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竜神様は全裸で興奮する

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 俺は鈴とミィチェとのやり取りで、今はもう帰れない故郷を想って胸が熱くなってしまった。
 それに気付いているのかいないのか、軽口を続けてくれる二人。
 俺は見た目こそ変わったが、生まれ変わっても人間だった。
 でもこの二人は猫になってしまった。
 まぁこの世界においては竜らしいが。
 ミィチェが父上の実家にどういう経緯で招かれるようになったのか分からないし、何故鈴はそれについて行かなかったのかも分からないが、二人も望郷の念はあるだろう。
 出会いはこんな形になってしまったが、この出会いを大切にしたいと思った。

 そう俺は思っているんだけど、家族だけでなく俺達の護衛までもが遠巻きに見ているだけで決して近付こうとして来ない。
 カーニャも腰を抜かしたように地面にへたり込んでいる。
 その点ポーシェはさすがだ。
 俺の隣に立っていつでも何があっても対応出来るよう魔力を練っている。
 

『あ、いつまでもこの姿じゃ怖がらせちゃうかー。
 ごめんごめん、えへへー』

 みんなに怖がられているのに、当の本人はお気楽な様子だ。
 四つん這いのままうーんの背伸びをしている。

『じゃ、ちょっと変身するねー』

 変身? 姿を変えられるのか。
 でも何に変身するというのだろうか。
 ミィチェのように小さくなってくれればありがたいんだけど。
 どうなるのかと眺めていると、鈴の身体がピカッと光る。
 まるでミィチェの翼が光った時と同じような雰囲気。
 眩い光に目を細めていると、デカい猫のシルエットが消えていった。
 文字通り形が変わるのか、と思っていると光が消えて、月明かりの草原に人影が……。

「お兄様!!」

 またも俺の顔目掛けてエティーが飛び掛かって来た。
 もう四回目だぞ四回目。
 そう思ってひらりと躱すと、目の前に全裸の女性が……。

「ダメですわっ!!」

 エティーに後ろから目隠しをされた。
 そんなに必死に隠さなくても、俺が後ろを向けばいいだけだろう?
 エティーをおんぶして後ろへ向き直る。

「ご機嫌取りをしてもこの手は放しませんわ!」

 いや、そんなつもりはない。

『何でアルティちゃんは目隠しされてるのー?』

『あー、勘違いしてるかもしれないけど、アルティは男の子だから』

『男の娘キターーー!!!』

 突如興奮し出す鈴。
 感情が爆発し過ぎて暴風が吹き荒れる。

「竜神様、お待ち下さい!
 まずはお召し物を……」

 その鈴に対し必死の形相で止めに入る母上と姉上。
 猫なのか竜なのか竜神なのかどれなんだよ。

 ってかもうそろそろ疲れて来た。
 帰りたい。
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