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お坊ちゃまは兵士達を鼓舞する
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どうせ後で陣列を組んだ兵達へ魔法を掛けるのだ。
ついでだからこの場で兵の日によく聞かせる歌を歌おうか。
馬に跨り、休憩している兵達の周りを歌いながら進む。
「共に立ち上がれ 故郷の為に
我らは家族 母を 父を 子供を守れ
力を尽くせ 明日の為に
我らは家族 母を 父を 子供を守れ
敵を打ち払い 共に笑おう
我らは家族 母を 父を 子供を守れ」
「若様よ!」
「あぁ、私達の為に駆け付けて下さったのだわ!」
「疲れが吹き飛んだ!」
「あぁ、尊い……」
「死んでもいいわ!」
この歌は割と以前から歌っている歌で、兵士のほとんどが聞いた事があるはずだ。
しかし、この世界の人間は、聞いた事があるから一緒に歌おう、という事をしない。
否、出来ない。
リズム感の問題や、音程の問題だけでなく、自分も俺と同じように歌えるのだ、という根本的な意識が欠落しているような気がする。
与えられるもので、自らが与えるものではない、的な感じか。
上手く言葉には出来ないが。
何にしても、こんな簡単な歌詞でも喜んでもらえるんだから楽でいい。
あくまでこの歌詞はこの世界の平民にも理解出来るよう簡単なものにしてあるのであって、俺の作詞能力が著しく低い訳ではない。
決して。
歌いながら先頭、姉上のところまで行く。
「兵達の士気が高まっているな、さすがはアルティの歌だ!」
「ありがとうございます、姉上」
姉上にも歌の有用性を示せたので、この戦にも意義があったという事になる。
「兵達も十分に身体が休まっただろう、そろそろ決戦の地へ向かうとしようか」
姉上の指揮で、行軍を再開する。
今まで自軍の兵士を労う歌を敵兵に聞かせた時の効果を調べるといったような実証実験をした事がないので、判断が付かない。
初陣でのカーニャ達敵兵の反応を見る限り、歌による攻撃性魔法は強力であると言えるが。
後は実証を積み重ねる事で、戦での歌の有用性を母上に証明するとしよう。
「これが歌の力ですか、不思議な感覚です……」
カーニャが俺の歌で効果を実感するという事は、表面上のみならず心底俺の侍女であるという自覚を持っているという事、なのだろうか。
敵方であるという意識があれば、共に立ち上がれという歌詞に共感は出来ない。
従って魔法的効果も発動しない、と思う。
この先でユニオーヌ連合の者達と相対する。
その時になれば、自ずとカーニャの本心が見えるだろう。
実家、そして婚約者の側へ戻り、再び俺につま先をしゃぶれば許すとのたまうか、それとも婚約者の前に立ちはだかるか。
実に興味深い。
ついでだからこの場で兵の日によく聞かせる歌を歌おうか。
馬に跨り、休憩している兵達の周りを歌いながら進む。
「共に立ち上がれ 故郷の為に
我らは家族 母を 父を 子供を守れ
力を尽くせ 明日の為に
我らは家族 母を 父を 子供を守れ
敵を打ち払い 共に笑おう
我らは家族 母を 父を 子供を守れ」
「若様よ!」
「あぁ、私達の為に駆け付けて下さったのだわ!」
「疲れが吹き飛んだ!」
「あぁ、尊い……」
「死んでもいいわ!」
この歌は割と以前から歌っている歌で、兵士のほとんどが聞いた事があるはずだ。
しかし、この世界の人間は、聞いた事があるから一緒に歌おう、という事をしない。
否、出来ない。
リズム感の問題や、音程の問題だけでなく、自分も俺と同じように歌えるのだ、という根本的な意識が欠落しているような気がする。
与えられるもので、自らが与えるものではない、的な感じか。
上手く言葉には出来ないが。
何にしても、こんな簡単な歌詞でも喜んでもらえるんだから楽でいい。
あくまでこの歌詞はこの世界の平民にも理解出来るよう簡単なものにしてあるのであって、俺の作詞能力が著しく低い訳ではない。
決して。
歌いながら先頭、姉上のところまで行く。
「兵達の士気が高まっているな、さすがはアルティの歌だ!」
「ありがとうございます、姉上」
姉上にも歌の有用性を示せたので、この戦にも意義があったという事になる。
「兵達も十分に身体が休まっただろう、そろそろ決戦の地へ向かうとしようか」
姉上の指揮で、行軍を再開する。
今まで自軍の兵士を労う歌を敵兵に聞かせた時の効果を調べるといったような実証実験をした事がないので、判断が付かない。
初陣でのカーニャ達敵兵の反応を見る限り、歌による攻撃性魔法は強力であると言えるが。
後は実証を積み重ねる事で、戦での歌の有用性を母上に証明するとしよう。
「これが歌の力ですか、不思議な感覚です……」
カーニャが俺の歌で効果を実感するという事は、表面上のみならず心底俺の侍女であるという自覚を持っているという事、なのだろうか。
敵方であるという意識があれば、共に立ち上がれという歌詞に共感は出来ない。
従って魔法的効果も発動しない、と思う。
この先でユニオーヌ連合の者達と相対する。
その時になれば、自ずとカーニャの本心が見えるだろう。
実家、そして婚約者の側へ戻り、再び俺につま先をしゃぶれば許すとのたまうか、それとも婚約者の前に立ちはだかるか。
実に興味深い。
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