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アルマニ領で領地経営
ここはどこでしょうか。ミーアと一緒の旅が始まります
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あれっ。俺って死んだよなあ。
しばらく見ていなかった白い空間。ここは....そう、ミケツカミ様のところだ。
「ヒロシ君、久しぶりだねって、その子は何ー?」
ミケツカミ様の視線の先には気持ちよさそうに眠っているタマ、いやミーアがいる。
「えっ、ミーアなんでここにいるの?」
けだるそうに目を開け伸びをしたタマは変身を解いてミーアに変わる。
「ヒロシが消えそうになったから慌ててヒロシに触ったらここに来たよ。
ヒロシと一緒で良かった。」
嬉しそうに腕をとってくるミーア。
「まっ、いいかー。ところでヒロシ君、下の世界では頑張っていたようだねー。
こっちでも君の頑張りは注目していたんだー。
ただやっぱり急ぎすぎたから、細かなところでほつれが出たようだねー。
100年もあるんだから、ゆっくりと進めていったらこんなことにならなかったかもねー。」
「ミケツカミ様、やっぱり俺って死んだんですよねえ。また、アルマニ領に戻れますか?」
「うーん。戻れなくはないんだけどねえ。今回は目撃者もいるし既に君は影響力が大きくなりすぎているから、このまま戻すわけにはいかないよねえー。
どうだろう。精神修養も兼ねて遠くを武者修行の旅にでも出てみたらー?
その後でどうしても戻りたかったら、そしてその時に戻ってきて欲しいと強く願う人がいたら、神のお告げとか言って戻してあげてもいいよー。」
「わかりました。武者修行に行きます。ミーアも連れて行ってもいいですよね?」
「そうだねー。彼女の場合はみんなにあまり認知されていないから、そのまま戻してあげてもいいけどねえー。」
「わたしもヒロシと一緒に行く。その方が面白しろそうだし。」
「わかったよー。じゃあ武者修行の最初に地点に送るねー。」
「ち、ちょっと待って下さい。イリヤ様に一言だけお別れを言いたいんです。」
「じゃあ夢枕に立たせてあげるよー。用意はいいかいー。えい!」
俺はイリヤ様の夢の中にいる。
イリヤ様の悲しそうな顔を見たら、待ってて欲しいとしか言えなかったんだ。
数分の後、再びミケツカミ様の元へ。
「お別れしてきたかいー。」
頷く俺。
「じゃあほんとに送るよー。頑張ってきてねー。」
青い光に包まれたと思ったら次の瞬間、草原の真ん中に俺とミーアは立っていた。
>>>>>>>>>>>>>
ヒロシ様の訃報を聞いてから3週間。今日わたしはアルマニ領に向けて旅立ちます。
この3週間領主としての勉強をしてきました。
領主の正妻として恥ずかしく無いようにこれまでも学んできたつもりでしたが、覚えることが多くて大変です。
でもヒロシ様も一から覚えてアルマニ領をあれだけ発展させてこられたのですから、婚約者であり領主代行を拝命したわたしが引き継いでさらに発展させていくのは当然のことです。
ヒロシ様が戻ってこられた時に喜んでもらえるよう頑張ろうと思います。
ヒロシ様が消えてしまって、アルマニ領では天地をひっくり返したような騒ぎになっていたそうですが、代官のステファンさんが頑張って騒ぎを収束させたみたいです。
特にわたしが領主代行としてアルマニ領に入いることが決まってからは、急速に落ち着いてきたとのことでとりあえずはひと安心です。
領主が変わる時に気を付けなければいけないのが他領や他国からの干渉についてですが、いち早くインディアナ神国神軍隊長のスペル様が兄で大神官でもあるスマル様の親書を携えて駆けつけて下さったそうで、大国インディアナ神国の威光もあり、心配していた事態は発生しませんでした。
スペル様とヒロシ様は熱い友情で結ばれているとかで、スペル様が『親友ヒロシのために』とインディアナ神国を挙げてアルマニ領を守ると宣言して下さいましたのです。
よくわかりませんが、これもヒロシ様の人徳というものでしょうか。
この話しは、『いなくなってもなお、領地のために尽くす忠義の人』として、一部吟遊詩人を通じて広まりつつあります。
どうやら、執事長のセバスさんがわざと流させたみたいですが。
これも相まって、知らせが入ってわずか5日ほどで領内は落ち着きを取り戻したとのことでした。
わたしを乗せた馬車は一路アルマニ領に向けて進んでいきます。
途中の各領ではわたしの歓迎式典をしようとしてくださいますが、全て辞退しています。
未だ喪中の身ではありますし、一刻も早くアルマニ領に向かわなければならないからです。
馬車がムラーク領に入ったところで停車しました。
そう、ヒロシ様が消えてしまった場所です。
そこには小さな廟が立てられ、入口にはたくさんの野花が添えられていました。
恐らく、中に入れなかった一般の領民が供えていったものだと思われますが、その華美でない慎ましさと飾らなさがヒロシ様によく似あっているように思われ、ふと笑みがこぼれてしまいました。
廟の中に入るとヒロシ様の肖像画が飾られています。
わたしは携えていた花束とヒロシ様が好きだった甘いものを供えさせて頂きました。
肖像画の前で手を組むと、涙が溢れてきます。
明日からは泣かないようにしますから今だけは許してくださいね。
その日はムラーク領の領主城に1泊泊めていただき、廟のある地域の代官に今後の廟の保護をお願いしました。
そして3日後アルマニ領主城に到着したのです。
しばらく見ていなかった白い空間。ここは....そう、ミケツカミ様のところだ。
「ヒロシ君、久しぶりだねって、その子は何ー?」
ミケツカミ様の視線の先には気持ちよさそうに眠っているタマ、いやミーアがいる。
「えっ、ミーアなんでここにいるの?」
けだるそうに目を開け伸びをしたタマは変身を解いてミーアに変わる。
「ヒロシが消えそうになったから慌ててヒロシに触ったらここに来たよ。
ヒロシと一緒で良かった。」
嬉しそうに腕をとってくるミーア。
「まっ、いいかー。ところでヒロシ君、下の世界では頑張っていたようだねー。
こっちでも君の頑張りは注目していたんだー。
ただやっぱり急ぎすぎたから、細かなところでほつれが出たようだねー。
100年もあるんだから、ゆっくりと進めていったらこんなことにならなかったかもねー。」
「ミケツカミ様、やっぱり俺って死んだんですよねえ。また、アルマニ領に戻れますか?」
「うーん。戻れなくはないんだけどねえ。今回は目撃者もいるし既に君は影響力が大きくなりすぎているから、このまま戻すわけにはいかないよねえー。
どうだろう。精神修養も兼ねて遠くを武者修行の旅にでも出てみたらー?
その後でどうしても戻りたかったら、そしてその時に戻ってきて欲しいと強く願う人がいたら、神のお告げとか言って戻してあげてもいいよー。」
「わかりました。武者修行に行きます。ミーアも連れて行ってもいいですよね?」
「そうだねー。彼女の場合はみんなにあまり認知されていないから、そのまま戻してあげてもいいけどねえー。」
「わたしもヒロシと一緒に行く。その方が面白しろそうだし。」
「わかったよー。じゃあ武者修行の最初に地点に送るねー。」
「ち、ちょっと待って下さい。イリヤ様に一言だけお別れを言いたいんです。」
「じゃあ夢枕に立たせてあげるよー。用意はいいかいー。えい!」
俺はイリヤ様の夢の中にいる。
イリヤ様の悲しそうな顔を見たら、待ってて欲しいとしか言えなかったんだ。
数分の後、再びミケツカミ様の元へ。
「お別れしてきたかいー。」
頷く俺。
「じゃあほんとに送るよー。頑張ってきてねー。」
青い光に包まれたと思ったら次の瞬間、草原の真ん中に俺とミーアは立っていた。
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ヒロシ様の訃報を聞いてから3週間。今日わたしはアルマニ領に向けて旅立ちます。
この3週間領主としての勉強をしてきました。
領主の正妻として恥ずかしく無いようにこれまでも学んできたつもりでしたが、覚えることが多くて大変です。
でもヒロシ様も一から覚えてアルマニ領をあれだけ発展させてこられたのですから、婚約者であり領主代行を拝命したわたしが引き継いでさらに発展させていくのは当然のことです。
ヒロシ様が戻ってこられた時に喜んでもらえるよう頑張ろうと思います。
ヒロシ様が消えてしまって、アルマニ領では天地をひっくり返したような騒ぎになっていたそうですが、代官のステファンさんが頑張って騒ぎを収束させたみたいです。
特にわたしが領主代行としてアルマニ領に入いることが決まってからは、急速に落ち着いてきたとのことでとりあえずはひと安心です。
領主が変わる時に気を付けなければいけないのが他領や他国からの干渉についてですが、いち早くインディアナ神国神軍隊長のスペル様が兄で大神官でもあるスマル様の親書を携えて駆けつけて下さったそうで、大国インディアナ神国の威光もあり、心配していた事態は発生しませんでした。
スペル様とヒロシ様は熱い友情で結ばれているとかで、スペル様が『親友ヒロシのために』とインディアナ神国を挙げてアルマニ領を守ると宣言して下さいましたのです。
よくわかりませんが、これもヒロシ様の人徳というものでしょうか。
この話しは、『いなくなってもなお、領地のために尽くす忠義の人』として、一部吟遊詩人を通じて広まりつつあります。
どうやら、執事長のセバスさんがわざと流させたみたいですが。
これも相まって、知らせが入ってわずか5日ほどで領内は落ち着きを取り戻したとのことでした。
わたしを乗せた馬車は一路アルマニ領に向けて進んでいきます。
途中の各領ではわたしの歓迎式典をしようとしてくださいますが、全て辞退しています。
未だ喪中の身ではありますし、一刻も早くアルマニ領に向かわなければならないからです。
馬車がムラーク領に入ったところで停車しました。
そう、ヒロシ様が消えてしまった場所です。
そこには小さな廟が立てられ、入口にはたくさんの野花が添えられていました。
恐らく、中に入れなかった一般の領民が供えていったものだと思われますが、その華美でない慎ましさと飾らなさがヒロシ様によく似あっているように思われ、ふと笑みがこぼれてしまいました。
廟の中に入るとヒロシ様の肖像画が飾られています。
わたしは携えていた花束とヒロシ様が好きだった甘いものを供えさせて頂きました。
肖像画の前で手を組むと、涙が溢れてきます。
明日からは泣かないようにしますから今だけは許してくださいね。
その日はムラーク領の領主城に1泊泊めていただき、廟のある地域の代官に今後の廟の保護をお願いしました。
そして3日後アルマニ領主城に到着したのです。
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