いた顔は凄かった。
久しぶりの出勤に備えて100円均一で大量に買っておいたやつだ。
結局3本渡したけど、みんな喜んでくれた。
やはり文化の差が大き過ぎる。
今日話した内容も中学高校で学ぶような内容だけど、この世界のどこでも実現されていないようだし。
マリス様の言ってた文化を作るというのは、案外こういうところから始まるのかも知れないな。
元の世界でも、自分のような転移転生者から教えられたものかもしれないな。
さてこの後は、ひとまずヘンリー様の屋敷でお世話になるようだ。
城の敷地内にあるという事で、ヘンリー様と歩いて移動している。
10分もしないうちに、立派なお屋敷に着いた。
執事だろうか、壮年の男性が門の前で待っている。
「旦那様、お帰りなさいませ。
お客様、ようこそいらっしゃっいました。
わたしは、ナーラ公爵家の執事を賜っております、セバスチャンと申します。
よろしくお願い致します。」
「セバスチャンさん、はじめまして、わたしはマサルと申します。
本日より、しばらくお世話になります。
わたしは、まだこの国に来て間もないので、常識離れな事をするかも知れませんが、ご容赦の程よろしくお願い致します。」
「こちらこそ、マサル様のお気に触るようなことがありましたら、遠慮なくお申し付け下さいませ。」
執事のセバスチャンと挨拶を交わしていると、屋敷の中からリズが走ってきた。
「マサルさん、待ってたわ。
会いたかったの。」
と言いながら抱きついてきた。
「リズ、久しぶり。元気そうでなによりだ。」
リズは、この屋敷で大切にしてもらっているようだ。良かった。
「さあ、マサル殿、中に入ろう。妻も紹介するよ。」
リズに抱きつかれたまま、ヘンリー様に促されて、一緒に屋敷の中に入った。
玄関ホールでは30代中頃の女性がメイド数人を従え、待っていた。
「ユーリスタ、彼が先日話していたマサル殿だ。
しばらく滞在して頂く事になる。よろしく頼む。」
「まぁマサル様、いらっしゃいませ。
ヘンリーの妻のユーリスタです。
マサル様の事は、リズちゃんから、耳にタコができるくらい聴かされておりますわ。
わたしも興味津々ですのよ。
是非色々なお話しを聴かせて下さいませ。」
「ユーリスタ様、こちらこそよろしくお願い致します。
また、ヘンリー様、ユーリスタ様、リズを大切にして頂きありがとうございます。」
「いいのよ。リズちゃんは、わたしにとって姪であり、実の娘と同じなんだから。」
「ありがとうございます。これからしばらくご厄介になりますが、よろしくお願い致します。」
<<リズ視点>>
さっきお城から伝令が来て、マサルさんがこの屋敷にくるって。
まだ、別れてから4日しか経ってないけど、待ち遠しくてしょうがない。
マサルさんが門の前まで来たのがわかったので、ユーリ様と玄関ホールで待ってたんだけど、なかなか入ってこない。
落ち着かなくて、もじもじしていると、ユーリ様が笑いながら「いってらっしゃい。」って言って下さった。
ちょっと行儀が悪いけど、待てないんだから!
靴を履いて門まで走った。
門の前でマサルさんがセバスチャンさんと挨拶を交わしている最中だったけど、構わずマサルさんに飛びついた。
「リズ、久しぶり。元気そうでなによりだ。」
マサルさんが、優しく話し掛けてくれる。嬉しくってまた抱きついちゃった。
一緒に屋敷の中に入ったらユーリ様が、
「マサル様、お疲れじゃありませんか?
お部屋をご用意してありますので、お風呂の準備が出来るまで、しばらくお部屋でお待ち下さいね。」
って仰ったので、わたしも一緒について行く事にした。
ユーリ様にお願いすると、少し困ったような顔をしてからすぐに笑顔になって「良いわよ。」って言って下さった。
マサルさんの部屋には、マサルさん付きになる侍女のキャサリンとわたしの侍女のマーガレットが一緒に入った。
わたしは、2人きりの方が良かったんだけど、未婚の貴族女性は、殿方と2人きりになるのは不味いみたい。
しょうがないよね。
でも、キャサリンもマーガレットもマサルさんに会うのを楽しみにしていたみたいだから良しとしよう。
お茶を頂きながら、別れた後の話しをした。
出入りの服屋の太ったおじさんの事や、伯爵家のエミリーちゃんとお友達になった事とか、いっぱい話した。
マサルさんは、嬉しそうな笑顔でずっと聞いてくれるので、嬉しくなって時間の経つのも忘れてしまう。
昨日のお茶会の話しをしていたらドアがノックされた。
お風呂の準備ができたみたい。
さすがにお風呂に付いて行く訳にはいかないから、後はキャサリンに任せて自分の部屋に向かった。
部屋の前まで行くとユーリ様がちょうど自分の部屋に入るところだったようで、お茶に誘われた。
ユーリ様と一緒に室内に入りお茶を頂いた。
「リズちゃんは、本当にマサル様が大好きなのね。」
「マサルさんは、わたしの騎士様なのです。
わたしが、ビッグベアに襲われて死を覚悟した時に、突然現れて一太刀で仕留めちゃうんですよ。
優しくって強くって、お伽話みたいなんです。」
わたしは、興奮して早口になっちゃた。
いけない!猫被りがバレちゃう。
「リズちゃんがマサル様の事が大好きだって事はよくわかったわ。
旦那様の話しだとお城、もしかしたら国の重要な仕事をして頂くみたいだから、しばらくこの屋敷に滞在されるそうよ。
良かったわね、リズちゃん。」
国の重要な仕事ってよくわからないけど、もしかしてマサルさん、貴族になっちゃうかも。
そしたらわたしと結婚してくれないかなぁ。
<<キャサリン視点>>
今朝いつものようにお屋敷のお掃除をしていると、奥様に声を掛けられた。
今日の夕刻にお屋敷に来客があり、しばらく滞在されるのだそうだ。その方のお世話をさせて頂く事になった。
お屋敷に長期滞在のお客様が来られるのは珍しいので、奥様にどんな方か聞いてみた。
「若い男性よ。そうね、どんな人かはリズちゃんに聞くのが一番早いかもね。
もしかしたらリズちゃんの将来の旦那様になるかもよ。ふふっ。」
リザベート様の旦那様ですって!
これは面白くなる予感がするわね。
玄関ホールまでお迎えに行った。
年齢は23、4才くらいか、リザベート様が14才だからちょっと離れてるけど、貴族にはこのくらいの差はおかしくはない。
黒い髪に黒い瞳は珍しい。
とっても綺麗。
着ている服も見かけない布で作られている。
旦那様が丁重に扱われているという事は、他国の上級貴族かな?
「ユーリスタ、彼が先日話していたマサル殿だ。……」
この人がリザベート様付きのマーガレットがうわさしていた、マサル様か。
ヨーシノの森でビッグベアに襲われていたリザベート様を助け出したという豪傑か?
マーガレットの話しじゃ、あのビッグベアを一刀の下に斬り捨てた鬼のような大男を想像してたんだけど、綺麗な顔立ちをしたどちらかといえば優男だね。
ユーリスタ様との会話を聞いても上品な上級貴族にしか見えない。
挨拶を終えたマサル様は、お風呂の準備ができるまでリザベート様と一緒にリザベート様の部屋に向かった。
当然わたし達2人も同行する。
リザベート様の嬉しそうな笑顔が眩しいくらい。
4人で部屋に入ってもマサル様は、和かな笑顔のままでリザベート様の話しを聞いておられる。
わたし達にまで気を使って椅子やお茶を勧めて下さった。
大人の余裕ってやつか、しっかり相手を慮ってくれるところなんか、ほんと育ちの良さを感じ、凄く好感触。
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