25 / 122
お坊ちゃまの心配事
しおりを挟む
カーニャを返さないと連合全体と戦争、という事か。
「それはまた物騒ですね」
エテピシェ伯爵家があの娘を返してほしいのなら、直接うちに言って来る前にヴォワザン子爵家へ協力するなり圧力を掛けるなりするのが先だろう。
うちとヴォワザン子爵家との協議で金なり土地の分割なり、敗戦後の交渉をするのが普通だと思うが。
特使が捕虜に拘っているのを見抜いた父上から強気な条件を突き付けられて、逆上したのか?
「いや、うちとしてはすぐに返してもいいんだけどね……」
義兄上が苦笑を浮かべる。
義兄上も一般的な貴族と同じく髪の毛を伸ばしている。
湯船に髪の浸からないようタオルで巻いているから、パッと見は幸薄そうな女性に見えなくもない。
「お母様とお父様はどう仰っているのですか?」
父上は俺に初体験の相手としてカーニャはどうだと提案して来たが、それはあくまで俺が望めばという前提がある。
外交上の戦略としては、すぐに返しても特に問題のない存在だ。
もちろん面子的にすんなり返すのはよろしくないのだろけど。
「お義母様はお義父様に一任すると仰っていてね。
……お義父様からお話はあったよね?」
「ええ、好きにして良いと言われました」
昼寝した後、目を覚ましながら少し考えたが、カーニャに手を出すのは少し怖い。
前世・今世を含めて初めて誰かと致すという事に対して及び腰になっているのもあるが、それとはまた少し違った悩みというか、不安があるのだ。
俺、ベッドの上でも感情を制御し切れるかどうか、不安なんだよな……。
あぁいうのってさ、無言で無表情無感動にするもんじゃないじゃん?
やった事ないから分からないんだけど。
激しく求めるが故に、魔力が暴走して部屋が吹き飛んだりしないか?
赤ん坊の時のように、大変な事になったりしないだろうか。
それだけが本当に不安だ。
普段からあまり股間が存在感を主張しないので、いざと言う時にどんなパッションが迸るのかが想像出来ないでいる。
いや、もちろん今後の人生においては避けて通れない事ではあるんだけど。
だから、悪い言い方ではあるが今のうちにカーニャで予行演習しろ、という事なんだけど……。
この世界の男性はどういった性生活を送っているのだろうか。
両親はもちろん姉達にも家庭教師にも王立学院の教師にも教わらなかった。
男友達でさえ話題に挙げない。
だからこそ余計にとても繊細な問題なのだろうと思って誰にも聞けないでいる。
まさかポーシェに聞く訳にもいかないしな。
ポーシェに聞いたとして、真面目に答えてくれるだろうか。
……いや止めておこう。
「それはまた物騒ですね」
エテピシェ伯爵家があの娘を返してほしいのなら、直接うちに言って来る前にヴォワザン子爵家へ協力するなり圧力を掛けるなりするのが先だろう。
うちとヴォワザン子爵家との協議で金なり土地の分割なり、敗戦後の交渉をするのが普通だと思うが。
特使が捕虜に拘っているのを見抜いた父上から強気な条件を突き付けられて、逆上したのか?
「いや、うちとしてはすぐに返してもいいんだけどね……」
義兄上が苦笑を浮かべる。
義兄上も一般的な貴族と同じく髪の毛を伸ばしている。
湯船に髪の浸からないようタオルで巻いているから、パッと見は幸薄そうな女性に見えなくもない。
「お母様とお父様はどう仰っているのですか?」
父上は俺に初体験の相手としてカーニャはどうだと提案して来たが、それはあくまで俺が望めばという前提がある。
外交上の戦略としては、すぐに返しても特に問題のない存在だ。
もちろん面子的にすんなり返すのはよろしくないのだろけど。
「お義母様はお義父様に一任すると仰っていてね。
……お義父様からお話はあったよね?」
「ええ、好きにして良いと言われました」
昼寝した後、目を覚ましながら少し考えたが、カーニャに手を出すのは少し怖い。
前世・今世を含めて初めて誰かと致すという事に対して及び腰になっているのもあるが、それとはまた少し違った悩みというか、不安があるのだ。
俺、ベッドの上でも感情を制御し切れるかどうか、不安なんだよな……。
あぁいうのってさ、無言で無表情無感動にするもんじゃないじゃん?
やった事ないから分からないんだけど。
激しく求めるが故に、魔力が暴走して部屋が吹き飛んだりしないか?
赤ん坊の時のように、大変な事になったりしないだろうか。
それだけが本当に不安だ。
普段からあまり股間が存在感を主張しないので、いざと言う時にどんなパッションが迸るのかが想像出来ないでいる。
いや、もちろん今後の人生においては避けて通れない事ではあるんだけど。
だから、悪い言い方ではあるが今のうちにカーニャで予行演習しろ、という事なんだけど……。
この世界の男性はどういった性生活を送っているのだろうか。
両親はもちろん姉達にも家庭教師にも王立学院の教師にも教わらなかった。
男友達でさえ話題に挙げない。
だからこそ余計にとても繊細な問題なのだろうと思って誰にも聞けないでいる。
まさかポーシェに聞く訳にもいかないしな。
ポーシェに聞いたとして、真面目に答えてくれるだろうか。
……いや止めておこう。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
【北の果てのキトゥルセン】 ~辺境の王子に転生したので、まったり暮らそうと思ったのに、どんどん国が大きくなっていく件について~
次元謄一
ファンタジー
タイトル変更しました→旧タイトル 「デッドエンドキングダム ~十五歳の魔剣使いは辺境から異世界統一を目指します~」
前世の記憶を持って生まれたオスカーは国王の落とし子だった。父の死によって十五歳で北の辺境王国の統治者になったオスカーは、炎を操る魔剣、現代日本の記憶、そしてなぜか生まれながらに持っていた【千里眼】の能力を駆使し、魔物の森や有翼人の国などを攻略していく。国内では水車を利用した温泉システム、再現可能な前世の料理、温室による農業、畜産業の発展、透視能力で地下鉱脈を探したりして文明改革を進めていく。
軍を使って周辺国を併合して、大臣たちと国内を豊かにし、夜はメイド達とムフフな毎日。
しかし、大陸中央では至る所で戦争が起こり、戦火は北までゆっくりと、確実に伸びてきていた。加えて感染するとグールになってしまう魔物も至る所で発生し……!?
雷を操るツンデレ娘魔人、氷を操るクール系女魔人、古代文明の殺戮機械人(女)など、可愛いけど危険な仲間と共に、戦乱の世を駆け抜ける!
登場人物が多いので結構サクサク進みます。気軽に読んで頂ければ幸いです。
呪われ姫の絶唱
朝露ココア
ファンタジー
――呪われ姫には近づくな。
伯爵令嬢のエレオノーラは、他人を恐怖させてしまう呪いを持っている。
『呪われ姫』と呼ばれて恐れられる彼女は、屋敷の離れでひっそりと人目につかないように暮らしていた。
ある日、エレオノーラのもとに一人の客人が訪れる。
なぜか呪いが効かない公爵令息と出会い、エレオノーラは呪いを抑える方法を発見。
そして彼に導かれ、屋敷の外へ飛び出す。
自らの呪いを解明するため、エレオノーラは貴族が通う学園へと入学するのだった。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
サクリファイス・オブ・ファンタズム 〜忘却の羊飼いと緋色の約束〜
たけのこ
ファンタジー
───────魔法使いは人ではない、魔物である。
この世界で唯一『魔力』を扱うことができる少数民族ガナン人。
彼らは自身の『価値あるもの』を対価に『魔法』を行使する。しかし魔に近い彼らは、只の人よりも容易くその身を魔物へと堕としやすいという負の面を持っていた。
人はそんな彼らを『魔法使い』と呼び、そしてその性質から迫害した。
四千年前の大戦に敗北し、帝国に完全に支配された魔法使い達。
そんな帝国の辺境にて、ガナン人の少年、クレル・シェパードはひっそりと生きていた。
身寄りのないクレルは、領主の娘であるアリシア・スカーレットと出逢う。
領主の屋敷の下働きとして過ごすクレルと、そんな彼の魔法を綺麗なものとして受け入れるアリシア……共に語らい、遊び、学びながら友情を育む二人であったが、ある日二人を引き裂く『魔物災害』が起こり――
アリシアはクレルを助けるために片腕を犠牲にし、クレルもアリシアを助けるために『アリシアとの思い出』を対価に捧げた。
――スカーレット家は没落。そして、事件の騒動が冷めやらぬうちにクレルは魔法使いの地下組織『奈落の底《アバドン》』に、アリシアは魔法使いを狩る皇帝直轄組織『特別対魔機関・バルバトス』に引きとられる。
記憶を失い、しかし想いだけが残ったクレル。
左腕を失い、再会の誓いを胸に抱くアリシア。
敵対し合う組織に身を置く事になった二人は、再び出逢い、笑い合う事が許されるのか……それはまだ誰にもわからない。
==========
この小説はダブル主人公であり序章では二人の幼少期を、それから一章ごとに視点を切り替えて話を進めます。
==========
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる