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奪われた婚約者が敵になって自分の前に立ちはだかる展開

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 自分付きの有能過ぎるというのもまた考え物だな。
 聞いていない事まで報告する必要するし、そもそも調べる必要のない事まで調べるのはどうかと思うぞ!
 俺がカーニャが処女かどうか調べておくようにポーシェに命じたように聞こえなくもないからさ、言うにしてもこっそり言ってよ……。

「使い方次第では非常に有効な駒となり得る、と。
 ポーシェ、あの娘は当家に反抗する意思はないと信じて良いのか?」

 父上はカーニャの現在の異常な様子を知らない。
 あの様子を見ればある意味危険であり、息子に近付けない方が良いと判断するのではないだろうか。

「全く危険性はございません。
 ご当主様、お館様のお許しを頂けるのであれば、私に預からせて頂きたく」

 ポーシェの具申を受けて、母上と父上が俺の顔色を窺って来る。
 いや、俺がポーシェに言わせている訳じゃないんだが。
 カーニャを婚約者の元へ送り返したくないから自分の侍女に代弁させている訳じゃないんです本当です俺は無実だ!

「ポーシェがここまで言うのです。
 問題ないのではないでしょうか?」

「ありがとうございます、エティーお嬢様」

 そして何故かポーシェ全面支持を表明するエティー。
 目と目で通じ合っている感が漂っている。
 二人ってそんなに仲良かったっけ?
 この二人が結託して何かお互いに利益があるんだろうか。
 二人の共通点……、何かあるかな。

「うーん……、ヴェーニィの侍女が一人増えるなら母親としてはとても安心だけれども。
 仮にその娘を返さないとするならば、戦で娘の婚約者と全面的に対立するのは確定となるのかしら?」

 母上が父上へ問い掛ける。

「返そうが返すまいが、あちらがそれで矛を収めるとは思えん。
 自分の物を取られたと思って癇癪を起こしているのだ。
 こちらとしてははた迷惑な話だが、ここまで明確に喧嘩を売られた以上、何一つ譲る必要はない。
 徹底的にやるべきだろうな」

 いや、だからね?
 俺は今からでも出向きますよってさっきから言ってんの。
 ちょっと待てと言ったのは父上でしょう?

「お坊ちゃまの戦果はご報告させて頂いた通りでございます。
 加えて、先行されておりますアヴェルス様と新たに侍女とするカーニャ、そして微力ながら私もご同行致します。
 相当な魔法の使い手がいたとしても、こちらに損害なく追い返す事は可能と考えます」

 あー、カーニャを侍女として連れて行くのが既定路線みたいになってしまった。
 つまりあれだろ? 奪われた婚約者が敵になって自分の前に立ちはだかるって事だろ?


 うわぁ、ご愁傷様……。
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