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お坊ちゃまは皆に守られている
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まるでポーシェは俺を何かから隠そうとしているのかのように、力づくで俺の身体を抑え込んでいる。
「ニャァァァアアア!!!」
今もミィチェは何かに対して威嚇を続けている。
あんな小さな身体の猫が、一生懸命翼を広げて何かと戦おうとしているのだ。
ポーシェに守られている場合じゃない!
「ふがふがふがっ!!」
ポーシェめ、俺の両腕の上から自分の腕を回しているので身動きが取れない。
脚もがっつり絡められていて、体勢を入れ替える事すら出来ない。
魔力で筋力を上乗せしているのだろう、手も脚も出ないとはこの事か。
首は割と自由に動かせるが、これは何となくやってはいけないような気が……。
くそう、わざと羞恥の感情を漏らしやがる。
罪悪感に駆られるから止めてくれ!
ってか恥ずかしいってんなら離せばいいだろうが!!
「お初にお目にかかります。
私はトランキルト・ブリランテ・シュライエンと申します。
リトゥアール侯爵家の出でございます」
父上が突然名乗り始めた。
しかも実家の名前まで出すなんて、一体何が始まるっていうんだろうか。
ポーシェが力を緩めようとしないので状況が全く分からない。
「今宵は我が生家へ預けられたこの幼き竜をお迎えに来られたのでしょうか?」
生家に預けられた?
ちょっと待ってくれ、それってまさか……。
「シャァァァアアア!!!」
ミィチェの怒りの感情が伝わって来る。
父上の口ぶりから、俺達が知らない第三者がこの場に現れたのは間違いない。
ミィチェが威嚇している相手と、父上が名乗った相手は同一人物。
そして、その人物がミィチェを迎えに来た、だと?
「お坊ちゃま、抑えて下さいませっ!」
「ふがふがふがふがぁーーー!!」
そんなの黙っていられる訳ないだろうが!
ってか何で俺だけこの体勢なんだ、何で俺だけポーシェに守られている?
母上は、エティーは、姉上は、義兄上は?
俺だけ隠れていられるか!!
邪魔するなら無理矢理にでも抜け出してやる。
『邪魔するな』
「きゃぁ!?」
威嚇の魔力を放出し、ポーシェの拘束から逃れる。
すぐに立ち上がって振り向こうとすると、両手を広げたエティーが飛び掛かって来た。
避けるとエティーが怪我しそうなので姿勢を低くして腰に手を回し、地面へ転がしておく。
続いて姉上がこちらへ駆け出して来るのが見える。
何でみんなして俺の邪魔をしようとするんだ?
「邪魔する姉様は嫌いです!」
「ぐはっ……!!」
戦わずして勝つとはこういう事か、これぞ口撃。
胸を押さえて崩れ落ちたの姉上を避け、父上のいる方向を見やると。
そこには、滅茶苦茶でっかい猫がいた。
「ニャァァァアアア!!!」
今もミィチェは何かに対して威嚇を続けている。
あんな小さな身体の猫が、一生懸命翼を広げて何かと戦おうとしているのだ。
ポーシェに守られている場合じゃない!
「ふがふがふがっ!!」
ポーシェめ、俺の両腕の上から自分の腕を回しているので身動きが取れない。
脚もがっつり絡められていて、体勢を入れ替える事すら出来ない。
魔力で筋力を上乗せしているのだろう、手も脚も出ないとはこの事か。
首は割と自由に動かせるが、これは何となくやってはいけないような気が……。
くそう、わざと羞恥の感情を漏らしやがる。
罪悪感に駆られるから止めてくれ!
ってか恥ずかしいってんなら離せばいいだろうが!!
「お初にお目にかかります。
私はトランキルト・ブリランテ・シュライエンと申します。
リトゥアール侯爵家の出でございます」
父上が突然名乗り始めた。
しかも実家の名前まで出すなんて、一体何が始まるっていうんだろうか。
ポーシェが力を緩めようとしないので状況が全く分からない。
「今宵は我が生家へ預けられたこの幼き竜をお迎えに来られたのでしょうか?」
生家に預けられた?
ちょっと待ってくれ、それってまさか……。
「シャァァァアアア!!!」
ミィチェの怒りの感情が伝わって来る。
父上の口ぶりから、俺達が知らない第三者がこの場に現れたのは間違いない。
ミィチェが威嚇している相手と、父上が名乗った相手は同一人物。
そして、その人物がミィチェを迎えに来た、だと?
「お坊ちゃま、抑えて下さいませっ!」
「ふがふがふがふがぁーーー!!」
そんなの黙っていられる訳ないだろうが!
ってか何で俺だけこの体勢なんだ、何で俺だけポーシェに守られている?
母上は、エティーは、姉上は、義兄上は?
俺だけ隠れていられるか!!
邪魔するなら無理矢理にでも抜け出してやる。
『邪魔するな』
「きゃぁ!?」
威嚇の魔力を放出し、ポーシェの拘束から逃れる。
すぐに立ち上がって振り向こうとすると、両手を広げたエティーが飛び掛かって来た。
避けるとエティーが怪我しそうなので姿勢を低くして腰に手を回し、地面へ転がしておく。
続いて姉上がこちらへ駆け出して来るのが見える。
何でみんなして俺の邪魔をしようとするんだ?
「邪魔する姉様は嫌いです!」
「ぐはっ……!!」
戦わずして勝つとはこういう事か、これぞ口撃。
胸を押さえて崩れ落ちたの姉上を避け、父上のいる方向を見やると。
そこには、滅茶苦茶でっかい猫がいた。
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