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ムーン大陸で大冒険
衝撃的な展開になってきました。
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脳内アシスタントさんの指差す『イトネチェル』の秘書と思われる女性、名札にはオシンって書いてある。
そのオシンさん、さっきから忙しく動き回っていたから、しばらく秘書室で待っていたんだ。
たくさんの秘書さん達が携帯のイヤホンを耳に掛けながら、手帳とペンを両手に持って必死にメモを取っている姿はまるで現代日本と錯覚してしまうのだが、懐メロアイドル歌手のフリフリ衣装に変な形のスーツ上を羽織っている不思議な格好が現代日本とは違うと認識させる。
まぁ外の兵士は上半身半裸だったから、根本的に現代日本とは違うけどね。
顔や体型は日本人とよく似ているから、もしかしたら日本人の祖先なのかもね。
ともかく、10000年前にムーン大陸には現代日本と並ぶかそれ以上の文明が存在していたのは間違いない。
そんなことを考えているとオシンさんが奥の扉に向かって行くのが見えた。
急いでついていく。
一際立派な扉をノックして入って行くオシンさん。
隙間から中に忍び込む。
そこには30畳くらいの大きさの執務室があった。
>>>>>>>>>>>>>
猪に追いかけられてよく分からないうちに神殿跡を発見したよ。
魔人の子供達が読むお伽話に出てくるムーンの神殿じゃないかな。
なんとなくそんなふうに思ったんだ。
中に入って行くと案外広い。もちろん瓦礫ばかりで何かあるわけじゃないけど、僕達の国に無いような機械の残骸が残されている。
よくわかんないけどね。
だってこんなに透明で薄くて均一な厚さの石って見たことないし。
たまに山の中で見つかるキラキラした石から作られるギアマンとかいう最新のものなら王城で見たことあるけど、こんなに透き通っていて、薄くて大きいのは見たことない。
こんなのが作れる段階で、僕達魔人の国よりもかなり高い文明を持っていると思うんだ。
持って帰れたらいいんだけど、重いし、いつ帰れるかも分からないから持って帰らない。
ヒロシが一緒だったら良かったのに。
あっ、そうだ。ヒロシのところに戻らなきゃ。
僕は服の飛行機能を使って飛び上がると、あの廃墟を探す。
あっ、あった。
見つけた瞬間、そこから光が立ち上り、しばらくして消えた。
慌ててヒロシがいたはずの地下に入ったけど、ヒロシはどこにもいなかったんだ。
しばらく探したんだけど、どうしても見つからない。
きっとあの光に連れて行かれたんだ。
途方に暮れた僕は家に帰るしかなかったんだよ。
ヒロシ~どこ行ったんだよ~。寂しいよー。
>>>>>>>>>>>>>
オシンさんと一緒に入った『イトネチェル』の部屋。
広い部屋なのに家具と言えるのは豪華ででっかい事務机だけ。
「おやオシンさん、誰を連れて来たんだい。
見知らぬ気配だねえ。」
「クルステ様、わたしはひとりでございますが。」
「そうかオシンさんには見えないんだね。確かにオシンさん達普通の人に比べたら気配がかなり薄いけど。
わたしに用件があるのだよねえ。」
これは驚いた!これまで気配遮断で気付かれたことは無いのに。
「驚いているねえ。わたしは小さい時から目が見えなくてねえ。感覚だけは優れているんだよう。
ところで君は誰なんだい。オシンさんにも見えるようにしてあげて下さいな。」
俺は気配遮断を解除した。
「あら、驚いた。あなた、いつからいるの?」
「オシンさんに付いてこの部屋に入ってきました。すいませんでした。」
「ようこそ、ところであなたの名前を教えてくれないかねえ。」
「ヒロシと言います。」
「その衣装、この世界では見かけないねえ。さっき召喚場で大きな反応があったんだけど、もしかしてそれで召喚されたのかい?」
「恐らくそうだと思います。ところでお聞きしたいのですが、ここはムーン大陸でしょうか?」
「そうだよ。ムーン大陸のべルシアスという場所だよ。わたしはクルステ。この世界を治める『イトネチェル』だよ。」
「やっぱり。俺はこの時代から10000年後の時代から来ました。
10000年後にこの辺りは森になっているのですが、そこにあった魔方陣を起動したことでここに来たのです。」
「うーん。10000年後にはこの国は滅びているのか。
ちなみにこの世界はいつ滅びたことになっている?」
「......10000年前です。」
「10000年前......か。そうか。今からそれほど遠くない時期なのだな。」
「正確な記録が残っているわけでもなく、伝説のようなもので伝わっているだけなので、実際のところは不確かですが。」
「いや、それは良い。恐らくその歴史は正しいだろう。
この国は一見繁栄を極めてはいるが実のところ問題が多いのだよ。
わたしも200年以上この大陸を治めているが、この荒廃の流れを止めることが出来ておらんよ。」
「クルステ様、それは...」
「いいのだオシンさん。
恐らく彼は本当に10000万年前から来たのであろうよ。わたしには分かる。
彼はこの世界の者では無い。いや我等の子孫でも無いだろう。そうだよねヒロシ君。」
クルステさんの言葉にオシンさんも言いかけた言葉を飲み込んだのだった。
そのオシンさん、さっきから忙しく動き回っていたから、しばらく秘書室で待っていたんだ。
たくさんの秘書さん達が携帯のイヤホンを耳に掛けながら、手帳とペンを両手に持って必死にメモを取っている姿はまるで現代日本と錯覚してしまうのだが、懐メロアイドル歌手のフリフリ衣装に変な形のスーツ上を羽織っている不思議な格好が現代日本とは違うと認識させる。
まぁ外の兵士は上半身半裸だったから、根本的に現代日本とは違うけどね。
顔や体型は日本人とよく似ているから、もしかしたら日本人の祖先なのかもね。
ともかく、10000年前にムーン大陸には現代日本と並ぶかそれ以上の文明が存在していたのは間違いない。
そんなことを考えているとオシンさんが奥の扉に向かって行くのが見えた。
急いでついていく。
一際立派な扉をノックして入って行くオシンさん。
隙間から中に忍び込む。
そこには30畳くらいの大きさの執務室があった。
>>>>>>>>>>>>>
猪に追いかけられてよく分からないうちに神殿跡を発見したよ。
魔人の子供達が読むお伽話に出てくるムーンの神殿じゃないかな。
なんとなくそんなふうに思ったんだ。
中に入って行くと案外広い。もちろん瓦礫ばかりで何かあるわけじゃないけど、僕達の国に無いような機械の残骸が残されている。
よくわかんないけどね。
だってこんなに透明で薄くて均一な厚さの石って見たことないし。
たまに山の中で見つかるキラキラした石から作られるギアマンとかいう最新のものなら王城で見たことあるけど、こんなに透き通っていて、薄くて大きいのは見たことない。
こんなのが作れる段階で、僕達魔人の国よりもかなり高い文明を持っていると思うんだ。
持って帰れたらいいんだけど、重いし、いつ帰れるかも分からないから持って帰らない。
ヒロシが一緒だったら良かったのに。
あっ、そうだ。ヒロシのところに戻らなきゃ。
僕は服の飛行機能を使って飛び上がると、あの廃墟を探す。
あっ、あった。
見つけた瞬間、そこから光が立ち上り、しばらくして消えた。
慌ててヒロシがいたはずの地下に入ったけど、ヒロシはどこにもいなかったんだ。
しばらく探したんだけど、どうしても見つからない。
きっとあの光に連れて行かれたんだ。
途方に暮れた僕は家に帰るしかなかったんだよ。
ヒロシ~どこ行ったんだよ~。寂しいよー。
>>>>>>>>>>>>>
オシンさんと一緒に入った『イトネチェル』の部屋。
広い部屋なのに家具と言えるのは豪華ででっかい事務机だけ。
「おやオシンさん、誰を連れて来たんだい。
見知らぬ気配だねえ。」
「クルステ様、わたしはひとりでございますが。」
「そうかオシンさんには見えないんだね。確かにオシンさん達普通の人に比べたら気配がかなり薄いけど。
わたしに用件があるのだよねえ。」
これは驚いた!これまで気配遮断で気付かれたことは無いのに。
「驚いているねえ。わたしは小さい時から目が見えなくてねえ。感覚だけは優れているんだよう。
ところで君は誰なんだい。オシンさんにも見えるようにしてあげて下さいな。」
俺は気配遮断を解除した。
「あら、驚いた。あなた、いつからいるの?」
「オシンさんに付いてこの部屋に入ってきました。すいませんでした。」
「ようこそ、ところであなたの名前を教えてくれないかねえ。」
「ヒロシと言います。」
「その衣装、この世界では見かけないねえ。さっき召喚場で大きな反応があったんだけど、もしかしてそれで召喚されたのかい?」
「恐らくそうだと思います。ところでお聞きしたいのですが、ここはムーン大陸でしょうか?」
「そうだよ。ムーン大陸のべルシアスという場所だよ。わたしはクルステ。この世界を治める『イトネチェル』だよ。」
「やっぱり。俺はこの時代から10000年後の時代から来ました。
10000年後にこの辺りは森になっているのですが、そこにあった魔方陣を起動したことでここに来たのです。」
「うーん。10000年後にはこの国は滅びているのか。
ちなみにこの世界はいつ滅びたことになっている?」
「......10000年前です。」
「10000年前......か。そうか。今からそれほど遠くない時期なのだな。」
「正確な記録が残っているわけでもなく、伝説のようなもので伝わっているだけなので、実際のところは不確かですが。」
「いや、それは良い。恐らくその歴史は正しいだろう。
この国は一見繁栄を極めてはいるが実のところ問題が多いのだよ。
わたしも200年以上この大陸を治めているが、この荒廃の流れを止めることが出来ておらんよ。」
「クルステ様、それは...」
「いいのだオシンさん。
恐らく彼は本当に10000万年前から来たのであろうよ。わたしには分かる。
彼はこの世界の者では無い。いや我等の子孫でも無いだろう。そうだよねヒロシ君。」
クルステさんの言葉にオシンさんも言いかけた言葉を飲み込んだのだった。
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