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ムーン大陸で大冒険
神殿を復活させよう
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『ヒロシ君、無事にたどり着いたかい。
いちおう騒動はおさまったよ。
だけど、この街にはもう住めないかもね。
わたし達は、新たな移住先を探すよ。
君も頑張ってね。
クルステ』
クルステさんのメモを読んでホッとした反面、寂しい思いでいっぱいだ。
でも10000年も経っているんだから今更なんだけどね。
でもさっきまで話してたんだからさあ、そんなにすぐには割り切れないよ。
こうなったら、マイロのやつらを全滅させてやるぜ。
でもその前にミーアに会いに行かなきゃ。
あれからどれだけ経っているか分からないけど、きっと心配しているはずだ。
俺は急いで家に戻る。
「ミーア!ごめん。遅くなったね。
ミー……ア?」
ミーアは家にいなかった。
もしかすると、あの魔法陣に巻き込まれて…
「ミーア…… ミーアまで、クルステさんやオシンさんだけじゃなくて。」
どうして、どうしてなんだよー。
涙で何も見えなくなった。
俺はミーアが好きだったソファーにへたり込み泣き続けたんだ。
「うえーん!ヒロシ、ヒロシが~。」
うん?ミーアの声?幻聴?
バタン!と大きな音がして扉が開く。
「ヒロシー。ヒロシがさあ、すごい大きな光がピカッとしてさあ、それでね、それでいなくなって、どっかに、う、うぇっ、うー。」
ミーア?
ミーアだよ、ミーアが帰って来たんだ。
「ミーア!ミーア!ミーア!」
あれっ、ヒロシの声だ。幻聴?でもあったかいよー。すやすや。
泣き疲れたのか、ミーアは俺の腕の中で寝落ちたみたいだ。
俺も嬉しくって安堵したら、そのまま眠ってしまった。
「あれっ、ヒロシ!ヒロシだ。お、おいヒロシ、お前ヒロシか!」
ミーアの大声で起こされた俺は、眠い目を擦りながらミーアを見る。
涙と鼻水とよだれとかいっぱいでぐちゃぐちゃに歪んだミーアの顔。
俺はミーアを抱きしめていた。
あの時俺が魔法陣で飛ばされた後、ミーアは魔法陣の放つ光を見たそうだ。
俺を探したんだけど見当たらなかったから、途方に暮れて家に帰って来たら俺と一緒にソファーで寝てたんだって。
どうやらクルステさんが帰してくれたのは転移のすぐ後みたいだ。
でも、今回の件でよくわかったよ。
俺にとってミーアがとっても大事な存在なんだって。
この時代に戻って来てから、ミーアはひとときも俺のそばを離れない。
タマの姿でずっと俺の膝の上に丸くなってる。
俺はミーアに向こうでの話しをしてやった。クルステさんのこと、オシンさん、街の様子、マイロのこと、滅亡の原因とか。
ミーアのくせにいちいち「ミャー」って相槌を打っている。
いつもは聞いているのかいないのか分からないのにね。
よっぽど興味があるのか、それとも別の理由か。
こんな感じで、俺達はたわいもない3日ほどを過ごしたのだった。
「ミーア、今日は神殿に行ってみようか。」
「もう大丈夫かなぁ。またいなくならない?」
「大丈夫だよ。一緒にいればいいじゃないか。」
「そうだな。じゃあ手を繋いでいてね。」
「分かった。いいよ。さあ行こう。」
俺達は手を繋いで神殿の場所まで飛んで行った。
何故1000年前に日本からビルが転移して来たのかはいまだに不明だが、それはさておき、今は神殿の方だ。
あの後どうなったのか神殿に手掛かりがあるかもしれないしね。
「ヒロシ、これ綺麗だろう。
持って帰らないか?」
ミーアが差し出した透明の板。
これは間違いなく動く歩道のチューブのカケラだ。
「ああ、持って帰ろうな。」
チューブのカケラを収納する。片っ端から全部。
元に戻れ!
収納の中でカケラ達はチューブ状の動く歩道となった。
他の瓦礫もいっぺんに収納していく。
「はあ、はあ、はあ。くそっ、一回じゃ無理だ!」
さすがに魔力切れだ。
簡易テントを出して休む。
横には安定のミーア。
不器用だけど、俺の為にレモネード擬きを作ってくれた。
家の近くの森に自生しているレモンに似た果物を絞ったものだ。
砂糖は収納から出した。
これも畑で作った砂糖大根から作ったものだ。
日本で飲む自販機のレモネードよりもだいぶ酸っぱいけど、疲れが一気に取れたような気分だ。
しばらく休むとかなり魔力が戻ってきたから、瓦礫集めを再開する。
集めては休憩、集めては休憩を繰り返す。
とっくに日も落ちてるけど、ミーアも何も言わずに待っていてくれる。
3日目の朝日が昇る頃、神殿の周りの瓦礫は全て収納に収ったんだ。
「さあミーア、いくよ!」
俺はミーアが見守る中収納され修復が終わった瓦礫を元あった場所に戻す。
ズドン、ギー、バタン、
様々な擬音が響く中、神殿の周りが10000年前の光景を取り戻していく。
「ふわぁー?!」
ミーアの口が塞がらない。
俺だって日本でアニメを見ていなきゃ、10000年前に転移していなきゃ、同じように口を開けてよだれを溢していたかも。
「さあミーア、中に入るよ。」
俺はミーアの手を引いて、動き始めたばかりの動く歩道に乗った。
いちおう騒動はおさまったよ。
だけど、この街にはもう住めないかもね。
わたし達は、新たな移住先を探すよ。
君も頑張ってね。
クルステ』
クルステさんのメモを読んでホッとした反面、寂しい思いでいっぱいだ。
でも10000年も経っているんだから今更なんだけどね。
でもさっきまで話してたんだからさあ、そんなにすぐには割り切れないよ。
こうなったら、マイロのやつらを全滅させてやるぜ。
でもその前にミーアに会いに行かなきゃ。
あれからどれだけ経っているか分からないけど、きっと心配しているはずだ。
俺は急いで家に戻る。
「ミーア!ごめん。遅くなったね。
ミー……ア?」
ミーアは家にいなかった。
もしかすると、あの魔法陣に巻き込まれて…
「ミーア…… ミーアまで、クルステさんやオシンさんだけじゃなくて。」
どうして、どうしてなんだよー。
涙で何も見えなくなった。
俺はミーアが好きだったソファーにへたり込み泣き続けたんだ。
「うえーん!ヒロシ、ヒロシが~。」
うん?ミーアの声?幻聴?
バタン!と大きな音がして扉が開く。
「ヒロシー。ヒロシがさあ、すごい大きな光がピカッとしてさあ、それでね、それでいなくなって、どっかに、う、うぇっ、うー。」
ミーア?
ミーアだよ、ミーアが帰って来たんだ。
「ミーア!ミーア!ミーア!」
あれっ、ヒロシの声だ。幻聴?でもあったかいよー。すやすや。
泣き疲れたのか、ミーアは俺の腕の中で寝落ちたみたいだ。
俺も嬉しくって安堵したら、そのまま眠ってしまった。
「あれっ、ヒロシ!ヒロシだ。お、おいヒロシ、お前ヒロシか!」
ミーアの大声で起こされた俺は、眠い目を擦りながらミーアを見る。
涙と鼻水とよだれとかいっぱいでぐちゃぐちゃに歪んだミーアの顔。
俺はミーアを抱きしめていた。
あの時俺が魔法陣で飛ばされた後、ミーアは魔法陣の放つ光を見たそうだ。
俺を探したんだけど見当たらなかったから、途方に暮れて家に帰って来たら俺と一緒にソファーで寝てたんだって。
どうやらクルステさんが帰してくれたのは転移のすぐ後みたいだ。
でも、今回の件でよくわかったよ。
俺にとってミーアがとっても大事な存在なんだって。
この時代に戻って来てから、ミーアはひとときも俺のそばを離れない。
タマの姿でずっと俺の膝の上に丸くなってる。
俺はミーアに向こうでの話しをしてやった。クルステさんのこと、オシンさん、街の様子、マイロのこと、滅亡の原因とか。
ミーアのくせにいちいち「ミャー」って相槌を打っている。
いつもは聞いているのかいないのか分からないのにね。
よっぽど興味があるのか、それとも別の理由か。
こんな感じで、俺達はたわいもない3日ほどを過ごしたのだった。
「ミーア、今日は神殿に行ってみようか。」
「もう大丈夫かなぁ。またいなくならない?」
「大丈夫だよ。一緒にいればいいじゃないか。」
「そうだな。じゃあ手を繋いでいてね。」
「分かった。いいよ。さあ行こう。」
俺達は手を繋いで神殿の場所まで飛んで行った。
何故1000年前に日本からビルが転移して来たのかはいまだに不明だが、それはさておき、今は神殿の方だ。
あの後どうなったのか神殿に手掛かりがあるかもしれないしね。
「ヒロシ、これ綺麗だろう。
持って帰らないか?」
ミーアが差し出した透明の板。
これは間違いなく動く歩道のチューブのカケラだ。
「ああ、持って帰ろうな。」
チューブのカケラを収納する。片っ端から全部。
元に戻れ!
収納の中でカケラ達はチューブ状の動く歩道となった。
他の瓦礫もいっぺんに収納していく。
「はあ、はあ、はあ。くそっ、一回じゃ無理だ!」
さすがに魔力切れだ。
簡易テントを出して休む。
横には安定のミーア。
不器用だけど、俺の為にレモネード擬きを作ってくれた。
家の近くの森に自生しているレモンに似た果物を絞ったものだ。
砂糖は収納から出した。
これも畑で作った砂糖大根から作ったものだ。
日本で飲む自販機のレモネードよりもだいぶ酸っぱいけど、疲れが一気に取れたような気分だ。
しばらく休むとかなり魔力が戻ってきたから、瓦礫集めを再開する。
集めては休憩、集めては休憩を繰り返す。
とっくに日も落ちてるけど、ミーアも何も言わずに待っていてくれる。
3日目の朝日が昇る頃、神殿の周りの瓦礫は全て収納に収ったんだ。
「さあミーア、いくよ!」
俺はミーアが見守る中収納され修復が終わった瓦礫を元あった場所に戻す。
ズドン、ギー、バタン、
様々な擬音が響く中、神殿の周りが10000年前の光景を取り戻していく。
「ふわぁー?!」
ミーアの口が塞がらない。
俺だって日本でアニメを見ていなきゃ、10000年前に転移していなきゃ、同じように口を開けてよだれを溢していたかも。
「さあミーア、中に入るよ。」
俺はミーアの手を引いて、動き始めたばかりの動く歩道に乗った。
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