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妹は待っている
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一つ下に生まれた妹、エティーに対して、生まれた時から付きっきりで歌を聞かせたり、肩をトントンしてリズムを植え付けたりしていた結果、上手に歌えるように育った。
それを見ていた上の姉達や母上もある程度歌えるようになったし、人種的に音痴でリズム感がないという訳ではないようだ。
歌う事で感情が制御出来なくなるという難点は、俺が手を握って相手の魔力を抑制する事で払拭した。
慣れれば一人で歌えるようになるのだ。
ただ、この訓練方法は俺にしか指導出来ないという難点がある。
しかしだからと言って困る事でもないんだけど。
音楽というものに慣れ親しんだ記憶のある俺は、この世界において優位な魔法使いであるという事。
訓練方法や指導方法は俺がいないと真似出来ないものだから、特にシュライエン辺境伯家の重大な機密という扱いはしていない。
父上からは、俺が不特定多数にペラペラと話さなければ問題ないと言われている。
むしろ父上からの指示で、うちと付き合いのある家へ指導したりしている。
音楽を技術として秘匿するのではなく、公にする事で政治的や軍事的に優位に立てるそうな。
うちと仲の良い王家や貴族家へは恩を売ってさらに繋がりを増し、そうでない勢力には牽制する事が出来る。
技術を教えてほしいが為に擦り寄ろうと画策する家もあるとかないとか。
そういう外交的な方針を決めるのは辺境伯家当主である母上ではなく、その伴侶である父上の仕事。
シュライエン家だけでなくだいたい男性貴族がその役割を担っているので、俺も将来的には結婚相手の家の外交を任されるのだと思う。
今までの流れでだいたい分かるだろうけど、貴族家の当主は女性。
そしてそれを支えるのが男性。
嫁ぐ、と漢字にすると女性が生まれた家を出て結婚相手の家に入るイメージだが、この世界では嫁ぐのは主に男だ。
もちろん例外はあるが。
俺にはまだ婚約者がいないので、どんな家に入る事になるかまだ分からない。
一番上の姉はすでに結婚しており、次期当主としても指名されているので、男である俺がこの家に残る事はないと思う。
二番目の姉はこの国の王子様と結婚し、王城で生活している。
王家へ嫁いだ訳ではなく、住んでる場所が王城なだけ。
王都議会へシュライエン家の代表として出席する議員のような役割だ。
父上の指示の元、王家との折衝や外交的な仕事も任されている。
俺の通う王立学院から王城はすぐの場所なので、割と頻繁に顔を合わせている。
俺が王都へ戻れば、今回の戦について詳しく話を聞かせろと呼び出される事だろう。
血の気が多いからな、リオ姉さんは。
自分的には不完全燃焼だった戦を終え、三日かけてようやくロンタナの街へと帰って来れた。
城門のさらに向こう、小高い丘に建つ我が家が見えてきた。
その屋敷からひしひしと焦燥感の込められた魔力が感じられる。
俺が跨っている馬がそわそわし出した。どうどうどう。
妹よ、街の人達を巻き込むんじゃない。
それを見ていた上の姉達や母上もある程度歌えるようになったし、人種的に音痴でリズム感がないという訳ではないようだ。
歌う事で感情が制御出来なくなるという難点は、俺が手を握って相手の魔力を抑制する事で払拭した。
慣れれば一人で歌えるようになるのだ。
ただ、この訓練方法は俺にしか指導出来ないという難点がある。
しかしだからと言って困る事でもないんだけど。
音楽というものに慣れ親しんだ記憶のある俺は、この世界において優位な魔法使いであるという事。
訓練方法や指導方法は俺がいないと真似出来ないものだから、特にシュライエン辺境伯家の重大な機密という扱いはしていない。
父上からは、俺が不特定多数にペラペラと話さなければ問題ないと言われている。
むしろ父上からの指示で、うちと付き合いのある家へ指導したりしている。
音楽を技術として秘匿するのではなく、公にする事で政治的や軍事的に優位に立てるそうな。
うちと仲の良い王家や貴族家へは恩を売ってさらに繋がりを増し、そうでない勢力には牽制する事が出来る。
技術を教えてほしいが為に擦り寄ろうと画策する家もあるとかないとか。
そういう外交的な方針を決めるのは辺境伯家当主である母上ではなく、その伴侶である父上の仕事。
シュライエン家だけでなくだいたい男性貴族がその役割を担っているので、俺も将来的には結婚相手の家の外交を任されるのだと思う。
今までの流れでだいたい分かるだろうけど、貴族家の当主は女性。
そしてそれを支えるのが男性。
嫁ぐ、と漢字にすると女性が生まれた家を出て結婚相手の家に入るイメージだが、この世界では嫁ぐのは主に男だ。
もちろん例外はあるが。
俺にはまだ婚約者がいないので、どんな家に入る事になるかまだ分からない。
一番上の姉はすでに結婚しており、次期当主としても指名されているので、男である俺がこの家に残る事はないと思う。
二番目の姉はこの国の王子様と結婚し、王城で生活している。
王家へ嫁いだ訳ではなく、住んでる場所が王城なだけ。
王都議会へシュライエン家の代表として出席する議員のような役割だ。
父上の指示の元、王家との折衝や外交的な仕事も任されている。
俺の通う王立学院から王城はすぐの場所なので、割と頻繁に顔を合わせている。
俺が王都へ戻れば、今回の戦について詳しく話を聞かせろと呼び出される事だろう。
血の気が多いからな、リオ姉さんは。
自分的には不完全燃焼だった戦を終え、三日かけてようやくロンタナの街へと帰って来れた。
城門のさらに向こう、小高い丘に建つ我が家が見えてきた。
その屋敷からひしひしと焦燥感の込められた魔力が感じられる。
俺が跨っている馬がそわそわし出した。どうどうどう。
妹よ、街の人達を巻き込むんじゃない。
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