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Main story
知らない恋人とのやり取りを探る
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何とか話を合わせて電話を切った。
変な答えをして羽那子と林さんが学校で殺し合いなんて始めたらと思うと、否が応でもしっかり対応せざるを得ない。
何が起こるか分からない。妹が俺の為にと人を殺そうとしたのを目の当たりにしたばかりだ。
あぁ……、そう言えば転校生が来たかどうかの確認が出来ていない。
林さんの口からは学校での変わった出来事について聞けなかった。
どんな出来事よりも恋人が体調不良で休んでいて心配らしいから、美紀がこの街に戻って来たのかどうか確認出来なかった。
……それよりも、俺の林さんの関係について事前に調べておいた方が良さそうだ。
おかしな対応をしてしまえば、そこからまた日常が崩壊しかねない。
林さんの口ぶりから、俺と林さんが恋人関係である事はほぼ間違いないだろう。
で、あればだ。このスマホに恋人同士のやり取りが残されている可能性が高い。
自分のスマホなのに他人の情報を盗み見するようでいい気分はしないが、これも俺以外の周りの人達の日常を守る為だ。
俺の取る行動によって被害を受ける人がいるかもしれない。
あの時の、羽那子のように。
スマホを指紋認証でロック解除。パラレルワールドでも指紋は同一らしい。
フリックしてメッセージアプリを起動。林里奈の名前を探す。
『りな』というアカウントを発見。アイコンが俺とのツーショット写真だ。
マジか……、全く記憶にない写真だぞ。
羽那子の時は見覚えのある写真に羽那子を合成したかのような仕上がりだったが、この写真はそもそも撮った覚えがない。
時間が巻き戻されただけでなく、俺に恋人がいるという設定が書き加えられて過去に遡り事実が改変された……?
勘弁してくれ、俺は誰かを救う為に永遠と同じ時間を繰り返すなんて御免だぞ!!
とにかく、今は林さんとのやり取りだ。トーク履歴を確認する。
ざっと見た限り、高校生らしい節度を守ったお付き合いのように見える。
俺からの呼び方は『里奈』と呼び捨てのようだ。
林さん、と呼び掛けなくて良かったかもしれない。
今考えると、朝の伊千香の怒られるうんぬんの話は林さんに関する忠告だった訳か。
つまり、伊千香も俺と林さん……、もとい里奈との付き合いを知っているという事だな。
伊千香が知っているという事は、多分両親も知っているだろう。
里奈も授業が終わったらすぐに来るって言ってたし、この部屋に来た事もあるんじゃないか?
えっと……、そんな恋人がいる俺に対して、朝に襲い掛かって来る羽那子って、相当ヤバイ女なんじゃないか!?
幼馴染の事をどんな状況においても勝てるようなジョーカー的立ち位置だと思ってるんじゃないか?
背中に寒気が走る。俺の対応次第で、羽那子と里奈は衝突する。
今度は伊千香ではなく、里奈に刺される羽那子の姿を幻視してしまった。
コンコンコンッ
心臓が大きく跳ねる。ドクドクとこめかみに血液が流れるのを感じる。
「入るわよ。あら、顔が真っ青だけど。本格的にしんどくなって来た?」
母さんかよ……! いや、様子を見に来てくれたのだ。怒るのは筋違いだ。
「いや、大丈夫だよ。明日は学校に行くから」
「そう? 里奈ちゃんが放課後来るって連絡があったから、部屋が綺麗か確認に来たのよ」
里奈は母さんと連絡先を交換しているのか。
「俺的には綺麗にしているつもりだけど」
「そうね。パっと見は綺麗だけど、ベッドの下とかに気を付けなきゃいけないものはなぁい?」
ないよそんなもの! とツッコミを入れたいところだけど、この世界の伊千郎のベッドの下事情まで把握出来ていない。
俺は母さんに苦笑いを返しておいた。
変な答えをして羽那子と林さんが学校で殺し合いなんて始めたらと思うと、否が応でもしっかり対応せざるを得ない。
何が起こるか分からない。妹が俺の為にと人を殺そうとしたのを目の当たりにしたばかりだ。
あぁ……、そう言えば転校生が来たかどうかの確認が出来ていない。
林さんの口からは学校での変わった出来事について聞けなかった。
どんな出来事よりも恋人が体調不良で休んでいて心配らしいから、美紀がこの街に戻って来たのかどうか確認出来なかった。
……それよりも、俺の林さんの関係について事前に調べておいた方が良さそうだ。
おかしな対応をしてしまえば、そこからまた日常が崩壊しかねない。
林さんの口ぶりから、俺と林さんが恋人関係である事はほぼ間違いないだろう。
で、あればだ。このスマホに恋人同士のやり取りが残されている可能性が高い。
自分のスマホなのに他人の情報を盗み見するようでいい気分はしないが、これも俺以外の周りの人達の日常を守る為だ。
俺の取る行動によって被害を受ける人がいるかもしれない。
あの時の、羽那子のように。
スマホを指紋認証でロック解除。パラレルワールドでも指紋は同一らしい。
フリックしてメッセージアプリを起動。林里奈の名前を探す。
『りな』というアカウントを発見。アイコンが俺とのツーショット写真だ。
マジか……、全く記憶にない写真だぞ。
羽那子の時は見覚えのある写真に羽那子を合成したかのような仕上がりだったが、この写真はそもそも撮った覚えがない。
時間が巻き戻されただけでなく、俺に恋人がいるという設定が書き加えられて過去に遡り事実が改変された……?
勘弁してくれ、俺は誰かを救う為に永遠と同じ時間を繰り返すなんて御免だぞ!!
とにかく、今は林さんとのやり取りだ。トーク履歴を確認する。
ざっと見た限り、高校生らしい節度を守ったお付き合いのように見える。
俺からの呼び方は『里奈』と呼び捨てのようだ。
林さん、と呼び掛けなくて良かったかもしれない。
今考えると、朝の伊千香の怒られるうんぬんの話は林さんに関する忠告だった訳か。
つまり、伊千香も俺と林さん……、もとい里奈との付き合いを知っているという事だな。
伊千香が知っているという事は、多分両親も知っているだろう。
里奈も授業が終わったらすぐに来るって言ってたし、この部屋に来た事もあるんじゃないか?
えっと……、そんな恋人がいる俺に対して、朝に襲い掛かって来る羽那子って、相当ヤバイ女なんじゃないか!?
幼馴染の事をどんな状況においても勝てるようなジョーカー的立ち位置だと思ってるんじゃないか?
背中に寒気が走る。俺の対応次第で、羽那子と里奈は衝突する。
今度は伊千香ではなく、里奈に刺される羽那子の姿を幻視してしまった。
コンコンコンッ
心臓が大きく跳ねる。ドクドクとこめかみに血液が流れるのを感じる。
「入るわよ。あら、顔が真っ青だけど。本格的にしんどくなって来た?」
母さんかよ……! いや、様子を見に来てくれたのだ。怒るのは筋違いだ。
「いや、大丈夫だよ。明日は学校に行くから」
「そう? 里奈ちゃんが放課後来るって連絡があったから、部屋が綺麗か確認に来たのよ」
里奈は母さんと連絡先を交換しているのか。
「俺的には綺麗にしているつもりだけど」
「そうね。パっと見は綺麗だけど、ベッドの下とかに気を付けなきゃいけないものはなぁい?」
ないよそんなもの! とツッコミを入れたいところだけど、この世界の伊千郎のベッドの下事情まで把握出来ていない。
俺は母さんに苦笑いを返しておいた。
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