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第十六章:なぎなみ動画始動
バラバラの世界から
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メアリーが並行世界について指摘した事により、伊吹とマチルダとキャリーとイリヤが抱えていた小さな違和感が、徐々に存在感を示していく。
「あれ? もしかして、大喜利大会向けの問題が全部解ける人がいなかったのは、記憶が完全じゃないからではなく、僕の世界でしか通用しない問題だったからって事!?」
伊吹が転生者を見つける為に作った、第一回全国顔寄せ大喜利大会の出場者選別の為の大喜利問題において、五十問全問正解者はいなかった。
この場にいるマチルダ、キャリー、イリヤも、複数問を落としていた。
「……だからか。
何個かフェイク用の問題が入ってるんやろうって勘違いしとったわ」
マチルダの発言を受けて、キャリーとイリヤが頷いてみせる。
「全部の問題に正解があるんだよ。だいたい、フェイクを入れる必要がないじゃん。
こういう時って、どうやって確認すれば良いんだろう」
自分がいた世界はこんなんだった、と発表するにしても、何が合っていて何が違うのか全く想像が付かなかったが、ここでもメアリーの提案に助けられる。
「マチルダの話を聞いた上での質問ですが、この世界にはない国が複数存在するはずです。
その国名を挙げて行くのはどうでしょうか?」
「なるほど、確かに」
この世界では帝政ロシアが丸ごと滅亡した為、ソヴィエト連邦が成立していない。
また、第二次世界大戦も行われておらず、伊吹が元いた世界とは世界地図が全く違って見えるのだ。
メアリーの提案が採用され、伊吹から国名を挙げる事となった。
「まず間違いないだろうと思う国名を言うよ?
この世界では大日本皇国だけど、僕の世界では第二次世界大戦で敗戦国となってから大を取られて、日本皇国になった。これは皆一緒でしょ」
伊吹が大前提であると思っていた国を挙げるが、皆が微妙な表情を浮かべる。
「うちが住んでた国はただの日本や。正式には日本国、になるんかな。第二次大戦で敗戦国になったんは同じやな」
「私が住んでいたのは大日本帝国でした。第二次大戦では戦勝国でした」
「……どうやって戦勝国に入ったのか気になるけど、今は置いておこう」
伊吹とマチルダとキャリーの住んでいた世界も別々であった事が判明した。
「ちなみにイリヤのいた世界の日本の国名は?」
伊吹の問い掛けに対し、イリヤは少し考えてから答える。
「マチルダと同じく日本だったにゃん。けど、国名が違うのににゃんでセーラー戦士や汎用人型決戦兵器にゃど、同じ作品を皆が共通で知っているのかの説明がつかにゃいにゃん」
この後の話し合いで、並行世界は恐らく無数にあり、たまたまこの世界に皆が集まっただけであろうという予測を立てた。
別々の歴史を辿った世界なのに、同じ物語や同じ出来事がある事についての説明は出来ないし、何が正解なのかこの場にいる人間には判断の付かない事である。
そして伊吹が一番危惧するのは、自分より後に生まれた、もしくは生まれる可能性のある転生者の事だ。
「マチルダが前世で死亡したのは西暦で何年だ?
おっと、享年までは言わなくていいぞ」
伊吹は六十歳のお姉さんが死亡してマチルダに転生していたとしても、その事実は知りたくないと思った。
「西暦だと多分2032年やけど……。
そぉか。時間経過は同じなんか」
伊吹、マチルダ、キャリー、イリヤの四人の前世で死亡した年と、こちらの世界で生まれた年はほぼ誤差なく同じである事が分かった。
つまり、どの並行世界であろうと、時間の流れる早さは同じ。しかし、この四人の元いた世界は全て男女比が狂った世界ではなかった。
「うちらが元いた世界の方が科学文明が進んでて、なおかつ後に死んでこっちに生まれ変わった転生者の方がより進んだ知識を持ってる可能性があるって事やな」
「あれ? もしかして、大喜利大会向けの問題が全部解ける人がいなかったのは、記憶が完全じゃないからではなく、僕の世界でしか通用しない問題だったからって事!?」
伊吹が転生者を見つける為に作った、第一回全国顔寄せ大喜利大会の出場者選別の為の大喜利問題において、五十問全問正解者はいなかった。
この場にいるマチルダ、キャリー、イリヤも、複数問を落としていた。
「……だからか。
何個かフェイク用の問題が入ってるんやろうって勘違いしとったわ」
マチルダの発言を受けて、キャリーとイリヤが頷いてみせる。
「全部の問題に正解があるんだよ。だいたい、フェイクを入れる必要がないじゃん。
こういう時って、どうやって確認すれば良いんだろう」
自分がいた世界はこんなんだった、と発表するにしても、何が合っていて何が違うのか全く想像が付かなかったが、ここでもメアリーの提案に助けられる。
「マチルダの話を聞いた上での質問ですが、この世界にはない国が複数存在するはずです。
その国名を挙げて行くのはどうでしょうか?」
「なるほど、確かに」
この世界では帝政ロシアが丸ごと滅亡した為、ソヴィエト連邦が成立していない。
また、第二次世界大戦も行われておらず、伊吹が元いた世界とは世界地図が全く違って見えるのだ。
メアリーの提案が採用され、伊吹から国名を挙げる事となった。
「まず間違いないだろうと思う国名を言うよ?
この世界では大日本皇国だけど、僕の世界では第二次世界大戦で敗戦国となってから大を取られて、日本皇国になった。これは皆一緒でしょ」
伊吹が大前提であると思っていた国を挙げるが、皆が微妙な表情を浮かべる。
「うちが住んでた国はただの日本や。正式には日本国、になるんかな。第二次大戦で敗戦国になったんは同じやな」
「私が住んでいたのは大日本帝国でした。第二次大戦では戦勝国でした」
「……どうやって戦勝国に入ったのか気になるけど、今は置いておこう」
伊吹とマチルダとキャリーの住んでいた世界も別々であった事が判明した。
「ちなみにイリヤのいた世界の日本の国名は?」
伊吹の問い掛けに対し、イリヤは少し考えてから答える。
「マチルダと同じく日本だったにゃん。けど、国名が違うのににゃんでセーラー戦士や汎用人型決戦兵器にゃど、同じ作品を皆が共通で知っているのかの説明がつかにゃいにゃん」
この後の話し合いで、並行世界は恐らく無数にあり、たまたまこの世界に皆が集まっただけであろうという予測を立てた。
別々の歴史を辿った世界なのに、同じ物語や同じ出来事がある事についての説明は出来ないし、何が正解なのかこの場にいる人間には判断の付かない事である。
そして伊吹が一番危惧するのは、自分より後に生まれた、もしくは生まれる可能性のある転生者の事だ。
「マチルダが前世で死亡したのは西暦で何年だ?
おっと、享年までは言わなくていいぞ」
伊吹は六十歳のお姉さんが死亡してマチルダに転生していたとしても、その事実は知りたくないと思った。
「西暦だと多分2032年やけど……。
そぉか。時間経過は同じなんか」
伊吹、マチルダ、キャリー、イリヤの四人の前世で死亡した年と、こちらの世界で生まれた年はほぼ誤差なく同じである事が分かった。
つまり、どの並行世界であろうと、時間の流れる早さは同じ。しかし、この四人の元いた世界は全て男女比が狂った世界ではなかった。
「うちらが元いた世界の方が科学文明が進んでて、なおかつ後に死んでこっちに生まれ変わった転生者の方がより進んだ知識を持ってる可能性があるって事やな」
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