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エピローグ

再び……

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眠りから覚めた俺は真っ白な空間にいた。

あれ、俺死んだんじゃなかったっけ。

しばらくすると、ぼうっとした頭がだんだんと冴えてきた。

ここ見覚えがあるぞ。

たしか中学部から高等部への渡り通路で迷い込んだところじゃないか?

ってことは、ミケツカミ様のところか?

「ヒロシ君、久しぶりだねー。ようやくこちらにやって来たねー。」

「あれ、ミケツカミ様。ご無沙汰しています。

でも罰を受けるとか言ってませんでした?」

「そうだねー。そのはずだったんだけど、ヒロシ君達の活躍のお陰でかなり罰が軽くなって、償いも終わったんだよー。

それでね、君にお礼を言おうとしていたら君の方からやって来たということさ。

始めに約束した内容を覚えているかい。」

「100年間向こうの世界で生きることでしたっけ。」

「そうだねー、あれは異世界人の君が100年生きるためにサナキス様の破壊を阻止してくれることを期待していたんだよー。

結果的にあの世界は消えてしまったけど、今のあの世界は、あの世界の住人にとっては最高の世界になったんだよねー。

ヒロシ君、君のおかげだよー。

君は期待以上、いや斜め上をいく成果を見せてくれたんだー。」

サナキスとミケツカミ様の元々の関係を考えると、俺に何も告げなかった理由も頷けるかもな。

「ヒロシ君、本当にありがとうね。

それで、君はこの後どうしたい?」

「そうですね。まずはミーア達にお別れを言いたいかなあ。

その後は、元の世界に帰るのかなあ。」

「わかったよー。ミーアちゃんも君に会いたがっているからね。

さあ行っておいでー。」




俺はミーアの夢の中にいる。

寝ているミーアをゆっくりと揺すっているとミーアが起きた。

「ヒロシ、ヒロシじゃないか!

あれヒロシはたしか死んで、でもここにいて?

えええっ?」

「ミーア、ごめんね。

お別れのあいさつも出来なかったね。

俺は死んで、ミケツカミ様のところにいるんだよ。

この先どうするか決めて無いんだけど、そちらにはもう戻らないつもりだ。

ミーア、今までありがとう。

君のおかげで、俺はそちらの世界を楽しむことが出来た。

そして、俺がそちらの世界でするべきことは終わったみたいなんだ。」

「ヒロシー、僕も一緒に行く!
どうしても一緒にいたいんだ!

どうしたらそっちに行けるんだー。

ねえヒロシ、ヒロシってばー!」

俺は返答に困った。

ミーアの気持ちはよくわかるのだけど。

「ミーアちゃん、久しぶりだねー。

どうしてもヒロシ君と一緒にいたいの?

こちらに来るとそちらでは死んだことになってしまうよー。

それと、ヒロシ君の元の世界では魔力が薄いからねえー、魔人として生きることもできない。

そうだねー、残りの時間猫として生きてもらうことになってしまうけど、それでも良いのかなあー?」

「猫で良い。猫の姿でヒロシと一緒にいられるんだったら、それで充分だよ。

一緒に連れて行って欲しい!」

「ヒロシ君、ミーアちゃんはああ言っているけど大丈夫?」

「ミーア、ありがとう。本当に良いんだね。」

「もちろん、僕はヒロシといつまでも一緒にいたいんだ。」

「ミケツカミ様、よろしくお願いします。」

「分かったよ。えいっ。」

青い光の粒子が集まってきたと思ったら、ミーアが目の前に現れた。

「ミーア、これからもよろしくね。」

「ヒロシー。」

抱きついてきたミーアを優しく抱きしめた俺は、幸せを噛み締めていた。

こんなに思ってくれている子がいるんだから、男としては充分だよね。

「そうだ、イリアは?イリヤはいないの?」

しばらくしてミーアが言い出した。

「ごめんねミーアちゃん。実はイリヤちゃんの行方も探してみたんだけど、分からないんだよー。

どこかの世界に転生しているのは間違いないんだけどねー。

残念ながら、僕のレベルでは個人の転生先までは知らされないんだよー」

「それじゃあ仕方ないねー。元気でやっていてくれれば良いんだけど。」

そうか、イリヤもどこかで転生して新しい人生を送っているんだろうな。



「ところでさー、ヒロシ君。これからどうするか決めたのかい?」

「イリヤが転生しているとしたらやっぱりこの世界である可能性は高いですか?」

「うーん、何とも言えないけどねー。この世界かもしれないし、君がよく話していた地球かもしれないし。

まれに思い入れの深い場所に転生することがあるからねー。

でもね、転生すると過去の記憶は全く無くなるんだ。

だから、もし出会ったとしても容姿も全く変わっているし、記憶も全く残っていないんだよー。」

「わかりました。それじゃあ、元の世界の転移直後に戻りたいと思います。できれば年齢もあの時のままで。」


「わかったよー。ミーアちゃんは猫になっちゃうけどタマの姿でいいかな?

記憶はそのまま残しておくねー。

じゃーもう会うことは無いと思うけど、ふたりとも元気でねー。えいっ!」



ミケツカミ様の掛け声で、俺達は青い粒子に変わっていったんだ。






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