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お坊ちゃま、センチメンタる
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自分の身に起こった事、カーニャの疑問はもっともだ。
何故傷が瞬時に治ったのか気になって当然である。
この世界に治癒魔法は存在するが、一瞬で矢に貫かれた肩を完治させるようなすごい魔法ではない。
身体が持つ内分泌的な治癒能力を高めるようなものが治癒魔法なのであって、外部から強制的に元へ戻すような類いのものではないのだ。
俺はフィデリーテが話していた秘術、魔力量を上げる為のアクセサリーを身に着けていたのと同じ効果を利用している。
フィデリーテは思い入れのあるアクセサリーだったが、それが俺にとっては『日本語』だった、という訳だ。
日本語を発しながら魔法を使うと、信じられないくらいに魔力量が上がる。
幼い頃、試しにポーシェに日本語を教えて魔法を使わせてみたが、効果がないどころか魔法の発動すらしなかった。
フィデリーテの話を聞いて、何となく納得出来た。
俺が日本語に対して特別な思い入れがあるから、という事なのかもしれない。
もう日本に帰る事は出来ないだろうが、咄嗟の際には日本語が出てしまう。
この世界に生まれ変わって十四年経ったが、やはり俺は心底日本人なのだ。
カラオケ行きてぇーなーくそー。
あ、ヤバちょっと泣きそう……。
「あの、答え辛い質問をしてしまい、誠に申し訳……」
望郷の念が漏れてしまった。
どう受け取ったのかは知らないが、慌ててカーニャが謝罪してくる。
「あぁ、いや。問題ない。
ただ、答えようがなくてな。
出来るから出来る、そう思ってくれていて良い」
ポーシェにも詳しくは説明してないしな。
日本語を口にして魔法を使用させるという実験に付き合わせているから、ポーシェは俺が日本語(竜の囁き)を寝ている時以外にも使える事を知っている。
しかし詳しく説明を求めて来ない。
このあたりの機微がポーシェは絶妙だ。
だからこそ一番信頼しているし、常にそばにいてほしいと思う理由でもある。
前世、そして生まれ変わり、記憶の継続。
分かりやすく神様が「お前に使命を与える」とか何とか言って俺をこの世界に送り込んだとかだったら、まだ説明しやすいんだけどな。
この世界の宗教観ってそんなに成熟してないし。
下手したら俺が神だと崇められてしまう。
そんな生活、窮屈そうだから嫌だ。
だから出来るから出来る、という説明で納得してもらおう。
「お坊ちゃま、そろそろお休みにならないと明日に響きます。
また一日移動し通しになるのですから」
「分かった、頼むよ」
いつも通り、ポーシェの魔法で眠りに付く。
両親の判断は正しかった。
俺の寝言で部屋が吹き飛んだら堪らない。
「それではお休みなさいませ、お坊ちゃま」
「お休みなさいませ、ご主人様」
「あぁ、お休み」
何故傷が瞬時に治ったのか気になって当然である。
この世界に治癒魔法は存在するが、一瞬で矢に貫かれた肩を完治させるようなすごい魔法ではない。
身体が持つ内分泌的な治癒能力を高めるようなものが治癒魔法なのであって、外部から強制的に元へ戻すような類いのものではないのだ。
俺はフィデリーテが話していた秘術、魔力量を上げる為のアクセサリーを身に着けていたのと同じ効果を利用している。
フィデリーテは思い入れのあるアクセサリーだったが、それが俺にとっては『日本語』だった、という訳だ。
日本語を発しながら魔法を使うと、信じられないくらいに魔力量が上がる。
幼い頃、試しにポーシェに日本語を教えて魔法を使わせてみたが、効果がないどころか魔法の発動すらしなかった。
フィデリーテの話を聞いて、何となく納得出来た。
俺が日本語に対して特別な思い入れがあるから、という事なのかもしれない。
もう日本に帰る事は出来ないだろうが、咄嗟の際には日本語が出てしまう。
この世界に生まれ変わって十四年経ったが、やはり俺は心底日本人なのだ。
カラオケ行きてぇーなーくそー。
あ、ヤバちょっと泣きそう……。
「あの、答え辛い質問をしてしまい、誠に申し訳……」
望郷の念が漏れてしまった。
どう受け取ったのかは知らないが、慌ててカーニャが謝罪してくる。
「あぁ、いや。問題ない。
ただ、答えようがなくてな。
出来るから出来る、そう思ってくれていて良い」
ポーシェにも詳しくは説明してないしな。
日本語を口にして魔法を使用させるという実験に付き合わせているから、ポーシェは俺が日本語(竜の囁き)を寝ている時以外にも使える事を知っている。
しかし詳しく説明を求めて来ない。
このあたりの機微がポーシェは絶妙だ。
だからこそ一番信頼しているし、常にそばにいてほしいと思う理由でもある。
前世、そして生まれ変わり、記憶の継続。
分かりやすく神様が「お前に使命を与える」とか何とか言って俺をこの世界に送り込んだとかだったら、まだ説明しやすいんだけどな。
この世界の宗教観ってそんなに成熟してないし。
下手したら俺が神だと崇められてしまう。
そんな生活、窮屈そうだから嫌だ。
だから出来るから出来る、という説明で納得してもらおう。
「お坊ちゃま、そろそろお休みにならないと明日に響きます。
また一日移動し通しになるのですから」
「分かった、頼むよ」
いつも通り、ポーシェの魔法で眠りに付く。
両親の判断は正しかった。
俺の寝言で部屋が吹き飛んだら堪らない。
「それではお休みなさいませ、お坊ちゃま」
「お休みなさいませ、ご主人様」
「あぁ、お休み」
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