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ないなら作ればいいじゃん的発想の転換

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 結論から言うと、何も大丈夫じゃなかった。
 王国へ属する事を決めたリトゥアール家は、竜神信仰を隠して生きて行く事を決めた。
 他家の目に触れないよう信仰を司る部門を立ち上げ、秘して信仰を続けて来た。
 他人の目に触れず、竜神信仰という一族の重要案件を取り扱う部門。
 内向きのその部門は、どんどん考え方や信仰の捉え方を先鋭的なものへと変化させて行った。

 竜神様が姿を現さなくなった理由は。
 ミィチェが未だに竜神とならないのは何故か。
 もしや、我らの信仰心が認められていないのか。
 
 実際は鈴が姿を現さなくなったのは気まぐれのようなもので、ミィチェが大きな猫の姿にも人間の姿にもなれなかったのは、竜の島に比べてマナが少ない土地だった為である。
 決して正解のある問いではない為、延々と答えを求め続け、知らず知らずとんでもない場所へ思考が飛んで行ってしまったのだろう。
 結果的に、リトゥアール家の竜神信仰が行き着いた先は、自分達の手で竜神様を作り出してしまおうというものだった。
 何代にも渡って研究し、改良に改良を重ねた秘術を用いて人知を超えた力を持つ人間を生み出すという秘密結社のような考え方だった。

 趣旨が百八十度変わってるんだが!?

「そしてその秘術が成った。
 その秘術の成果がお前、アルティなのだろう」

 そんな目で見ないで!?
 すげぇ悲しい運命を背負った子供を見るような目!
 俺はただの前世日本人で生前の記憶を持った生まれ変わりの十四歳ですよ、怪しい秘術によって作り出された改造人間みたいな存在ではないんだ。

「今思えば不思議だったのだ。
 私が結婚する際にミィチェが自分から着いて来た。
 本来であれば影の者達がミィチェを連れ戻すはずなのだが、何故か今の今まで放置されている」

「それが本当なら、私はシュライエン辺境伯家当主としてアルティスラを全力で守るわ。
 決してリトゥアール侯爵家へ引き渡したりしない」

「それは私だって同じだ。
 いくら実家だからといって、愛する息子を差し出したりしないさ。
 それに、結婚する前からパシューと約束していた事だからな」

 父上と母上が手を取り合い、お互いを見つめ合っている。
 不意に両親のミニドラマが始まったせいで、気が逸れてしまった。真剣に聞く気になれない。

 そもそも、秘術だ秘した信仰だと言われても、俺が竜神と話せるのはその成果ではなく全くの偶然なのだから。
 真に受けるだけ無駄である。
 時間も時間だし、さっきからうつらうつらしているエティーをそろそろ部屋に返してやりたい。
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