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ムーン大陸でも国造り
イリヤは大忙しです
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「おーいイリヤー。
早く寝ないと体に悪いぞ。」
「そーだぞ、早く一緒に寝ようよー。」
「はーい、キリの良いところになったら寝ますからー。」
最近イリヤが洋服作りにハマっている。
というのも、イリヤが作った服をオシンさんが着てお告げをしたせいで、外の世界で一大ファッションブームが起こったことがあった。
外の世界では、あれからかなり経っているにも関わらず、未だにイリヤのデザインはファッション界の奇跡として語り継がれているのだ。
女神クルステもといオシンさんの着こなしも若い女性に大人気で、模倣した洋服が街中に溢れている。
オシンさんかなり気を良くしていて、それからはイリヤに継続的に衣装を作ってもらっていた。
数年に一回くらいのお告げの時には、教会に少しでも早く見たい女の子達や、洋裁ギルドの職人達が、とんでもない人数で押し掛けている有り様だ。
オシンさんも始めは自分が目立ちたいだけで新しい服を着ていたのだが、今では新しい服を着るのが義務みたいになってしまっている。
当然、その分イリヤが忙しいのだ。
最近はオハルさんも手伝ってくれているから少しマシになったみたいだけど。
最初オシンさんが手伝いに来た時は壊滅的なセンスと不器用さに閉口したんだけど、オハルさんは普通だったんで助かったよ。
「ふうー、こんなもんかなぁ~。」
イリヤの声にリビングに行ってみる。
今イリヤが作っているのは着物だ。
最終的には十二単衣を作りたいらしいんだけど、今のところは浴衣まで。
一応縫い終えたから、明日から染めに入るらしい。
ロウケツ染めだったっけ。
ノアさんにいろいろ資料を見せてもらっているみたいだね。
元脳内アシスタントのノアさんなんだけど、実体である水晶を手に入れてから、姿を現せるようになったんだ。
この前土魔法でマネキンを作ってそこに水晶を埋め込んだら、上手く憑依出来たみたいで完全に実体化している。
イリヤとノアさん、気が合うみたいで、一緒にいろんな時代のファッション雑誌を見て研究しているみたいだよ。
ミーアも最初一緒に見てたけど、面倒くさくなったみたいで、最近は別のことをしているみたいだ。
実はこの世界にもロウソクは存在する。
というか、ロウソクの木があって実ががそのままロウソクなんだ。
中にある種子から出ている細い繊維に火を付けるとロウソクのように燃えるんで、外の世界では良く使われている。
ちなみに中の世界では、太陽光発電で快適な生活を送れるようになっているけどね。
翌日、朝早くからリビングでは浴衣にロウを塗る作業をしている。
蝋伏(ろうぶせ)って技法を使うらしい。
溶かしたロウを筆につけて丁寧に絵を描いていく。
色を付けたくないところに塗っていくみたい。
塗り終えたら染色。
乾いたら、残しておきたい色のところにロウを塗って別の色で染色しての繰り返し。
最後にロウを洗い落として完成。
結構大変な作業なんだけど、イリヤが楽しそうだから良しとしよう。
「ヒロシ様、これ着てみて下さい。」
洗って乾かしたばかりの浴衣をイリヤが持ってきてくれた。
あれは俺の分だったんだと思うと、嬉しさが込み上がってくるよ。
ありがとうイリヤ。
俺がイリヤを抱きしめると、イリヤは真っ赤になってアワアワしながらも嬉しそうに抱きついて来た。
そしたらいつの間に来たのかミーアが反対側に寄り添ってきたから3人で幸せを噛みしめた。
翌日、眠い目を擦りながらベッドで横を見ると、イリヤとミーアが満足気な顔をしながら夢の中にいるのだった。
昨夜の余韻に浸りながらしばらく微睡んでいると、右頬に優しさが触れる。
ミーアの柔らかい手の感触を確かめるように柔らかく掴んだ。
しばらく感触を楽しんでいると、今度は左頬にも別の感触が。
そちらを見ると顔のすぐそばにイリヤの唇があった。
もちろんお返しはしましたよ。2倍返しどころじゃないよ。
想像に任せるけどね。
その日、イリヤは自分とミーアの分も仕上げてくれたので、翌日はその浴衣を着て3人でお出かけした。
浴衣といえば髪飾りと下駄だよね。
ふたりにはサプライズってことでノアさんセレクトの物を作ってプレゼント。
ふたり共大喜びで外出が2時間遅れたのは内緒ですよ。
秋の夜長をゆっくりと歩く。
未だ暑さは残っているものの、時折り吹く風が秋を感じさせる中、どこへ行くわけでもなく、なんとなく家の周りを3人で歩いている。
中の世界には向こうの世界から来た9人フランシス王子とおハルさんの子供のスノウ君、それとクルステさんと秘書さん達しかいないから、達合わせても15人くらいかな。
それぞれが自分の家を持っていてそこで生活している。
クルステさんやおハルさんを除く秘書さん達は棟の中の自室で暮らしているのだ。
だから中の世界は昼夜関係なく静かで過ごしやすい。
一応塔の中にはお店や病院もあるんだけど、人がいないからあるだけだし。
食料は基本的に自給自足。塔の中に自動生産設備があって肉でも野菜でも、もちろん魚だってそこで作られている。
今ここにいる15人くらいが食べる分くらいは十分な量だしね。
俺達が家の側で作っている野菜や、スマルさんが森に狩りに行って獲ってくる動物や魔物なんかは趣味の領域だよ。
まあ、俺達向こう側の人間からしたら、機械で生産される食べ物よりも自分で育てたり獲ってきたものの方が親しみがあるから、おすそ分けしたら喜ばれるので、皆んな何かを作って交換し合ったりしているよ。
3人で1時間ほど散歩して家に戻った。
好きな人とこうしてまったりとした生活を送れるなんて、本当にスローライフって感じでいいよね。
忙しい日々が続いていたけど、やっと望んでいた生活が送れそうだ。
早く寝ないと体に悪いぞ。」
「そーだぞ、早く一緒に寝ようよー。」
「はーい、キリの良いところになったら寝ますからー。」
最近イリヤが洋服作りにハマっている。
というのも、イリヤが作った服をオシンさんが着てお告げをしたせいで、外の世界で一大ファッションブームが起こったことがあった。
外の世界では、あれからかなり経っているにも関わらず、未だにイリヤのデザインはファッション界の奇跡として語り継がれているのだ。
女神クルステもといオシンさんの着こなしも若い女性に大人気で、模倣した洋服が街中に溢れている。
オシンさんかなり気を良くしていて、それからはイリヤに継続的に衣装を作ってもらっていた。
数年に一回くらいのお告げの時には、教会に少しでも早く見たい女の子達や、洋裁ギルドの職人達が、とんでもない人数で押し掛けている有り様だ。
オシンさんも始めは自分が目立ちたいだけで新しい服を着ていたのだが、今では新しい服を着るのが義務みたいになってしまっている。
当然、その分イリヤが忙しいのだ。
最近はオハルさんも手伝ってくれているから少しマシになったみたいだけど。
最初オシンさんが手伝いに来た時は壊滅的なセンスと不器用さに閉口したんだけど、オハルさんは普通だったんで助かったよ。
「ふうー、こんなもんかなぁ~。」
イリヤの声にリビングに行ってみる。
今イリヤが作っているのは着物だ。
最終的には十二単衣を作りたいらしいんだけど、今のところは浴衣まで。
一応縫い終えたから、明日から染めに入るらしい。
ロウケツ染めだったっけ。
ノアさんにいろいろ資料を見せてもらっているみたいだね。
元脳内アシスタントのノアさんなんだけど、実体である水晶を手に入れてから、姿を現せるようになったんだ。
この前土魔法でマネキンを作ってそこに水晶を埋め込んだら、上手く憑依出来たみたいで完全に実体化している。
イリヤとノアさん、気が合うみたいで、一緒にいろんな時代のファッション雑誌を見て研究しているみたいだよ。
ミーアも最初一緒に見てたけど、面倒くさくなったみたいで、最近は別のことをしているみたいだ。
実はこの世界にもロウソクは存在する。
というか、ロウソクの木があって実ががそのままロウソクなんだ。
中にある種子から出ている細い繊維に火を付けるとロウソクのように燃えるんで、外の世界では良く使われている。
ちなみに中の世界では、太陽光発電で快適な生活を送れるようになっているけどね。
翌日、朝早くからリビングでは浴衣にロウを塗る作業をしている。
蝋伏(ろうぶせ)って技法を使うらしい。
溶かしたロウを筆につけて丁寧に絵を描いていく。
色を付けたくないところに塗っていくみたい。
塗り終えたら染色。
乾いたら、残しておきたい色のところにロウを塗って別の色で染色しての繰り返し。
最後にロウを洗い落として完成。
結構大変な作業なんだけど、イリヤが楽しそうだから良しとしよう。
「ヒロシ様、これ着てみて下さい。」
洗って乾かしたばかりの浴衣をイリヤが持ってきてくれた。
あれは俺の分だったんだと思うと、嬉しさが込み上がってくるよ。
ありがとうイリヤ。
俺がイリヤを抱きしめると、イリヤは真っ赤になってアワアワしながらも嬉しそうに抱きついて来た。
そしたらいつの間に来たのかミーアが反対側に寄り添ってきたから3人で幸せを噛みしめた。
翌日、眠い目を擦りながらベッドで横を見ると、イリヤとミーアが満足気な顔をしながら夢の中にいるのだった。
昨夜の余韻に浸りながらしばらく微睡んでいると、右頬に優しさが触れる。
ミーアの柔らかい手の感触を確かめるように柔らかく掴んだ。
しばらく感触を楽しんでいると、今度は左頬にも別の感触が。
そちらを見ると顔のすぐそばにイリヤの唇があった。
もちろんお返しはしましたよ。2倍返しどころじゃないよ。
想像に任せるけどね。
その日、イリヤは自分とミーアの分も仕上げてくれたので、翌日はその浴衣を着て3人でお出かけした。
浴衣といえば髪飾りと下駄だよね。
ふたりにはサプライズってことでノアさんセレクトの物を作ってプレゼント。
ふたり共大喜びで外出が2時間遅れたのは内緒ですよ。
秋の夜長をゆっくりと歩く。
未だ暑さは残っているものの、時折り吹く風が秋を感じさせる中、どこへ行くわけでもなく、なんとなく家の周りを3人で歩いている。
中の世界には向こうの世界から来た9人フランシス王子とおハルさんの子供のスノウ君、それとクルステさんと秘書さん達しかいないから、達合わせても15人くらいかな。
それぞれが自分の家を持っていてそこで生活している。
クルステさんやおハルさんを除く秘書さん達は棟の中の自室で暮らしているのだ。
だから中の世界は昼夜関係なく静かで過ごしやすい。
一応塔の中にはお店や病院もあるんだけど、人がいないからあるだけだし。
食料は基本的に自給自足。塔の中に自動生産設備があって肉でも野菜でも、もちろん魚だってそこで作られている。
今ここにいる15人くらいが食べる分くらいは十分な量だしね。
俺達が家の側で作っている野菜や、スマルさんが森に狩りに行って獲ってくる動物や魔物なんかは趣味の領域だよ。
まあ、俺達向こう側の人間からしたら、機械で生産される食べ物よりも自分で育てたり獲ってきたものの方が親しみがあるから、おすそ分けしたら喜ばれるので、皆んな何かを作って交換し合ったりしているよ。
3人で1時間ほど散歩して家に戻った。
好きな人とこうしてまったりとした生活を送れるなんて、本当にスローライフって感じでいいよね。
忙しい日々が続いていたけど、やっと望んでいた生活が送れそうだ。
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