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父上は手に入った者を確かめてみろと勧める
しおりを挟む「私は構いませんので、はっきりと仰って下さい」
そう言うと、父上がチラッとエティーの方を見てから、俺の耳元に口を近付けて囁く。
「一晩あれば、色々と考える事が出来るだろう?
例えば、手に入ったモノが自分に合うかどうかじっくりと試す事が出来る。
本当に手放してしまっても後悔しないか、一晩ゆっくりと考えられるだろう」
何だよ、この期に及んでまた下ネタかよ、好きだなこのエロ親父。
わざわざ聞いて損した気分だ。
幸い、父上が何を言いたいのか理解していた母上が、エティーの気を逸らしていたのでティーカップは割れていない。
しかしその問題があったな。
俺を戦場に呼び出そうという書状の主は、カーニャを連れて来いと言っていたんだった。
あの犬娘は任せろとポーシェが言っていたが、今はどうなっているだろうか。
「あの娘との面会の途中だったのだったな。
ポーシェが残り、引き続き尋問をしているのだろう?」
「はい、父上。
もしかするとすでに屋敷へ戻って来ているかもしれません」
部屋の端で待機しているメイドへ声を掛ける。
「ポーシェが屋敷へ戻ったかどうか、確認して来てくれ」
コンコンコンッ
「失礼致します。
お坊ちゃま、私に何か御用でしょうか?」
メイドが確認するまでもなく、部屋へ参上するポーシェ。
さすが有能な侍女、扉の向こうで待機していたのか。
しかし部屋の中の会話を盗み聞きするのはよくないぞ。
侍女というよりも忍びの者といった立ち振る舞いだ。
とても怖い。
「あの娘はどうなった?」
「ご報告致します。
実戦経験は少ないながらもヴェーニィであり、カーニャは使い方次第では非常に有効な駒となり得ます。
また、戦場でお坊ちゃまの魔力にあてられた結果、身も心もすっかりお坊ちゃまに心酔しております。
私の聴取にも全て素直に応じ、少しでもお坊ちゃまのお役に立てるようにと敵の戦略や内情など、こちらにとって非常に有益な情報をもたらしました。
後ほど収容所の所長を通しまして、改めて報告書が上げられる予定です。
さらにカーニャが生娘である事を確認出来ま……」
「よし分かった!
もう分かったから止めてくれ!!」
そんなに堂々と報告されてはたまったもんじゃない。
ポーシェの報告を受けて、父上がうんうんと頷いている。
実家の分家の娘だから、贔屓目に見ておられるのだろうか。
それにしても、生娘がどうか、そう簡単に見分けが付くものなのか……?
いや、決して興味がある訳ではないのであしからず。
ほ、ホントだよ!
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