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その23 「性格悪いわね、ちゃんとやってよっ」

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 くらくらとする頭を無理やり持ち上げて、覆い被さる七瀬ななせを押し返す。七瀬の両肩に手を置き、ソファーに座らせる。

「何? 私では不満だと言うの?」

「いやそうじゃない。流れに身を任せてするセックスは嫌いじゃない。だけど、早百合さゆりにされた事を思うと同じ繰り返しになるのだけは避けたい。
 だから確認させてほしい。俺に抱かれて、後悔しない?」

 後悔……? そう言って、真っ赤な顔をこてんと傾ける七瀬。かなり酔いが回っているはずだけど、あの頭でちゃんと考えられるのだろうか心配だ。

「早百合という恋人がいるのはこの際置いておこう。でも七瀬にとって俺が初めての男になっていいのか? 岡崎家の令嬢としての節度とか、これから嫁ぐ先の事とか、考えなくていいのか?」

「あはははっ! あなたがそれを言うの、笑っちゃうわっ」

 おっかしーっ、と声を上げて笑う七瀬。確かに散々遊んでいる俺が言う事でもないが。それでも男と女では事情が違うのは仕方がない。男女平等だ何だとはいえ、結局は女性の方が不貞を批難されやすい。

「あなたに貰ってもらうから大丈夫よ、心配しないで」

 もしも貰い手がいなければ俺に貰ってもらう、と。投げやりなのか本気なのか判断が付かない。
 またもグラスにワインを注ぎ、口に含んで俺にキスを寄越す。さぁ口を開けと七瀬が唇をぐいぐいと押し付けて来る。仕方なくワインを吸い込むと、七瀬の口の端からつーっとワインが零れてしまった。

「あ~あ、お気に入りのブラが染みてしまうわ。ほら早く舐めて綺麗にして」

 両手で顔を掴まれて、七瀬の胸に押し当てられる。ワインの芳醇な香りと女性のふわっと温かみを感じる匂い、2つの匂いが混じり、俺の脳を刺激する。
 ワインを飲まされ、匂いに刺激され、全身がかっかと熱くなる。頬に触れる柔らかい感触。身じろぎすればぶるんと震える胸。思わず舌を這わせると、小さく聞こえる七瀬の声。

「はぁぅっ……」

 ブラジャーに鼻をくっ付けて息を吸い込む。香水は付けておらず、鼻に感じるのはワインと七瀬の匂いだけ。鼻を左右に揺らすと、隠されている乳首を刺激された七瀬が甘い声を上げる。

「いいわ、いやらしい……」

 いやらしいのがいいらしい。七瀬の手が俺の服を脱がせようと背中に伸びる。だがしかし、最後にもう1つだけ確認をしないとならない。

「ゴム、持って来てんの?」

「そんなものいらないわ。早百合と違って私は以前から低用量ピルを服用しているもの。月のモノが重いから」

「早百合とは違ってってどういう意味だ……!?」


 初めて早百合を抱いた日、成り行きでセックスする事になったもののゴムがない事を理由に俺が帰ろうとした為、咄嗟にピルを飲んでいると嘘を付いたらしい。その時点ではピルを服用しておらず、その後に慌てて医者に行きアフターピルを処方してもらったとか。

 あいつはさらにその後にあんな写メを送って来てたのか? 呆れて物も言えんわ……。俺も人の事言えんが。
 次は1週間後、と言っていたのは、新たに処方してもらったピルの効果が出るのに1週間掛かるから、らしい。
 普通にゴムを用意する、ではダメなんだろうか。二重ふたえの場合は昔に俺が頼んで飲んでもらっていて、今も飲み続けているから大丈夫なんだけれども。
 俺に抱かれなくなった後も二重がピルを飲み続けていたと聞いた時、俺は嬉しさと申し訳なさに同時に襲われた。

「そういう事だから、遠慮する必要ないわよ? 男の人は生の方が嬉しいんでしょう?」

 それはそうだけれども。まぁ七瀬の場合は俺以外の男とのセックスの経験がない訳だから、性病予防という意味では問題なさそうではあるけれども。けれどもけれども……。

 またも七瀬の唇がくっ付き、俺の口にワインが流し込まれる。そのままワインで少しざらついた舌を絡めさせ、ちゅぱちゅぱと音を立てて七瀬に口内を犯される。
 強引なキスにより呼吸がし辛く、ワインを立て続けに飲まされたのも合わせてどんどん酔いが回る。

「ほら、男でしょう? 初めての私をリードしてくれないと」

 手馴れている。相手が例え女だったとしても、挿れるモノが本物なのか人工物なのかの違いだけだ。七瀬は今まで、どれだけの女を喰って来たのか。どれだけの女を鳴かせて来たのか。少し興味が沸いて来た。
 鳴くのではなく鳴かせたい。

 ワインボトルを持ち、グラスには注がずそのまま口を付ける。ラッパ飲みでワインを含み、そのままブラジャーに唇を押し付けてじゅっと染み込ませる。

「あぁぁっ、酷いわ、お気に入りだって言ったのに……」

 口ほど嫌がっていない様子。ぐちゃぐちゃになったブラジャーの上から胸を揉みしだく。濡れた布の感触を確かめながら、乳首を押し付けて弄ぶ。
 七瀬は自らの人差し指を唇に添えて、声を出すのを我慢しているようだ。薄目を開けて俺の方を見やり、次はどうするのか、次はどうされるのかと窺っているのが分かる。

「女が好きな女を相手するのは初めてだから、勝手が分からない。どこがいいのか自分で言ってくれないか?」

「うふふっ、早百合だってそうだったじゃない」

「あれは恋人が男だと思い込んでたからな、今は違う」

 ブラジャーの白いレース部分が紫色に染まっている。元からそのようなデザインだったようにも見える。ブラジャーの上から舌を押し付け、じゅじゅじゅっと吸い上げる。七瀬の味が混じったワインを啜る。

「いいの、好きにして。男を知らない私を汚してちょうだい、いい所のお嬢様として被って来た仮面を剥がして、素顔の私を滅茶苦茶に汚して?」

 そうかい、了解。
 ソファーに座り直し、七瀬を俺の膝に座らせる。大きく脚を広げさせて、七瀬の腕の上から手を伸ばして胸へ手を当てる。

「あれが見えるか?」

「えっ……? いやぁ、あなたって本当にやらしいのね……」

 俺達の対面には壁に掛けられた備え付けの大きな鏡がある。映っているのは、全身を赤くさせた七瀬と、後ろから胸を弄っている俺。大きく開かれた脚を閉じようとするが、俺の膝で押さえ、さらに広げさせる。
 七瀬はTバックを履いている為、隠し切れない陰毛が鏡に映し出される。

「あそこに映ってるのは1人の女だ。ご令嬢でもレズビアンでもない。七瀬という綺麗な女だ」

「あぁぁぁ……」

 恥ずかしがって顔を隠そうとするが、俺が腕の上から抱き着いている為に隠せない。七瀬は目を閉じるが、目の前に鏡があると意識するだけで羞恥心が煽られる事になる。

 ぐちゅぐちゅ、目を閉じているせいでブラジャーの濡れた音もよく聞こえるだろう。ブラジャーの上から乳首を摘み上げる。ぐっと顎を上げて来たので、唇を奪う。

「んんん~~~っっっ」

 七瀬は早百合との付き合いでいうと、恐らくタチ、抱く側だ。早百合はネコ、抱かれる側。よっていつもは七瀬が早百合の身体を積極的に愛撫し、感じさせ、イかせているのではないだろうか。
 早百合は七瀬のこんな姿、見た事あるんだろうか。そう思うと、これも寝取りと言われればそうだな。女が好きな七瀬を俺の手で汚し、染め上げる事は出来るのか……。

「はぁっ……、うふっ、男にしては上手ね?」

「俺以外知らないクセによく言うよ」

 胸から少しずつ手を移動させ、脇腹や二の腕をさする。太ももをやわやわと揉みながら、鏡越しに七瀬の目を見つめる。目が合った。

「ほら、どうして欲しい?」

「んっ……!」

 言葉責めは有効らしい。腰をゆさゆさと揺すり、七瀬が俺を促そうとする。

「ちゃんと言わないと分からないな」

「ほんっといやらしいわね……、触って……?」

「どこを?」

 両手で秘裂に触れないようにして足の付け根を揉み込む。Tバックのショーツが擦れて僅かな快感が生まれる。七瀬は少しでもその刺激を強くしようと腰を動かすが、俺の膝の上に乗っている為に自由には動かせない。

「もうっ! 言わなくても分かるでしょう!?」

 言わなくても分かる所を触って欲しいらしい。太ももを撫でる右手をさらに下へ向かわせ、中指でアナルをちょんと突いてやる。

「ひゃあぁっ!!?」

 爪を立てて穴の周りを優しく引っ掻く。穴と秘裂を繋ぐ筋、蟻の門渡りをつつつっと往復させる。女性であれば会陰と言った方が相応しいかも知れない。

「ちょっとっ! そっちの趣味もある訳!?」

「ん? まぁ興味がない訳ではないけど、ここを触って欲しいのかと思ってな」

「はぁっん……、分かった、分かったから……、クリを、触ってよ」

 よく言えました。中指をアナルからそのまま秘裂へ向けて撫で上げ、お望みのクリトリスを刺激する。

「んっ……」

 優しく、ゆっくり、周りから中心へらせんを書くように触れて、また周りへとゆっくり戻って行く。本人にすればもどかしく、足りない刺激。腰を前に出して強い刺激を求めても、その分中指も遠ざてもどかしさを煽る。
 七瀬はすぐに屈した。

「性格悪いわね、ちゃんとやってよっ」

「ちゃんとって?」

「もっと、強くして……、ああっ!!」

 親指と人差し指で摘まむ。摘まんで捻るように刺激を与える。小指で秘裂をなぞると、ショーツのクロッチが若干湿り気を帯びているのが分かった。

「こうか?」

「いじわるなのねっ、早百合にはひーひー言わせてたクセに……」

「ひーひー言わされたいのか」

 七瀬は問い掛けには答えず、鏡を通して俺を睨み付けて来る。あられもない格好で、俺に弄ばれる姿を晒している。
 鏡越しに目を合わせたまま耳元に口を寄せ、吐息のみで問い掛ける。

「家では下着姿ってホントなのか? 俺を誘う言い訳だろ?」

「なっ!? ああっ……、ほ、ほんとうよ、後で早百合に確認すればいいでしょっ」

「ふ~ん」

 ぎゅっと中指を押し込む。クリトリスがぐにゃっを押し潰し、なおかつ小刻みに動かす。

「ぁぁぁあああああっ!!!」

 顎を上げ、口を大きく開けて叫ぶような嬌声。丁寧に整えられていた髪の毛が乱れている。俺は腰の位置を調整し、ズボン越しに七瀬のお尻へとペニスを押し当てる。

「いい声で鳴くから大きくなったわ」

「知らないわよっ……、んんっ!!」

 髪を振り乱そうが、プライドはそうそう捨てられないようだ。こんな格好をして、いい声で鳴かされてなお、ご令嬢の仮面は外れないのか。それとも、プレイの最中は高圧的な態度を取るクセがあるのか。

 ショーツから手を離し、太ももを指でなぞる。 それだけでもビクンッと反応する七瀬の身体。徐々に温まって来ているのが分かる。そろそろ見せてもらおうか。七瀬のブラホックを外してやる。

「きゃっ!?」

 ブラジャーに支えられていた両胸が重力に引かれてたゆんと落ち、七瀬が驚いて声を上げる。手早く腕からブラジャーを抜き取り床へ放る。ワインが染み込んだ黒いブラジャー、その内側のパット部分まで紫に染まっているようだ。

「可愛い声も出せるんだな」

 首筋に吸い付きながら両胸を下から揉み上げる。手のひらに余る胸は、歪に形を変えながら揺れる。乳首が上下左右に向きを変え、時折指に触れては甘い声を出す七瀬。

「早百合とこういう焦らされプレイはしないのか?」

 しないだろうな、という予想の元、羞恥心を煽るように尋ねる。むしろ七瀬は焦らす側なんじゃないだろうか。
 きゃんきゃん鳴く早百合をなじって、性的興奮で満足する七瀬の姿が容易に思い浮かぶ。

「しないわっ、私は早百合をとろとろに気持ち良くしてあげるのが好きなのっ」

「ふーん、じゃあ七瀬もとろとろになるまで弄ってやるからな? して欲しい事があったらちゃんとおねだりするんだぞ?」

 誰がっ、そう七瀬が口に出す前に右手をショーツの脇から侵入させ、中指を秘裂に添わせる。Tバックなので簡単に秘裂を暴く事が出来る。ぴちゃぴちゃぴちゃっ、愛液が溢れ出して十分に濡れている。

「いやぁぁぁ……」

「嫌なのか? じゃあ止めようか」

 引こうとした手を七瀬が掴み、ちょうどクリトリスに触れて止まる。はぁぁぁっ、と甘い息を吐く七瀬。俺の手に自らの手を押し当てて、もっともっとと腰を動かす。

「ここがいいのか?」

 ぎゅっと唇を結び、こくこくこくと七瀬が頷く。ふっと耳に息を吹き掛ける。

「はぁっ、んっ、…………っぁぁぁあああ~~~~~!!!!!」

 力が抜けたタイミングでクリトリスをこねくり回してやる。七瀬の嬌声が漏れ出て、いやいやと首を振る。左手を七瀬の頬に添えてキスをする。
 だらしなく開いていた唇から舌を滑り込ませ、舌の付け根、前歯の裏、奥歯とねっとり丁寧に舐め上げて行く。

「んあぁっ、ちゅっ、れろはぁっ! ん~~~、はぁむっ、ああぁぁぁぁんちゅっ、れろっ、はあっ!?」

 閉じられないように口内を犯し、右手はクリトリスを執拗に責める。時折秘裂をぐちゅぐちゅと鳴らして愛液を掬い取り、またクリトリスに塗して行く。
 乳首がピンと張り詰めているのを確認し、左手を七瀬の頬から離して乳首を摘み上げる。

「ん゛ん゛っ!? はあああっ! あ~~~~~~~~~~~!!!!」

 イったのだろうか。乳首で、それともクリトリスで。あるいは両方同時に。七瀬が戻って来るまでは両手を動かず、鏡越しにイっている姿を視姦する。肩を吸い、首筋に舌を這わせ、耳を噛む。激しく上下する胸の感触を楽しみながら、やや落ち着きを取り戻した七瀬に問い掛ける。

「いつもは早百合を弄んでんだろ? どうやってんのか教えろよ、その通りお前にもしてやるよ」

 言うと同時に両手をそれぞれ動かす。左手は乳首を、右手はクリトリスを。ただし先ほどよりも幾分刺激を軽めにして。

「……、ベッドに寝かして、全身隈なく舐めてあげるの。最初は早百合も私に触れてくるのだけど、その気力もなくなるくらいに責めて、最後の最後にディルドでイかせてあげているわ……」

「そうか、じゃあベッドに移動するか」

「ええ……、きゃっ!?」

 七瀬をお姫様抱っこして寝室へ移動する。さすがに七瀬が早百合をお姫様抱っこしてベッドへ連れて行くなんて事は出来ないだろう。
 ゆっくりとキングサイズのベッドへ七瀬を下ろし、俺もベッドへと乗る。そのまま七瀬へと覆い被さり、七瀬の首筋へと舌を這わせる。

「んっ……、んんっ……、ねぇ」

「ん?」

「もう、挿れて……?」

 はぁ!? 早百合だけでなくお前もかよ……。

「言っただろ? お前がいつも早百合にしている事をそのまましてやるって。前進隈なく舐めてとろっとろにした後、最後の最後に挿れるんじゃないのか?」

「いいじゃない、もう待てないわっ。お願い、早く私を女にしてっ……」

 潤んだ瞳で俺を見上げる七瀬。両腕を上げ、早く私の処女を奪ってと誘う。
 そんな簡単に挿れてたまるか。もっとその顔を快楽で歪めさせ、自分でも何を言っているか分からないほどに狂わせてやりたい。そう思えば思うほどに、俺のペニスは硬さを増して行く。

「ほらっ、ここ、辛いんじゃない? 1回だけだなんて言わないからっ、私の中で何回も出していいからっ、ねっ?」

 ベルトを外し、俺のズボンを七瀬が下げる。パンツから亀頭がはみ出して、先走り汁が出ている。

「うふふっ、口ではそう言ってても、こっちは涎を垂らして早く早くって言ってるわよっ?」

 ……、その態度が気に入らない。絶対にアヘアヘ言わせてやるからな。
 自らパンツを脱ぎ去り、七瀬のTバックも脱がせる。早百合と同じく丁寧に手入れされているそこは、どろどろに濡れそぼっていた。
 ペニスを秘裂へあてがい、ゆっくりと腰を使って上下に擦り付ける。ぬちゅっ、ぬちゅっと音を立てて、粘膜と粘膜を刺激し合う。

「あっ、あぁっ……、ねぇ、早く挿れてっ?」

 うるせぇな、俺のペースでさせろよ。俺はペニスを七瀬の膣口へあてがい、先っぽだけを挿れては出し、挿れては出しを繰り返す。数回に1回の割合で秘裂を撫で上げ、ペニスでクリトリスへと刺激を与える。

「んっ、うんっ……、あ~もうっ!! 焦らしてないで早くしてよっ!!」

 七瀬が俺を睨み付ける。やや上体を起こして俺の両腕を掴み、そして両脚を俺の腰へと絡み付ける。膣口にペニスをあてがったタイミングでぐいっと挟み込んで無理矢理ペニスを挿入した。
 ずりゅっ、という挿入の感触と共に、やや引っかかりを感じる。そして……、

「んんんん゛ん゛ん゛ったあああああああいいいぃぃぃっっっ!!!!」

 えっ……、っと、まさか、なぁ……?
 信じられない思いで七瀬の顔を見つめると、目には涙を溜め、そして歯を食いしばっている。その表情はまさに、痛みに耐えるような……。

「いたいいたいいたい、痛いぃっ!!」

 首をぶんぶんと振って痛みに耐える七瀬。しかし俺の腕も腰も拘束したままだ。もう離さないと、もう逃がさないと言わんばかりにぎりぎりと締め上げている。


「ふぅ~~、ふぅ~~……。ふふふっ、これであなたは私のモノよ……」


 その表情はまるで、狙っていた獲物をやっと手に入れたというような、そんな肉食獣を思わせる冷たい笑みだった。

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