129 / 132
番外編
番外編 オシンさん 9
しおりを挟む
ヒロシさんが戻って来て外の世界も急速に変わっているんです。
これまではどちらかというと、前の体制まで立て直すことに注力していて、漸く安定してきた感が出てきたところだったから、新しいやり方を試すには時期的にも良かったんじゃないかしら。
それにしてもヒロシさんの発想力は凄いですよう。
ヒロシさんが神様に喚ばれた召還者であることも知っているし、元の世界が凄く進んでいたということも聞いてるけど、それでも呆れるほど果敢に的確な施策なのよ。
ここに来る前に領主をしていたのも迷いがない理由なんだと思う。
特に休日を制度化したのも画期的だったし、伝染病予防のために医師や研究者を育てたのも凄いよ。
わたしはというと、最近は新しい仕事が増えた。
クルステ様の代わりに御告げを出すようになったんです。
それでね、この前ヒロシさん家に行ったらイリヤさんの着ている服が可愛いのなんのって!
イリヤさんすっごくセンスがいいの。
ベルシアスの街は今よりもかなり文明が 進んでいたんだけど、合理的っていうか、おしゃれとか美味しい食事なんかも進歩してなかったの。
あ、ベルシアスっていうのは1万年にここにあったわたし達の故郷よ。
だから、今の外の街でもかなりおしゃれだと思うんだけど、今日のイリヤさんの服装は次元が違うわ。
「イリヤさん、今から神殿に行きましょう!皆んなに見せてあげたい。」
どうしても皆んなに見せたくて、イリヤさんの手を引いて神殿まで走ったわ。
神殿に着いたらオハルちゃんやオキクちゃんも大興奮。
外の街の人達にも見せてあげたくて、オハルちゃん達と連れだって御告げを出す塔に向かった。
カメラの前に着くと、イリヤさんが「嫌だ~」ってカメラに写るのをこばむの。
すっごく可愛いから外の皆さんも喜ぶと思うんだけど。
イリヤさんが服を貸すからオシンさんがカメラにって言うから、喜んで借りた。
ちょうどお告げを出す必要もあったから、そのままカメラを回したの。
画面の向こうにいる巫女さん達のリアクションが面白かった。
いつもは厳かな雰囲気しか感じ取れないのにね。
お告げの後質問コーナーがあるんだけど、今日はイリヤさんの作った服に関する質問ばかりで、まるでファッションショウのモデルになった気分ね。
向こうは時間が早いでしょ。
デザイナーとか仕立て屋とかが次々と来て向こうでも真似をして服を売り出したんだ。
あっという間にファッション界に大革命が起こったの。
まあ、予想通りね。
でもこの発端となったイリヤさんが前に出たくないって、強情に抵抗するからわたしが前面に出ることになったのよね。
そんな感じで次のお告げも新しい服を着る必要が出来てしまったの。
イリヤさんには申し訳ないんだけど、次のお告げまでに新しい服をお願いしたんだよね。
ごめんね、イリヤさん。
いやあ、自分が注目されたくて始めたお告げのライブ中継だったんだけど、最近はちょっと引きぎみになった。
だってね、今まで巫女さんしか画面の向こうにいなかったのに、最近はデザイナーや若い女性がたくさんいるの。
神聖さの欠片もないわね。
わたしも大変だったんだけど、イリヤさんはもっと大変。
向こうでは年一回のお告げでもこちらじゃ5日毎だもの。
新しい服を作らなくちゃだからね。
でもこのライブお告げが外の世界に革命的な変化をもたらしたの。
切っ掛けはある王族の偽お告げ事件。
お告げを聞いてるのが巫女だけなのをいいことに、買収した巫女に自分に有利な様に報告させていたことが分かったの。
そりゃ皆さんが見てるんだから、いつまでもやってりゃバレるよね。
これで王族に対する非難が集まると、出るわ出るわ、王族の暴挙や失態。
さすがにこちらでも何とかしようという風になった時に、またヒロシさんから新しい提案が。
共和国制にするって案。
わたしには難し過ぎたけど、クルステ様が驚いていたから、革新的な内容なんでしょうね。
4つの王国が無くなり、ひとつの大きな共和国になったの。
ほんと、びっくりしたわ。
しばらくしてムーン共和国が落ち着きを取り戻した頃、イリヤさんとミーアちゃんがふたり同時に身籠ったの。
それが分かった時は少しへこんだけどね。
でもオハルちゃんの時に免疫が出来ていたみたいだし、直ぐに立ち直れたわ。
わたしも早く子供が欲しいなって、彼氏が未だだったわ。
時間の経つのは早いもので、イリヤさん達の子供が1歳になったの。
もーほんとに可愛いんだから。
ある日、フランシス王子とオハルちゃんが出かけるところを見掛けたのね。
3人でお出掛けかと思っていると、クルステ様もお出掛けする様子。
「クルステ様、お出掛けですか?」
「あー、オシン!ち、ちょっとな。」
クルステ様が神殿を出られるなんていつぶりだろう。
でも、ちょっとドモリましたね。
わたしの感が異変を告げています。
わたしを除け者にしようとしている感じがビンビンするのです。
「クルステ様、何処に行かれますか?」
これまではどちらかというと、前の体制まで立て直すことに注力していて、漸く安定してきた感が出てきたところだったから、新しいやり方を試すには時期的にも良かったんじゃないかしら。
それにしてもヒロシさんの発想力は凄いですよう。
ヒロシさんが神様に喚ばれた召還者であることも知っているし、元の世界が凄く進んでいたということも聞いてるけど、それでも呆れるほど果敢に的確な施策なのよ。
ここに来る前に領主をしていたのも迷いがない理由なんだと思う。
特に休日を制度化したのも画期的だったし、伝染病予防のために医師や研究者を育てたのも凄いよ。
わたしはというと、最近は新しい仕事が増えた。
クルステ様の代わりに御告げを出すようになったんです。
それでね、この前ヒロシさん家に行ったらイリヤさんの着ている服が可愛いのなんのって!
イリヤさんすっごくセンスがいいの。
ベルシアスの街は今よりもかなり文明が 進んでいたんだけど、合理的っていうか、おしゃれとか美味しい食事なんかも進歩してなかったの。
あ、ベルシアスっていうのは1万年にここにあったわたし達の故郷よ。
だから、今の外の街でもかなりおしゃれだと思うんだけど、今日のイリヤさんの服装は次元が違うわ。
「イリヤさん、今から神殿に行きましょう!皆んなに見せてあげたい。」
どうしても皆んなに見せたくて、イリヤさんの手を引いて神殿まで走ったわ。
神殿に着いたらオハルちゃんやオキクちゃんも大興奮。
外の街の人達にも見せてあげたくて、オハルちゃん達と連れだって御告げを出す塔に向かった。
カメラの前に着くと、イリヤさんが「嫌だ~」ってカメラに写るのをこばむの。
すっごく可愛いから外の皆さんも喜ぶと思うんだけど。
イリヤさんが服を貸すからオシンさんがカメラにって言うから、喜んで借りた。
ちょうどお告げを出す必要もあったから、そのままカメラを回したの。
画面の向こうにいる巫女さん達のリアクションが面白かった。
いつもは厳かな雰囲気しか感じ取れないのにね。
お告げの後質問コーナーがあるんだけど、今日はイリヤさんの作った服に関する質問ばかりで、まるでファッションショウのモデルになった気分ね。
向こうは時間が早いでしょ。
デザイナーとか仕立て屋とかが次々と来て向こうでも真似をして服を売り出したんだ。
あっという間にファッション界に大革命が起こったの。
まあ、予想通りね。
でもこの発端となったイリヤさんが前に出たくないって、強情に抵抗するからわたしが前面に出ることになったのよね。
そんな感じで次のお告げも新しい服を着る必要が出来てしまったの。
イリヤさんには申し訳ないんだけど、次のお告げまでに新しい服をお願いしたんだよね。
ごめんね、イリヤさん。
いやあ、自分が注目されたくて始めたお告げのライブ中継だったんだけど、最近はちょっと引きぎみになった。
だってね、今まで巫女さんしか画面の向こうにいなかったのに、最近はデザイナーや若い女性がたくさんいるの。
神聖さの欠片もないわね。
わたしも大変だったんだけど、イリヤさんはもっと大変。
向こうでは年一回のお告げでもこちらじゃ5日毎だもの。
新しい服を作らなくちゃだからね。
でもこのライブお告げが外の世界に革命的な変化をもたらしたの。
切っ掛けはある王族の偽お告げ事件。
お告げを聞いてるのが巫女だけなのをいいことに、買収した巫女に自分に有利な様に報告させていたことが分かったの。
そりゃ皆さんが見てるんだから、いつまでもやってりゃバレるよね。
これで王族に対する非難が集まると、出るわ出るわ、王族の暴挙や失態。
さすがにこちらでも何とかしようという風になった時に、またヒロシさんから新しい提案が。
共和国制にするって案。
わたしには難し過ぎたけど、クルステ様が驚いていたから、革新的な内容なんでしょうね。
4つの王国が無くなり、ひとつの大きな共和国になったの。
ほんと、びっくりしたわ。
しばらくしてムーン共和国が落ち着きを取り戻した頃、イリヤさんとミーアちゃんがふたり同時に身籠ったの。
それが分かった時は少しへこんだけどね。
でもオハルちゃんの時に免疫が出来ていたみたいだし、直ぐに立ち直れたわ。
わたしも早く子供が欲しいなって、彼氏が未だだったわ。
時間の経つのは早いもので、イリヤさん達の子供が1歳になったの。
もーほんとに可愛いんだから。
ある日、フランシス王子とオハルちゃんが出かけるところを見掛けたのね。
3人でお出掛けかと思っていると、クルステ様もお出掛けする様子。
「クルステ様、お出掛けですか?」
「あー、オシン!ち、ちょっとな。」
クルステ様が神殿を出られるなんていつぶりだろう。
でも、ちょっとドモリましたね。
わたしの感が異変を告げています。
わたしを除け者にしようとしている感じがビンビンするのです。
「クルステ様、何処に行かれますか?」
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~
土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。
しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。
そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。
両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。
女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。
神の使いでのんびり異世界旅行〜チート能力は、あくまで自由に生きる為に〜
和玄
ファンタジー
連日遅くまで働いていた男は、転倒事故によりあっけなくその一生を終えた。しかし死後、ある女神からの誘いで使徒として異世界で旅をすることになる。
与えられたのは並外れた身体能力を備えた体と、卓越した魔法の才能。
だが骨の髄まで小市民である彼は思った。とにかく自由を第一に異世界を楽しもうと。
地道に進む予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる