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再会
再会(混乱)
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大学へ通って数日。のーはすぐに見つかった。
小さい頃の面影を残した顔付き。大人しめの服装。背丈は普通。
念の為、名前が確認出来るまでは接触しなかった。けど、割と友達に声を掛けられていたのですぐに彼がのーだって確定する事が出来た。
そしてついに、声を掛けようという段階。
踏み出す、その一歩が出ない。怖い? うん、怖い。
遠くから見ている限りでは、恋人はいなさそう。ううん、大学の学生が恋人とは限らないけれど、そんな話題も友達との会話に出て来ないし。
ってこれ普通にストーカーやないかっ! というセルフツッコミを入れつつ。それでもなかなかに一歩を踏み出す事が出来ないでいた。
こんな事をしてちゃダメだ。すぐにでものーに声を掛けて、私の事を忘れていたらいたでいい。これからの関係を築けばいいだけの事だもの。
実は私、先輩の幼馴染みなんですよ。
一緒に遊んだ仲なんですよ。
思い出せませんか?
そんな風に詰め寄って、彼が罪悪感を感じればそこを攻めちゃえばいい。そんな感じでまた私達の関係を作り上げて行けばいいんだもん。
そう思いながらも、でもやっぱり一歩が出ない毎日を過ごした。
気付けば大学での友達も出来て、私は私の日常を過ごしていた。
あれ? 私、普通に大学生してるやん。わざわざここまで来た理由、何やってん。
またまたセルフツッコミを入れつつ、そっと彼の背中を見やる。
「またあの人の事見てるの? 声掛ければいいのに」
なんて友達からからかわれるまでになっている。
「うっさいな、ほっといてんか」
「あー、また出てるよ? 関西訛り」
「訛りて言わんといてくれる!?」
これは訛りではない。方言である事に間違いないけど、訛ってる訳じゃないのに!
と言うと、みんなが困った顔をしてうんうんと頷く。可哀想な子を見るような目つきになるので、私はこれ以上言わないようになった。
「真菜の事良いなぁって言ってる男、結構いるんだから。そのうちどんどん誘われるようになると思うよ?」
う~ん、確かに男の人から声を掛けられる事もある。でも、それを断る口実を作る為に、彼との再会を遂げるというのも変な話で。
いやいや、どちらにしても彼に声を掛けたいのに変わりないんだ。ならば、早い方がいいだろう。
それからもうしばらくした後、その日はやって来た。彼の事を少し離れた場所で窺っていると、向こうからこちらへと歩いて来た。
よし、今だっ! と思って話し掛けるタイミングを図っていたけど、彼が目の前に来て、そして私の横を通り過ぎても口から声を発する事が出来なかった。
ダメだ、これじゃあ今日も彼と話す事が出来ないな。そう思って肩を落とした。振り返って、彼の背中を見つめて、ため息を吐いた。
「あのっ」
えっ!? 自分でもビックリした。意図せずに声が出てしまった。そして何より、その声に反応して、彼が振り向いてくれた。
のーが、私の方を見ている。何故が私は目を合わす事が出来なかった。突然の事過ぎた。何で声が出たのか自分でもよく分からない。
本当に自分の声だったろうか。もう一度、声を出してみる。
「あのっ……」
やっぱり自分の声だっ!? いやビックリしてるけど表情には出したらアカン! 自分で声掛けて自分でビックリしているなんて、ただの変な女になってまう。
努めて無表情。何でもないで~みたいな顔しとかんと。
「えーっと、僕に用かな?」
答えた!? のーが私に返事した!! マジか、マジや。いやいやいや。
どうしたらええの!? ヤバイ、声を掛ける事ばっか考えて、何をどうやって喋るか全く考えてへん事に今気付いた。
アホちゃう!!? 私は何の為に関西に引っ越したんや(混乱)
そうや、私はこの時の為にこの生まれ故郷に帰って来たんや。
目の前にのーがいる。
私はのーを指さして、あなたに会う為に帰って来たの。そう伝える……。
「何か付いてた?」
のーは右肩をパンパンと払った。
いやいやいやコントやないんやから! 勘違いコントみたいなノリせんでええから!!
っと、声に出したらもろ関西人やん。口から先に生まれたみたいな、ボケられたらツッコミ入れんと死んでまう民族みたいに見られてしまう。
無表情、感情を表に出さずに首だけを左右に振る。まるで京のお公家さんみたいに。
「ホコリが付いてるから声を掛けてくれたんじゃないの?」
ホコリて。ベタやな。
いやそうやなくって。
「違います。その……、ついてるんです」
何で!? 何が付いてんの!!? おかしい、今日の私はおかしい。このままやったら最低な再会になってまう。
何とかせんと。ある日突然引っ越しした、5歳の女の子やった私ですって言いたいだけやのに!!
「5歳くらいの、女の子」
それだけ言うても伝わらん! しっかりしてよ私の口!!
のーの顔を見たら、すごくビックリした表情してる。あれ? 何でだろう……、おかしいな……。
あっ、私が言った事ってそのまま聞けば幽霊に取り憑かれてるって警告する謎の女みたいなキャラになってない!?
んんん~~~、もうこうなったら行けるとこまで行こう! ほんで何でやねん、ってツッコまれてオチ付けて終わらせよう。
それから実はあの時の幼馴染みなんですよ。って名乗れば何とかなるやろ!! ってか頼むし何とかなって!!!
「肩に顔を乗せて、おんぶされているような格好です」
「マジで……?」
受け入れた!? ツッコミでも否定でもなく信じた!!?
そこはもっとこう、何かあるやん!!
「マジ、です」
マジ、Death !!
小さい頃の面影を残した顔付き。大人しめの服装。背丈は普通。
念の為、名前が確認出来るまでは接触しなかった。けど、割と友達に声を掛けられていたのですぐに彼がのーだって確定する事が出来た。
そしてついに、声を掛けようという段階。
踏み出す、その一歩が出ない。怖い? うん、怖い。
遠くから見ている限りでは、恋人はいなさそう。ううん、大学の学生が恋人とは限らないけれど、そんな話題も友達との会話に出て来ないし。
ってこれ普通にストーカーやないかっ! というセルフツッコミを入れつつ。それでもなかなかに一歩を踏み出す事が出来ないでいた。
こんな事をしてちゃダメだ。すぐにでものーに声を掛けて、私の事を忘れていたらいたでいい。これからの関係を築けばいいだけの事だもの。
実は私、先輩の幼馴染みなんですよ。
一緒に遊んだ仲なんですよ。
思い出せませんか?
そんな風に詰め寄って、彼が罪悪感を感じればそこを攻めちゃえばいい。そんな感じでまた私達の関係を作り上げて行けばいいんだもん。
そう思いながらも、でもやっぱり一歩が出ない毎日を過ごした。
気付けば大学での友達も出来て、私は私の日常を過ごしていた。
あれ? 私、普通に大学生してるやん。わざわざここまで来た理由、何やってん。
またまたセルフツッコミを入れつつ、そっと彼の背中を見やる。
「またあの人の事見てるの? 声掛ければいいのに」
なんて友達からからかわれるまでになっている。
「うっさいな、ほっといてんか」
「あー、また出てるよ? 関西訛り」
「訛りて言わんといてくれる!?」
これは訛りではない。方言である事に間違いないけど、訛ってる訳じゃないのに!
と言うと、みんなが困った顔をしてうんうんと頷く。可哀想な子を見るような目つきになるので、私はこれ以上言わないようになった。
「真菜の事良いなぁって言ってる男、結構いるんだから。そのうちどんどん誘われるようになると思うよ?」
う~ん、確かに男の人から声を掛けられる事もある。でも、それを断る口実を作る為に、彼との再会を遂げるというのも変な話で。
いやいや、どちらにしても彼に声を掛けたいのに変わりないんだ。ならば、早い方がいいだろう。
それからもうしばらくした後、その日はやって来た。彼の事を少し離れた場所で窺っていると、向こうからこちらへと歩いて来た。
よし、今だっ! と思って話し掛けるタイミングを図っていたけど、彼が目の前に来て、そして私の横を通り過ぎても口から声を発する事が出来なかった。
ダメだ、これじゃあ今日も彼と話す事が出来ないな。そう思って肩を落とした。振り返って、彼の背中を見つめて、ため息を吐いた。
「あのっ」
えっ!? 自分でもビックリした。意図せずに声が出てしまった。そして何より、その声に反応して、彼が振り向いてくれた。
のーが、私の方を見ている。何故が私は目を合わす事が出来なかった。突然の事過ぎた。何で声が出たのか自分でもよく分からない。
本当に自分の声だったろうか。もう一度、声を出してみる。
「あのっ……」
やっぱり自分の声だっ!? いやビックリしてるけど表情には出したらアカン! 自分で声掛けて自分でビックリしているなんて、ただの変な女になってまう。
努めて無表情。何でもないで~みたいな顔しとかんと。
「えーっと、僕に用かな?」
答えた!? のーが私に返事した!! マジか、マジや。いやいやいや。
どうしたらええの!? ヤバイ、声を掛ける事ばっか考えて、何をどうやって喋るか全く考えてへん事に今気付いた。
アホちゃう!!? 私は何の為に関西に引っ越したんや(混乱)
そうや、私はこの時の為にこの生まれ故郷に帰って来たんや。
目の前にのーがいる。
私はのーを指さして、あなたに会う為に帰って来たの。そう伝える……。
「何か付いてた?」
のーは右肩をパンパンと払った。
いやいやいやコントやないんやから! 勘違いコントみたいなノリせんでええから!!
っと、声に出したらもろ関西人やん。口から先に生まれたみたいな、ボケられたらツッコミ入れんと死んでまう民族みたいに見られてしまう。
無表情、感情を表に出さずに首だけを左右に振る。まるで京のお公家さんみたいに。
「ホコリが付いてるから声を掛けてくれたんじゃないの?」
ホコリて。ベタやな。
いやそうやなくって。
「違います。その……、ついてるんです」
何で!? 何が付いてんの!!? おかしい、今日の私はおかしい。このままやったら最低な再会になってまう。
何とかせんと。ある日突然引っ越しした、5歳の女の子やった私ですって言いたいだけやのに!!
「5歳くらいの、女の子」
それだけ言うても伝わらん! しっかりしてよ私の口!!
のーの顔を見たら、すごくビックリした表情してる。あれ? 何でだろう……、おかしいな……。
あっ、私が言った事ってそのまま聞けば幽霊に取り憑かれてるって警告する謎の女みたいなキャラになってない!?
んんん~~~、もうこうなったら行けるとこまで行こう! ほんで何でやねん、ってツッコまれてオチ付けて終わらせよう。
それから実はあの時の幼馴染みなんですよ。って名乗れば何とかなるやろ!! ってか頼むし何とかなって!!!
「肩に顔を乗せて、おんぶされているような格好です」
「マジで……?」
受け入れた!? ツッコミでも否定でもなく信じた!!?
そこはもっとこう、何かあるやん!!
「マジ、です」
マジ、Death !!
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